注目のコンサート|2020年11月
♩11/3 BCJオペラシリーズ Vol.2 ヘンデル 歌劇《リナルド》
鈴木優人がバッハ・コレギウム・ジャパンを指揮し、チェンバロも担当するというバロック・オペラ公演の第2弾。3年前のモンテヴェルディの《ポッペアの戴冠》に続き、ヘンデルの歌劇《リナルド》をセミステージ形式で上演する。
当初予定していた海外からの歌手の参加は困難となったが、鈴木とともに演奏する機会の多い日本のバロック音楽のトップクラスの歌手が集まり、予定どおり行われることとなった。藤木大地、久保法之、青木洋也、3人のカウンターテナーの競演、森麻季、中江早希、波多野睦美の女声陣、大西宇宙のバロックも楽しみ。
11/03@東京オペラシティコンサートホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/p847/
打楽器の加藤訓子による三善晃のマリンバ作品を集めてのコンサート。組曲「会話」「トルスⅢ」「トルスV」「六つの練習前奏曲」「協奏的練習曲」「リップル」と、初期からの創作の流れに沿っての演奏で、加藤とともに篠崎陽子、原順子、高口かれんがステージに立つ。ニュアンスの海、しなやかで強靭な三善世界を展開してくれるだろう。
11/5@トッパンホール
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202011051900.html
第4回を迎える自由が丘クラシック音楽祭、今年は新型コロナ禍にあり自由が丘の地を離れ原宿hall 60(ホールソワサント)で客数30人限定で実施される。今年はバルトーク、コダーイ、リゲティ、クルタークなどの作品を並べた。各公演45分以内ということで、お得な1日券もあり。多彩な作品をあれこれ気軽に楽しく味わえるのでは。
11/7,8@hall 60
https://www.jiyugaoka-cmf.com
♩11/10《ベートーヴェン2020 at 横浜みなとみらいホール》革新の第9
「革新の第9」を掲げ《BTVN2020》に登場はベートーヴェン時代のピリオド楽器オーケストラによる第九演奏会。渡辺祐介指揮に藤谷佳奈枝sop,山下牧子alt,中嶋克彦ten,黒田祐貴br、オルケストル・アヴァン=ギャルド、クール・ド・オルケストル・アヴァン=ギャルド(合唱)の陣容。fp川口成彦を迎えてのピアノ協奏曲も、と贅沢な一夜だ。
11/10@横浜みなとみらいホール
https://mmh.yafjp.org/mmh/recommend/2020/11/btvn2020-2.php
♩11/10 クリストフ・プレガルディエン(テノール) & ミヒャエル・ゲース(ピアノ)
<「歌曲(リート)の森」〜詩と音楽 第25篇>
64歳のプレガルディエン父、福音史家を息子ユリアンに任せ、指揮者として《マタイ受難曲》を演奏するといった、いままでと違う側面もみせてきているが、歌曲の分野では以前と変わりなく積極的な活動を続けている。
この日予定されている曲は、ベートーヴェンの連作歌曲「遥かなる恋人に寄す」、シューベルトの「白鳥の歌」よりハイネの詩による歌曲、シューマンのユスティヌス・ケルナーの詩による「12の詩」。
ベテランならでは味わいを楽しみたい。
11/10@トッパンホール
https://www.toppanhall.com/concert/detail/202011101900.html
♩11/10、13 Salicus Kammerchor J. S. バッハの教会カンタータ vol.1
コロナ禍の間、オンラインを積極的に活用して、配信をおこなってきたサリクス・カンマーコアがついにライブに復帰する。東京芸術大学バッハカンタータクラブのメンバーを中心に設立されたサリクス・カンマーコアにとっては、原点ともいえるバッハの教会カンタータを取り上げる。コロナ禍を経て、彼らがどんな音楽を奏でるのか。
11/10@武蔵野市民文化会館小ホール
11/13@日本福音ルーテル東京教会
https://www.salicuskammerchor.com/concert
日本センチュリー交響楽団が記念すべき250回目の定期公演を行う。演目はもちろん今年生誕250年を迎えるベートーヴェン。その唯一のオペラ《フィデリオ》だ。タクトを握るのは本楽団首席指揮者の飯森範親。演奏会形式での上演だが、フロレスタン役に水野秀樹、レオノーレ役に木下美穂子など実力派の歌手を揃え、ベートーヴェンが掲げる「正義」に正面から挑む。せっかくの記念の年も、コロナにより多くの演目が流れてしまったが、このオペラを通じて偉人の生誕を改めて祝したい。
11/12@ザ・シンフォニーホール
https://www.century-orchestra.jp/concert/no250/
ソプラノの佐藤裕希恵とのデュオ、ヴォクス・ポエティカで評価を得ている、リュートの瀧井レオナルドが、オール・ダウランド・プログラムでソロ・リサイタルを開く。このコンサートは7月11日に予定されていたがコロナ禍で延期となったもの。感染拡大防止のため、35席限定でマチネとソワレの2回公演となる。
11/12@近江楽堂
https://www.voxpoetica-duo.com/lutesolorecital2020
