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注目の公演・イベント|2022年10月

♩10 /1 クロノス・クァルテット結成50周年記念公演

神奈川県立音楽堂ヘリテージ・コンサートとして、クロノス・クァルテットがテリー・ライリー渾身の大作《サン・リングズ》の日本初演を行う。《サン・リングズ》は全10楽章からなる壮大な作品で、共演に合唱団:やえ山組、合唱指揮:岩本達明を迎えてのステージ。弦楽四重奏にNASAが採集した「宇宙の音」(電磁波によるドーン・コーラスなど)や映像なども加わっての宇宙讃歌が、今日の地球と人類への讃歌となることを願うばかりだ。

10/1@神奈川県立音楽堂
https://www.kanagawa-ongakudo.com/d/Kronos2022

 

 

♩10/1,3,5 クリストフ・プレガルディエン(テノール)&ミヒャエル・ゲース(ピアノ)

クリストフ・プレガルディエンとミヒャエル・ゲースの二人がシューベルトの三大歌曲集を演奏する三夜のリサイタル。プレガルディエンが日本で、同時期に同じホールでこれらの歌曲集を歌うことはなかっただろう。第1夜には、《白鳥の歌》のレルシュタープとハイネの詩による歌曲のほかに、ベートーヴェンの連作歌曲《遥かなる恋人に寄す》とブラームスの歌曲が予定されているのも楽しみ。長年にわたり共演を重ねてきたコンビの成熟を聴く、またとない機会といえよう。

10/1,3,5@トッパンホール
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202210011800.html
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202210031900.html
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202210051900.html

♩10/2,4 国際芸術祭あいち2022 ラビア・ムルエ「表象なんかこわくない」

レバノン出身で、ベルリンを拠点に活動するラビア・ムルエが、2005年にベイルートで初演した作品。パフォーマンス・アート史から自傷的アクションを経て、レバノン内戦とベイルートでの大量殺人事件へと展開されていく語りの上演が、「あいち2022」に向けた今回のアップデート版でどのようになっているのか、目が離せない。

10/2,4@愛知県芸術劇場 小ホール
https://aichitriennale.jp/artists/rabih-mroue.html

♩10/2~10 新国立劇場 ヘンデル《ジュリオ・チェーザレ》

バロック・オペラシリーズ第1弾として2020年に上演が予定されていたが、コロナ禍によりリハーサル中断、公演中止となったオペラ《ジュリオ・チェーザレ》。 指揮のリナルド・アレッサンドリーニと、森谷真理、藤木大地、加納悦子、金子美香ら出演を予定していたキャストが揃う。タイトルロールはノルウェーのメゾ、マリアンネ・ベアーテ・キーランド。ロラン・ペリーの演出は2011年にパリ・オペラ座ガルニエで上演され話題となり、14年にトリノ王立歌劇場でも上演されたもの、こちらも期待できる。

10/2~10@新国立劇場
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/giuliocesare/

 

 

♩10/5 大西宇宙(バリトン)&小林道夫(ピアノ) デュオ・リサイタル

伸び盛りの大西によるドイツ歌曲によるリサイタル。ベートーヴェン《遥かなる恋人に寄せて》、シューマン《詩人の恋》の2つの歌曲集に、シェーンベルク《2つの歌曲》op.1を加えたプログラム。ピアノは1960年代から多くの歌手、エルンスト・ヘフリガー、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ等とも共演してきた大ベテランの小林道夫。彼の経験は歌手の成長にもおおいに貢献することだろう。

10/5@紀尾井ホール
https://kioihall.jp/20221005k1900.html

 

 

