注目の公演・イベント|2022年4月
♩4/1 東京春祭 歌曲シリーズ vol.32
エギルス・シリンス(バス・バリトン)&マールティンシュ・ジルベルツ(ピアノ)
東京春祭の柱の一つ歌曲シリーズ。この日はラトヴィア出身のバス・バリトン、エギルス・シリンスが登場する。チャイコフスキー、ラフマニノフ、ムソルグスキーといったロシア歌曲、そしてエミールス・ダールジンシュ、ヤーゼプス・ヴィートルス、アルフレーツ・カルニンシュというラトヴィアの作曲家の作品、さらにシューベルト、R.シュトラウスを歌うという意欲的なプログラム。シリンスの厚みのある声を小ホールで聴けるというだけでなく、多様な歌曲をどのように歌い分けるのかも楽しみ。
4/1@東京文化会館 小ホール
https://www.tokyo-harusai.com/program_info/2022_egils_silins/
♩4/1 東京・春・音楽祭 2022 ベンジャミン・ブリテンの世界 IV
20世紀英国を生きた、才知溢れる作曲家の肖像
コロナ禍の憂き目で延期を重ねたブリテンのオペラがついに日の目を見る。昨年の代替公演でも加藤昌則による目配りのきいたプロデュースと出演者たちからみなぎるブリテン愛が感じられ、すでに期待が高まっている。ストリーミング配信もあるようだ。
4/1@東京文化会館 大ホール
https://www.tokyo-harusai.com/program_info/2022_the_world_of_benjamin_britten/
♩ 4/1、2 藤田真央 モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会第3回〜華麗なる輝きを放ち
藤田真央のモーツァルト全曲プロジェクトの第3回は、最初期のソナタ集の大曲「デュルニツ」、誰もが知る「トルコ行進曲付き」のソナタがメイン・プログラム。幼さの残る風貌で、いかにもなその音楽の無垢と同時にどこか烈しいパッションも渦巻く不可思議な「音楽家」真央。ソロでも室内楽でもこの人がいるだけでいつも何かが起こりそう。そのモーツァルト物語に耳を澄まそう。
4/1,2@王子ホール
https://www.ojihall.jp/concert/lineup/2022/20220401-02.html
♩4/6 紀尾井レジデント・シリーズ II 川口成彦(第1回)
“プロムナード〜with エラール(1890年)”と銘打っての紀尾井レジデント・シリーズ II。エラールの響きで楽しむ、バッハ:主よ、人の望みの喜びよ(マイラ・ヘス編曲) 、グリーグ:ホルベルク組曲 、ピアノ・ソナタ ホ短調 、チャイコフスキー:哀歌 、ムソルグスキー:展覧会の絵、と多彩なプログラム。それぞれの世界に陶然とハマりたい。
4/6@紀尾井ホール
https://kioihall.jp/20220406k1900.html
♩4/8『明日の記憶』桒形亜樹子チェンバロリサイタル2022
~ 5世紀を超える音の風景 ~ 現在を生きる女性作曲家の作品を中心に
本リサイタルは、16~21世紀に至るまでのチェンバロ作品を概観する内容となっている。それだけでも十分野心的だが、20~21世紀はすべて、渋谷由香、カイヤ・サーリアホ、北爪やよひ等女性作曲家で固められている。チェンバロのアクチュアリティーをしかと見届けたい。
4/8@ムジカーザ
https://office-assist.jp/concertinfo.html#spb-bookmark-4
♩4/11 東京春祭 歌曲シリーズ vol.28
マルクス・アイヒェ(バリトン)&クリストフ・ベルナー(ピアノ)
ブラームスの連作歌曲《ティークの「マゲローネ」によるロマンス》を取り上げる一夜。オペラでの活躍の目立つマルクス・アイヒェだが、歌曲リサイタルやコンサートでも積極的な取り組みを続けてきている。彼も52歳という円熟の時期を迎えており、リサイタルで聴けるのは楽しみである。この曲集、朗読付きで演奏される機会は多くはない。しかし、それによって各曲の性格や意味が聴き手にとって明確になるだろう。朗読は日本語が予定されている。
4/11@東京文化会館 小ホール
https://www.tokyo-harusai.com/program_info/2022_markus_eiche/
