注目の公演・イベント|2021年9月
2017年に始まり今回で第5回目を迎える「川島素晴works」。毎回ゆかりの深いゲストを迎え、過去の委嘱作品を振り返るとともに、新作初演も含むかたちで開催されてきたリサイタルシリーズだ。今回のゲストはヴァイオリンの甲斐史子とピアノの大須賀かおりによるユニット・ROSCO。新作初演のタイトルは「ROSCO Chapel」で、フェルドマンの作品を彷彿とさせるが、川島はその作品でどのような独自の世界を描き出すのか。
9/2@豊洲シビックセンターホール
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=61718
デュオ結成30年を迎える田中せい子とダニエレ・ブラジェッティによるリコーダー二重奏。ルネサンス、バロックから現代日本の桑原ゆう、西部哲哉までの幅広いレパートリーから何が飛び出すか、ワクワクする。
9/3、15時半、19時@近江楽堂
https://eplus.jp/sf/detail/3455350001
♩9/4 トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア第83回定期演奏会
指揮者デビュー30年を迎える沼尻竜典。音楽監督を務めるトウキョウ・ミタカ・フィルハーモニアで弾き振りする名物企画、モーツァルトのピアノ協奏曲全27曲シリーズの第19回で「第12番」を聴かせる。気心知れたメンバーとの協奏はますます磨きがかかり、両者の会話が楽しめよう。他にシューマン「交響曲第4番」、モーツァルト「魔笛」序曲。音楽の愉悦をたっぷり味わいたい。
9/4@三鷹市芸術文化センター 風のホール
https://mitaka-sportsandculture.or.jp/geibun/wind/event/20210904/
秋元松代が『冥途の飛脚』ほかの近松門左衛門による複数の浄瑠璃をベースにした戯曲を、長塚圭史が演出する。蜷川幸雄演出による東宝版(1979-)が有名な同作だが、劇中音楽にラップグループ・スチャダラパーを起用した長塚版が注目される。
9/4-9/20@神奈川芸術劇場 ホール
https://www.kaat.jp/d/chikamatsu
P.ヤルヴィの敏活な指揮ぶりと、エネスコ、チャイコフスキー、サン・サーンスといった「映える」王道直球ど真ん中の選曲。若きヴァイオリニスト服部百音の活躍も期待される贅沢極まりないコンサートとなろう。
9/6@サントリーホール
https://www.nhkso.or.jp/concert/20210906.html
♩9/7、9 ジョヴァンニ・アニムッチャの肖像~対抗宗教改革期のローマの教会音楽~レクチャー付きコンサート
パレストリーナやラッソの先輩にあたり、彼らにも影響を与えたアニムッチャの音楽を、アニムッチャのミサ曲で博士号を取得した長岡氏のレクチャーとともに聞ける貴重な機会。反宗教改革というとパレストリーナの名前がすぐに挙がるが、アニムッチャも聞いてみたい。
9/7@日本福音ルーテル東京教会
9/9@日暮里サニーホールコンサートサロン
https://beatamusicatoki.wixsite.com/beatamusicatokiensis/concert
♩9/8~12 東京二期会オペラ劇場 モーツァルト:《魔笛》
2013年オーストリア・リンツ州立劇場のシーズン・オープニングに世界初演、2015年に東京で日本初演したプロダクション。その6年ぶりの再演、コロナ禍を経た見直しを行っての上演とのこと。この宮本亞門の舞台への評価は高く、今回の上演に対する期待は大きなものがある。
指揮者は1989年生まれリトアニア出身の若手、ギエドレ・シュレキーテと、7月の時点では発表されている。実現すれば、欧州期待の新星の初来日となる。若手指揮者を積極的に登用している二期会の取り組みがここでもよい結果を生むことを期待したい。
9/8~12@東京文化会館大ホール
http://www.nikikai.net/lineup/diezauberflote2021/index.html