♩10/5~7 アジア・オーケストラ・ウィーク

2002年以来、アジア太平洋諸国からプロのオーケストラを招聘して行われてきたアジア・オーケストラ・ウィーク。新型コロナウイルス感染症パンデミックにより2020年は休止、2021年は日本国内のオケのみのプログラムだったが、今年は2年越しで海外オケからも来日する。マニラ交響楽団(10/5)、琉球交響楽団(10/6)、KBS交響楽団(10/7)により、定番レパートリーから聴く機会の少ない各国・各地の作品まで多彩な作品が、3夜を通して届けられる。アジア発信のオーケストラの現在を知る貴重な機会となろう。

10/5~7@東京オペラシティコンサートホール
https://www.orchestra.or.jp/aow2022/

♩10/8,9 フィリップ・グラス/ロバート・ウィルソン《浜辺のアインシュタイン》

2025年の神奈川県民ホール開館50周年を記念して、毎年さまざまなテーマで革新的な舞 台芸術を創造するシリーズ。2022年度は音楽+舞踊をテーマに、ミニマル音楽の巨匠フィリップ・グラスと舞台芸術の鬼才ロバート・ウィルソンによる《浜辺のアインシュタイン》の新制作上演を行う。一部の繰り返しを省略したオリジナルバージョンで歌詞原語・台詞日本語とのこと。グラスのオペラの出発点を知る貴重な機会となるだろう。

10/8,9@神奈川県民ホール
https://www.kanagawa-kenminhall.com/d/50th-opera1

 

 

♩10/9 レ・ヴァン・ロマンティーク・トウキョウ 管楽器の祭典

ピリオド楽器による1749年ロンドン初演バージョンの「王宮の花火の音楽」オーボエ24、ファゴット13、トランペット9、ホルン9、打楽器3という途轍もない編成はヘンデル当時としても巨大だったわけだが、現代にそれをピリオド楽器でやるという眩暈がするような企画。古楽ファンならずとも、吹奏楽好きにはたまらないはず。

10/9@北とぴあ さくらホール
https://www.kkdac.co.jp/event/detail/697/

 

 

 

♩10/10 il Merlo大規模プロジェクト第2回 ペデルツォーリの祝典音楽劇

毎回興味深いプログラムのIl Merloが立ち上げた大規模企画の第2弾はペデルツォーリの音楽劇。ペデルツォーリって誰か知らないけど、歌手のメンバー見ただけで期待大!

10/10@日本福音ルーテル東京教会
https://www.facebook.com/Ensemble-il-Merlo-104038647688186/

 

 

 

 

♩10 /10 ベルチャ・クァルテット

1994年英国王立音楽大学の学生4名で結成。1 st.vnの名を冠するクァルテットの伝統を継ぎ、コリーナ・ベルチャ(ルーマニア出身)を中心に、メンバー交代(2 nd.vn&vc)にあってもそのつど新たな側面を開き、従来の美質を磨いてゆく四重奏団として世界を牽引する。今回はべートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番 ヘ長調 Op.59-1《ラズモフスキー第1番》とシューベルト:弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D810《死と乙女》でトッパン初登場。そのスタイリッシュなアンサンブルを存分に味わいたい。

10/10@トッパンホール
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202210101500.html

 

♩10/13 アンサンブル室町15周年記念演奏会「会話 kaiwa」

和楽器と古楽器の混合編成を基本に、ジャンル横断的に表現の可能性を追求してきたアンサンブル室町の15周年記念演奏会。プログラムは新実徳英作品で構成され、演出は映画監督・脚本家・演出家の長久允が務める。二つの才能がどう合わさるかほとんど予測がつかない。「会話 kaiwa」というタイトルが意味するところも大いに気になるところだ。

10/13@武蔵野市民文化会館小ホール
https://www.ensemblemuromachi.or.jp/2022-kaiwa

 

 

♩10 /15 中木健二vc&エリック・ル・サージュpf

フランス国立ボルドー・アキテーヌ管の首席奏者を務め帰国、アンサンブル“天下統一”など室内楽にも積極的に取り組む中木健二と、その師でありフランスを代表するピアニストの一人エリック・ル・サージュのデュオ。キーワードは「カンタービレ」。師ル・サージュとのベートーヴェン、ヴィエルヌ、ルクーでまさに歌うチェロ中木の真髄を堪能できよう。

