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撮っておきの音楽家たち |クレメンス&ユリア・ハーゲン|林喜代種

クレメンス&ユリア・ハーゲン チェロデュオ・リサイタル
Clemens Hagen & Julia Hagen (Cello duo)

2022年10月4日 武蔵野市民文化会館小ホール
Photos & Text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)

クレメンス・ハーゲンは兄弟姉妹と結成したハーゲン・カルテットのメンバーとしてチェロを担当。その娘のユリア・ハーゲンもチェリストとして世界で活躍している。この父娘の二人による2台チェロのコンサートが行われた。

父のクレメンスはザルツブルクの音楽家の家系に生まれ、6歳で初のレッスンを受ける。その2年後ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院で学び、その後スイスのバーゼル音楽大学に移る。ハインリッヒ・シフ等に師事。ウィーン・フィルの特別賞、カール・ベーム賞を受賞。ソリストとしてベルリン・フィル、ウィーン・フィル、ウィーン響、ロイヤル・コンセルトヘボウ管など著名オーケストラと共演。また室内楽はソロ活動を支える重要なもので、中でもハーゲン・カルテットは40年にわたり世界各地で演奏活動をし、CDも45枚を超える数がドイツ・グラモフォンよりリリースされている。2013年クラウディオ・アバドによって創設されたルツェルン祝祭管に入団し現在に至る。

娘のユリア・ハーゲンは1995年ザルツブルク生まれ。5歳でデトレフ・ミルケに初めてレッスンを受ける。その後ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院でエンリコ・ブロンティに、またウィーン大学でラインハルト・ラッコに、2013年から2015年までハインリヒ・シフのクラスで学ぶ。14歳の時ブルックナーハウスでウィーン・ユース・オーケストラのソリストとしてデビュー。以来ウィーンコンチェルトハウス、ウィーン楽友協会、トーンハレ、サントリーホールなどで演奏会。これまでにパメラ・フランク、今井信子、ローレンス・レッサー等のマスタークラスで学ぶ。リーツェン国際チェロコンクール、ベネデット・マッツァクラーティ 国際チェロコンクール入賞。また若手革新的音楽家に贈られるハジェク・ボス・ワグネル文化賞など様々な賞を受賞している。

今回の演奏プログラムの一つであるJ.B.バリエール=「2つのチェロのためのソナタ ト長調」はこの父娘デュオ結成のキッカケになった曲という。またウィーン・フィルのチェロ奏者バルトロメイの息子であるマティアス・バルトロメイに委嘱した「Licht(光)・2つのチェロのための Op.9」はクレメンス&ユリア・ハーゲンに捧げられた意欲作であり、印象的な曲の演奏であった。

(2022/10/15)