安部公房の代表作『砂の女』が鬼才、ケラリーノ・サンドロヴィッチ台本・演出によって上演される。勅使河原宏監督、武満徹音楽による映画版も傑作であったが、流れ続ける砂に囲まれた家、男を絡め取る女、彼らを見物する村人、といった題材がサンドロヴィッチによってどのようなアナロジーとなって舞台化されるのか、要注意だ。
9/9,10@兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
https://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=5012412320&sid=0000000001
♩9/10、11 日本フィルハーモニー交響楽団第733回東京定期演奏会
日本人作曲家の作品を演奏することに力を注いでいる山田和樹、今回はフランスの作曲家の中ではマイナーな部類に入ると思われるが、独特の味わいのあるショーソンの交響曲、そしてジャズやロックの要素を取り入れた水野修孝2003年の交響曲第4番を取り上げる。生で聴けるだけでも稀有な機会であるが、山田和樹がどのようにこれら特異な交響曲を構築するか、興味津々だ。
9/10,11@サントリーホール
https://japanphil.or.jp/concert/24632
休館中の横浜みなとみらいホール出張公演<横浜18区コンサート>に登場は萩原麻未と山田和樹を音楽監督とする横浜を拠点に活動の横浜シンフォニエッタの顔合わせ。弦楽五重奏で「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」に遊び、萩原のモーツァルト「ピアノ協奏曲20番」で室内楽的感興に溢れた演奏を。秋の午後にふさわしいひとときを楽しみたい。
9/14@フィリアホール
https://www.philiahall.com/html/series/210914.html
9/16@金沢公会堂
https://kanagawa-geikyo.com/concert/concert-3763/
♩9/16 東京現音計画#15Rミュージシャンズセレクション有馬純寿2
湯浅譲二の電子音楽をはじめとする、日本の電子音楽ルネサンスの功労者にして、ライヴ・エレクトロニクスの名手・有馬純寿が自ら選んだ全曲ライヴ・エレクトロニクスを含む作品のコンサート。電子音楽の真髄と深淵を覗き見るまたとない機会となろう。
9/16@杉並公会堂小ホール
https://tokyogenonproject.net/?p=819
♩9/16―19 国際演劇協会日本センター「Plays 4 Covid 孤読/臨読~コロナ禍で生まれた海外戯曲~」
多くの最新海外戯曲をリーディング公演という形でこれまで紹介してきた国際演劇協会が、コロナ禍のアメリカ、中国、ドイツ、アイルランドの四か国で生まれた短編戯曲を、池袋演劇祭の枠内でリーディング上演する。コロナ禍によって沈黙を余儀なくされている声なき声に耳を傾けたい。
9/16-9/19@シアターグリーンBase Theater
https://iti-japan.or.jp/info/7650/
♩9/18~26 オペラシアターこんにゃく座『さよなら、ドン・キホーテ!』
これまでこんにゃく座では3作品で仕事をしてきた鄭義信(ちょんうぃしん)の台本・演出による新作『さよなら、ドン・キホーテ!』。おそらく意図的に作品内容はまだ公開されていないが、奥の方で戦車や兵士が描かれたチラシを見る限り、戦争が題材・主題であることが予想される。ではドン・キホーテとは何を意味するのか。謎に包まれているが、同時に見る気をそそられる。これは直に見に行くしかなかろう。
9/18―26@吉祥寺シアター
https://www.konnyakuza.com/syusai.html
♩9/19 7STARS 高野百合絵&黒田祐貴デュオ・リサイタル《The Players》
日本コロムビアの「Opus One」レーベルから録音を出している若手新人を紹介する新リサイタルシリーズ『7STARS』。その第4弾となるこの日は二人の歌手によるもの。
高野のスペイン歌曲、黒田のドイツ歌曲と、それぞれが録音した曲目のほか、重唱を含むバーンスタインの「アリアと舟歌」組曲8曲を取り上げ、両者の共演を聴かせる。
9/19@王子ホール
https://www.columbiaclassics.jp/20210919-yurietakano