チェロの貴公子もはや不惑を迎えた。2014年ユジャ・ワンとの共演以来となるトッパンへの登場はJバッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 、デュティユー:ザッハーの名による3つのストロフ、コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ Op.8と、休憩なしの無伴奏。濃密な世界に浸り切りたい。
4/15@トッパンホール
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202204151900.html
♩4/15〜17 兵庫芸術文化センター管弦楽団第132回定期演奏会
本団の定期演奏会では常に会場を熱狂させてきた井上道義が、オール・プロコフィエフで臨む。前半の《ヴァイオリン協奏曲第1番》では、若手奏者の中でも注目度の高い服部百音が独奏。井上とは先日もショスタコーヴィチを演奏して好評を博したばかりで、相性の良さが演奏にも現れるに違いない。後半は《交響曲第7番》。作曲家最後の大作、ソビエト冷戦時代の作品でもあり、その創作の背景については議論の余地も残るところだ。現在の混沌とした状況の中で、井上がどのような音を響かせるのか注目したい。
4/15~17@兵庫県立芸術文化センター
https://hpac-orc.jp/concert/1208
♩4/17東京春祭ディスカヴァリー・シリーズ vol.8 パウル・ヒンデミット
2019年のシェーンベルク、2020年のプッチーニに続き、今年の「東京春祭ディスカヴァリー・シリーズ」はヒンデミット。20世紀の音楽史を語る上で欠かせない重要人物のうちの一人であるが、オール・ヒンデミット・プログラムとなるとなかなか珍しい。ヒンデミットの功績をこの機会に振り返ってみるのはいかがだろうか。
4/17@飛行船シアター(旧 上野学園 石橋メモリアルホール)
https://www.tokyo-harusai.com/program_info/2022_discovery/
関西フィル首席指揮者の藤岡幸夫プロデュース音楽番組「エンター・ザ・ミュージック」から誕生したカルテットの第2回。東京シティ・フィル・コンマス戸澤哲夫、都響第2vn首席遠藤香奈子、N響次席va中村洋乃理、山響首席vc矢口里菜子というメンバーでどんなカルテットを聴かせるか。 ベートーヴェン、シューマン、ブラームスと、ドイツ・ロマン派を揃えての一夜。
4/19@ HAKUJU HALL
https://hakujuhall.jp/concerts/detail/3160
ピノック新首席指揮者就任公演はオール・モーツァルトで《パリ》《ハフナー》、そして第39番と、古典派の極め付け名品を揃えた。17年にわたるピノック&KCOの共演でもパリのギャラント様式溢れる《パリ》、セレナードを交響曲に編んだ《ハフナー》を取り上げるのは今回が初めて。その高雅な音楽に春の陽射しをたっぷりと味わいたいものだ。
4/22,23@紀尾井ホール
https://kioihall.jp/20220423k1400.html
♩4/23,24 東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ プッチーニ:《エドガール》
プッチーニの二作目のオペラ。1889年に初演されたが、数度の改訂を経た1905年版が現行のもの。セミ・ステージ形式の上演となる。指揮者にアンドレア・バッティストーニを迎え、オーケストラは彼の手兵である東京フィルハーモニー交響楽団、充実した響きが期待できるだろう。実演で聴く機会が少ないこのオペラを、二組のキャストで比較できるのも楽しみである。
4/23,24@Bunkamuraオーチャードホール
http://www.nikikai.net/lineup/edgar2022/index.html
本誌「撮っておき」(2/15号)でもご紹介の18歳の新星谷昂登。2021年第90回日本音楽コンクールピアノ部門第1位および岩谷賞(聴衆賞)などの受賞歴を持ち、現在桐朋音高3年に特待生として在学中のまさにこれからのピアニスト。ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第24番《テレーゼ》、シューマン:幻想曲 ハ長調 、リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調と王道をゆくプログラム。しかと聴き届けたい。
4/27@トッパンホール
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202204271900.html