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Pick Up (2023/3/15) |東京二期会オペラ劇場《トゥーランドット》|藤堂清 

東京二期会オペラ劇場《トゥーランドット》 
Tokyo Nikikai Opera Theatre, Turandot 

2023年2月22日 東京文化会館(ゲネプロ) 
Text by 藤堂清 (Kiyoshi Tohdoh) 
Photos by 林喜代種 (Kiyotane Hayashi) 

2023年2月に行われた東京二期会オペラ劇場の公演《トゥーランドット》、ジュネーヴ大劇場との共同制作の舞台。
話題はいくつか挙げられる。
音楽面では、プッチーニが書けなかった第3幕の補作に、ルチアーノ・ベリオによる版を用いていること。指揮者としてベネズエラのエル・システマ出身のディエゴ・マテウスを登用したこと。
演出・舞台面では、イングリッシュ・ナショナル・オペラ前支配人ダニエル・クレーマーによる演出コンセプト、それを実現したチームラボアーキテクツのステージデザイン、さらに劇場空間を光で埋めたチームラボによるセノグラフィー、といったところ。
ベリオによる補作では、通常上演されることの多いアルファーノ版に較べ、トゥーランドットとカラフの場面の重みがまし、そこでの演出の役割が大きくなる。
レーザ光で舞台の広い範囲を照らし、聴衆の目を引き付けたセノグラフィー、たしかに効果は絶大。ただ逆にクレーマーの設定した登場人物の細かな動きがそれに覆い隠されてしまった傾向もあった。空間全体を見ることと、オペラグラスで見ることのバランスが要求されたように感じる。
情報量の多い公演であった。

(2023/3/15)

<スタッフ>
指揮:ディエゴ・マテウス
演出:ダニエル・クレーマー
セノグラフィー、デジタル&ライトアート:チームラボ
ステージデザイン:チームラボアーキテクツ
衣裳:中野希美江
照明:シモン・トロッテ
振付:ティム・クレイドン

<キャスト>
トゥーランドット姫:土屋優子
皇帝アルトゥム:川上洋司
ティムール:河野鉄平
王子カラフ:城 宏憲
リュー:谷原めぐみ
大臣ピン:大川 博
大臣パン:大川信之
大臣ポン:市川浩平
役人:井上雅人
合唱:二期会合唱団
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団