Menu

撮っておきの音楽家たち |アレクセイ・リュビモフ|林喜代種

アレクセイ・リュビモフ(ピアノ奏者)
Alexei Lubimov (Pianist)

2023年4月11日 五反田文化センター 音楽ホール
2023年4月16日 蒲田御園教会 
Photos & Text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)

ロシアのピアニスト アレクセイ・リュビモフが、”我が友 シルヴェストロフに捧ぐ”と題して東京と広島などでコンサートを行なった。ヴァレンティン・シルヴェストロフはウクライナの作曲家でリュビモフとは旧知の仲である。
リュビモフは昨年の4月、モスクワでコンサートを行ないシルヴェストロフの作品を弾いていた。その最中にコンサート会場に警官が演奏を中止するようにと突入してきた。しかしリュビモフはひたすら演奏を続けていた。その模様はSNSを通じて世界中を駆け巡った。広島でのコンサートの模様と共にモスクワのこの出来事もテレビで放映された。残念ながら東京など他のところでは見れなかった。
リュビモフは長年シルヴェストロフの作品を弾き録音してきた。シルヴェストロフの深い祈りに満ちた音楽は、ウクライナへの連帯を示すべく世界中の音楽家によって演奏されている。
4月11日はシルヴェストロフの作品とシューベルト作品を取り上げ、4月16日は1921製のベヒシュタインのピアノでブラームスの作品を弾いた。彼はこのピアノがブラームスを一番よく表現できると気に入っているという。それがわかる素晴らしい演奏だった。

アレクセイ・リュビモフはロシアでスビャトスラフ・リヒテル亡きあとロシアの古典から現代音楽まで幅広く演奏できる最後の巨匠と言われている。モスクワ音楽院で伝説の名教師ゲンリフ・ネイガウスとレフ・ナウモフに師事。世界的なピアニスト、チェンバロ奏者である。2018年記念すべき第1回「ピリオド楽器によるショパン国際コンクール」の審査員を務めている。

(2023/5/15)