10/15@ Hakuju Hall
https://hakujuhall.jp/concerts/detail/3287

 

 

♩10 /15 アンサンブル・ノマド結成25周年記念コンサート “委嘱・献呈作品集” vol.2:窓

結成以来25年の想いの詰まったプログラムで構成された「委嘱・献呈作品集」の Vol.2。ノマドとは漂流、すなわち様々な国と時代を巡り、音楽を探訪することだそうで、「作曲家本人との芸術的な交流をもっとも大切にしてきた事が最大の特長」とのこと。Vol.2はイタリア、メキシコ、スペイン、日本の6人の作曲家、J.M.ロペス・ロペス、G.C.タッカーニ、R.シーガル、今井慎太郎、H.バスケス、北爪道夫作品など世界初演が5曲並ぶ。まさにその挑戦は果てしない。ノマドと共に我々も世界の旅人となろう。

10/15@東京オペラシティ リサイタルホール
https://www.ensemble-nomad.com/コンサート/定期演奏会70-76/結成25周年記念公演-76/

♩10/15,16 舞台『血の婚礼』

スペインの劇作家フェデリコ・ガルシーア・ロルカの三大悲劇のひとつで、実際に起きた事件に基づいて執筆し、1933年に初演された作品。今回は田尻陽一による新訳の台本を、杉原邦生の演出と、角銅真美と古川麦による音楽とともに上演する。

10/15,16@梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
https://www.umegei.com/schedule/1064/

 

♩10/16 東京交響楽団名曲全集第180回〈前期〉

いつも〈新しい何か〉を作り上げてくれるジョナサン・ノット、今回はラヴェルの中ではあまりメジャーではない歌曲集、さらにメインにはショスタコーヴィチの難曲・交響曲第4番を据えてくるという。ソプラノは新進気鋭の安川みく。今という時代に生きる〈我々の音楽〉に耳をそばだてねばなるまい。

10/16@ミューザ川崎シンフォニーホール
https://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=1piLKCZcWeE%3D

 

 

 

♩10 /17 アイレン・プリッチン

トッパンホール・エスポワールシリーズに俊英アイレン・プリッチンが登場。2019年ムジカエテルナ来日公演時にゲスト・コンサートマスターを務め、アンコールでチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を弾いた若者。日本の若手旗手北村朋幹をpfに迎え、メトネル、ヤナーチェク、ラヴェル、エネスクを聴かせる。音楽は文法とルールを持つ言語と語る彼が北村とどんなデュオを放つか楽しみだ。

10/17@トッパンホール
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202210171900.html

♩10 /18 篠崎史子 ハープの個展 XV 50周年記念

長く日本のハープ界、とりわけ現代作品の初演など第一線を走り、牽引し続けてきた篠崎の「個展」50周年記念、その情熱と努力にはただ敬服である。ヘンデル、ドビュッシー、マーラー、権代敦彦と、その演奏人生の軌跡を浮かび上がらせる作品を並べた。権代『タマフリ・タマシズメ』は林英哲の太鼓との共演で、大いに胸を震わせてくれることだろう。9/2のプレコンサートでは細川俊夫、西村朗、佐藤聡明、ケージなどを聴かせ、今日の創作に不可欠だった篠崎の存在の大きさを改めて実感させるものであった。

10/18@東京オペラシティ コンサートホール タケミツメモリアル
https://www.tokyo-concerts.co.jp/concerts/49328/

 

 

♩10/20~23 ヴェルディ《ファルスタッフ》

東京フィルハーモニー交響楽団の10月定期演奏会は、名誉音楽監督チョン・ミョンフンの指揮のもと、オペラ演奏会形式で行われる歌劇《ファルスタッフ》。サントリーホール、オーチャードホール、オペラシティの3つの会場で予定されている。このオペラを指揮するのは初めてというチョンだが、ヴェルディの最後の作品にふさわしい完成度の高い演奏を聴かせてくれるだろう。

