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撮っておきの音楽家たち |ディアナ・アダミヤン|林喜代種

ディアナ・アダミヤン(ヴァイオリン奏者)
Diana Adamyan (Violinist)

2022年12月2日 武蔵野市民文化会館小ホール
Photos & Text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)

アルメニアの22歳の若きヴァイオリニストが武蔵野で日本で1回だけのリサイタルを行った。ピアノは高橋礼恵。2020年春所属したばかりの大手事務所がコロナにより営業停止になる。しかし故郷のアルメニア・フィルが今回のオファーを引き継ぎ完全バックアップし、2年越しの念願がかない、ようやく日本で唯一のリサイタルが実現した。
2018年若手ヴァイオリニストのための世界最高峰の賞であるユーディ・メニューイン国際コンクールで優勝。2020年ハチャトリアン国際コンクールのヴァイオリン部門で第1位になるなど権威ある登竜門の両コンクールを制覇する。その後ロイヤル・フィル、ボストン響、ベルリン・ドイツ響などと共演。2022年夏、リオネル・ブランギエとの共演でアメリカのアスペン音楽祭にもデビューを果たしている。
ディアナ・アダミヤンは2000年アルメニアのエレバン出身。音楽家の家庭に生まれる。現在はミュンヘン音楽大学でアナ・チュマチェンコ教授に師事している。2014年オタワ国立芸術センターに招かれピンカス・ズーカーマン、イツァーク・パールマン、ジェシカ・リネバッハらと同センターのガラコンサートにソリストとして抜擢される。その後アルメニア人虐待100年の追悼としてイギリスのカドガン・ホールで行われたロイヤル・フィルとのバッハの二重協奏曲でもズーカーマンと共演している。そして今シーズン、ベルリン・フィルハーモニーでベルリン・ドイツ交響楽団とのデビューコンサートを行った。ドイツのプレスは「日を超えてなお聴衆の記憶にとどまり続ける演奏」「驚異的な若手ヴァイオリニスト」と彼女を称えている。
今回プログラムではブラームス、シベリウス、サン=サンース等と共に、アルメニアの同郷エレバン出身の作曲家のE.バクダサリアンのラプソディーを演奏した。この曲はヴァイオリンとオーケストラのためのラプソディー(狂詩曲)として作曲されたが、今回はヴァイオリンとピアノ版で演奏された。15分弱の佳品でアダミヤンの故国への想いが溢れる演奏だった。
2019年松本フェスで初来日、2度目の来日であるがリサイタルは初めてである。

(2023/1/15)