Menu

撮っておきの音楽家たち|ヴォルフガング・ベッチャー|林喜代種

ヴォルフガング・ベッチャー(チェリスト)
Wolfgang BOETTCHER, Cellist

2018年8月17日~30日第39回草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル(を中心に2014年・2016年)
2018/8/17~30 Kusatsu International Summer Music Academy & Festival (also 2014 and 2016)
Photos & Text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)

ドイツのベルリンを中心にヨーロッパをはじめ世界各地で演奏家として、教育家として活躍していたチェリストのヴォルフガング・ベッチャー氏が今年の2月24日に86歳で亡くなった。娘のマリーさんによると晩年は「毎日J.S.バッハの組曲を弾いていた」という。
草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルには1984年の第5回から2018年の第39回まで計13回チェロのマスタークラスの講師を務める。また演奏家として草津フェスティヴァルではソリスト、室内楽奏者として数々の名演を繰り広げ、受講生に多大な影響と示唆を与えた。自分の教わっている先生がどんな演奏をしているかを目の前で実演して示してくれるのでその教えに納得する。経験豊かな他の演奏家とのコラボでも、また新進の若手の演奏家でもベッチャーは常に自分の音楽の演奏をした。それが受講生にも若手の演奏者にも刺激を与え続けた。
5年前の2016年の草津音楽祭のワークショップでは、
美智子皇后陛下(当時)のピアノとウエルナー・ヒンクのヴァイオリンとベッチャーのチェロで室内楽のワークショップを行っている。
第41回の2020年にも講師として来日の予定だったがコロナの影響で中止になった。「また皆さんに草津で会えるのを楽しみにしています」とのメッセージを届けてきた。

彼は1935年1月生まれ。1958年カラヤン下のベルリン・フィルに入団。1962年から首席チェロ奏者。「ベルリン・フィルの12人のチェリストたち」の創設メンバー、「ブランディス弦楽四重奏団」のメンバーである。41歳でベルリン芸大教授に就任。ベルリン芸術大学に於いては長年にわたってチェロ奏者の育成に尽力する。日本からもベッチャーに学んだ人が多い。同大学名誉教授。
ミュンヘン国際音楽コンクールの受賞を期に演奏者としての活動を開始、カーネギ・ホール、チャイコフスキー・ホール、東京文化会館などでベルリン・フィルなどの主要オーケストラと共演し、カラヤン始め、チェリビダッケ、小澤征爾、バレンボイム、など多くの指揮者と共演してきた。メニューイン、ルトスワフスキー、ディートリヒ・フィッシャー=ディスカウなどから芸術性に深い影響を受けている。リゲティ、ルトスワフスキーなどの有名な作曲家がベッチャーのために室内楽やコンチェルトを書き下ろしたり、初演を依頼している。草津では受講生の前では明るく楽しいレッスンを行なっていた。小学生から新進まで人気のマスタークラスだった。

(2021/3/15)