10/20~23@サントリーホール他
https://www.tpo.or.jp/information/detail-20221020.php

 

 

 

♩10/21  田中 聰 ピアノ作品個展

井上郷子が弾く田中聰のピアノ作品。CD「Satoshi Tanaka: Works for Piano」に収録されていないものも披露されるようだ。会場で、静謐かつ硬度の高い音楽を全身で受け止めたい。

10/21@トーキョーコンサーツ・ラボ
https://www.n-b-music.com/up-coming?lang=ja

 

 

 

 

♩10/21 ヴィジョン弦楽四重奏団

2019年transitシリーズで強烈なインパクトを与えたドイツの俊英、ヴィジョン弦楽四重奏団の再来日公演。vnに作曲家でもあり、オリジナルからジャズ、ポップ、ロックと幅広い射程を持つ新メンバー、 F・ヴィライトナーを迎え、さらなるグルーヴで波動を起こすこと間違いなし。バーバー、ラヴェルに加えヴィジョンSQ最新アルバム『Spectrum』からの選曲。再びの衝撃波がホールを沸かせることだろう。

10/21@王子ホール
https://www.ojihall.jp/concert/lineup/2022/20221021.html

 

 

♩10/23 川上統 組曲「甲殻」全曲演奏&新曲演奏会

本誌でもCDをレビューした川上統の快作、シリーズ「甲殻」の全曲が生で聴ける! 現代日本のエスプリが詰め込まれたおもちゃ箱をひっくり返すような出会いが待っているだろう。

10/23@マリーコンツェルト
https://teket.jp/4207/14408

 

 

♩10 /25 読売日本交響楽団第622回定期演奏会

指揮シルヴァン・カンブルランで東欧、フランス音楽を聴くという贅沢な一夜。ドビュッシー:遊戯、一柳慧:ヴァイオリンと三味線のための二重協奏曲(世界初演)、ドビュッシー:イベリア(管弦楽のための「映像」から)、ヴァレーズ:アルカナとは、なんともスリリングなラインアップ。しかも一柳世界初演曲は気鋭のvn成田達輝に三味線本條秀慈郎、とくれば鉄板。ドビュッシーにヴァレーズもワクワクだ。

10/25@サントリーホール
https://yomikyo.or.jp/concert/2022/01/622-1.php#concert

 

♩10/28、29 マリオ・ブルネロのバッハ無伴奏リサイタル

現代最高峰のチェリスト、ブルネロの無伴奏バッハと聞けば、行かずにはいられまい。しかも『無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ』(全6曲)と『無伴奏チェロ組曲』(全6曲)を、紀尾井では『パルティータ』をチェロ・ピッコロで、『チェロ組曲』は第4番から第6番を通常のチェロで演奏という趣向。残りは翌日三鷹市芸術文化センターで演奏とのこと。2会場で全曲演奏の企画となる。ブルネロ詣での2日間、新たなバッハに開眼!

10/28@紀尾井ホール
https://kioihall.jp/20221028k1800.html
10/29@三鷹市芸術文化センター
https://mitaka-sportsandculture.or.jp/geibun/wind/event/20221029/

 

♩10/29,30 ヘンデル《シッラ》ファビオ・ビオンディ指揮、エウローパ・ガランテ

2020年に、コロナ禍により直前に中止となった公演、音楽堂室内オペラ・プロジェクト第5弾として上演される。ファビオ・ビオンディの指揮のエウローパ・ガランテにバロック・オペラで名の知れた歌手が集って上演するヘンデルの《シッラ》。今度こそと期待が高まる。

10/29,30@神奈川県立音楽堂
https://www.kanagawa-ongakudo.com/d/silla2022