気鋭の若手ピアニスト北村朋幹がジョン・ケージに挑む。プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード全曲演奏というスリリングな75分。ガムランや日本の楽器を思わせる多彩にな響きに、北村の変幻自在なピアニズムも楽しめる。ケージが海辺で気に入った貝殻を拾うように集めた音たちと無心に遊んで見ては。ケージ研究の第一人者白石美雪のプレトークつき。
9/19@所沢ミューズ
https://www.muse-tokorozawa.or.jp/event/detail/20210919/
♩9/19、20 ながらの座・座〈音の三井寺・その弐〉「鐘の音の彼方へ」
「音の三井寺」を舞台に「ながらの座・座」で始まった企画の第2弾。今回は「三井の晩鐘」で知られる当寺院の「鐘」がテーマだ。昨年「庭と音楽」の企画で話題を集めた尺八奏者の藤原道山と、クラリネット奏者の吉田誠によるコンビが、メシアン、ケージ、藤倉などの現代音楽を競演する。「中世空間から得るインスピレーション」と題したアフター・トークもあるとのこと。これまでにない新たな音の世界に遭遇することになりそうだ。
9/19@三井寺・光浄院客殿
9/20@ながらの座・座
https://nagara-zaza.net/2021/000357.php
♩9/21 B→C バッハからコンテンポラリーへ234 東条 慧(ヴィオラ)
J.S.バッハ《無伴奏チェロ組曲第5番》とリゲティ《無伴奏ヴィオラ・ソナタ》、それぞれの構成曲を交互に配置したユニークなプログラム。加えて、藤倉大、ジョージ・ベンジャミンのヴィオラ・デュオ作品、プロコフィエフ「ロミオとジュリエット」のヴィオラ・ピアノ編曲版も披露されるという。ヴィオラの魅力、限界突破となるか。
9/ 21@東京オペラシティリサイタルホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=14374
♩9/22 小寺香奈ユーフォニアムリサイタル ディスカヴァリー・ユーフォニアムvol.4 デュオとデュオ
あまり目立たないが、その柔らかい音色にユニークな味わいのある楽器・ユーフォニアムで現代音楽を吹く小寺香奈、今回はクラリネットの菊池秀夫、ピアノの藤田郎子と共にデュオに焦点を当てたリサイタルを開催する。作曲家も稲森安太己、徳永崇、松平頼暁と実力派揃いだ。期待大。
9/22@杉並公会堂小ホール
https://discoveryeuphonium4.peatix.com/
西洋の縦笛:リコーダーの達人・鈴木俊哉が、日本の縦笛:尺八の達人・田嶋直士とのデュオに挑む。古典曲に加えてシャリーノや、さらに香港の若手作曲家チャールズ・クウォンと日本の若手作曲家高木日向子も迎え、古今東西の音楽が切り結ぶ前代未聞のリコーダーリサイタルが実現されようとしている。
【2021年5月8日の延期公演】
9/25@小原記念チャペル
https://www.proarte.jp/shop/products/detail.php?product_id=2563
♩9/25 福田美樹子sop. & 徳永真一郎guit. デュオリサイタル
バルセロナのリセウ高等音楽院で学んだソプラノ福田美樹子の1年ぶりのリサイタル。フランスを中心に活躍するギタリスト徳永真一郎の編曲・伴奏でコロナ禍に想いを寄せて選んだ民謡を聴かせる。カタルーニャ、ガリシア、アンダルシア、バスク地方などの歌の数々がギターの調べとともに心を温かく包んでくれるだろう。
9/25@渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
https://mikikoe.com
♩9/26 伊丹市立演劇ホール『ジハード ―Djihad―』
ベルギー・ブリュッセルに住む移民2世の青年たちを描き出したイスマエル・サイディによる戯曲。「紛争地帯から生まれた演劇」としてのリーディング公演(2016)、さいたまネクスト・シアターゼロでの本公演(2018)を経て、再び瀬戸山美咲による演出で、関西で活躍する俳優陣がドラマ・リーディングとして上演する。
9/26@AI・HALL 伊丹市立演劇ホール
http://www.aihall.com/reading2021/