♩11/12 Vocal Ensemble 歌譜喜 人間の声が紡ぎ出すオーロラのハーモニー
Vocal Ensemble 歌譜喜(かぶき)第6回演奏会は、北欧・バルト3国のアカペラ作品を特集する。北欧からバルト3国は中欧・西欧とは全く異なる発声法での透明で優しくも美しい合唱が盛んである。ラトヴィア放送合唱団、スウェーデン放送合唱団などが近年来日してその桁違いの実力を教えてくれたが、日本の若手もそれに負けない声楽美の世界をみせてもらいたい。
11/12@北とぴあ つつじホール
http://kitabunka.or.jp/event/5131/
♩11/14 ウェールズ弦楽四重奏団〜ベートーヴェン・チクルスⅢ
日本の室内楽シーンを牽引するウェールズSQのベートーヴェン・チクルス(全6回)も中盤に差しかかった。第3回はバートーヴェンのパトロンだったロプコヴィッツ侯爵に献呈の第4番と第10番(ハープ)、それにラズモフスキー伯爵に献呈のラズモフスキー第1番というプログラム。いつもながら質量確かな演奏が期待される。
11/14@第一生命ホール
https://www.triton-arts.net/ja/concert/2020/11/14/3165/
<B→C バッハからコンテンポラリーへ>226 は岸上穣。ナチュラルホルンとモダンホルンの二刀流で臨む、東京都交響楽団ホルン奏者のソロ・リサイタルだ。バッハの編曲版を3曲にシャブリエ「ラルゲット」、池辺晋一郎「ホルンは怒り、しかし歌う」、ベルゲ「ホルンの呼び声」(ホルン・ロック)、ナッセン「ホルン協奏曲」と多彩なホルンシーンが楽しめよう。
11/14@東京オペラシティ リサイタルホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=13528
♩11/14、15 NISSAY OPERA 2020 ルチア~あるいはある花嫁の悲劇~
ドニゼッティのベルカント・オペラの傑作「ランモルメールのルチア」を日生劇場の特別版で上演する。コロナ禍にあたり内容翻案し、NISSAY OPERA 2020 特別編 オペラ『ルチア~あるいはある花嫁の悲劇~』とする。花嫁ルチアに焦点を絞り「ルチアの物語」として翻案、演出(田尾下哲)、指揮は柴田真郁。ダブルキャストでの上演。短縮版90分とのことでどんな物語が紡がれるか期待大。
11/14,15@日生劇場
https://opera.nissaytheatre.or.jp/info/2020_info/lucia/index.html
♩11/15~23 新国立劇場 新作オペラ《アルマゲドンの夢》
新国立劇場が展開する「日本人作曲家委嘱シリーズ」第2弾は、ロンドンを拠点に活躍する世界的作曲家、藤倉大による新作オペラ。彼にとっては3作目となるオペラで、題材はH.G.ウェルズの小説『アルマゲドン(世界最終戦争)の夢』だ。大量殺戮時代となった20世紀を予示したかのような内容だが、藤倉はさらにそれを現代社会に重ね合わせながら描き出すようだ。2018年のザルツブルク音楽祭で《魔笛》を手がけて高い評価を受けたアメリカの演出家、リディア・シュタイアーを迎え、芸術監督大野和士によるタクトで上演。今年一番の注目オペラとなることは間違いない。
11/15~23@新国立劇場
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/armageddon/
♩11/19、20 パラグナ・グループによる ガムラン曼荼羅 “響きの回廊へ”
ガムラン音楽が西洋音楽に与えた衝撃は言うまでもないが、西洋音楽を学んだ作曲家・藤枝守や中世ゴシック・ハープの西山まりえ、笙の石川高とガムラン音楽はどのように共鳴するのだろうか。西洋、日本、東南アジアの音楽の合わせ鏡の中から新しい音楽が聴こえてくるのを楽しみに待ちたい。
11/19,20@トーキョーコンサーツ・ラボ
https://www.musicachiara.com/ruth-slenczynska-1
♩11/22 北とぴあ国際音楽祭 フランス・バロック・オペラの栄華~オペラの楽しみ方 ヴェルサイユ編
11月の恒例行事となっている北とぴあ国際音楽祭、今年はジャン・バティスト・リュリ作曲のフランス・バロック・オペラ《アルミード》の上演が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う様々な状況を考慮し中止となった。
それに代わるものとして、国内の演奏者、バレエのダンサーにより行われるコンサート。指揮の寺神戸亮、アンサンブル・レ・ボレアードの演奏、波多野睦美、中嶋克彦、山本悠尋という歌手陣、松本更紗のバロック・ダンスにより、リュリの《アルミード》《アティス》《町人貴族》、シャルパンティエの《病は気から》、カンプラの《優雅なヨーロッパ》、クープランの《諸国の人々》からの名場面をとりあげる。
オペラの上演中止は残念だが、フランス・バロック・オペラのさまざまな世界を楽しむことができるだろう。
11/22@北とぴあさくらホール
https://kitabunka.or.jp/event/5144/
ピアニストとして着実な歩を進める若林顕、ショパンの全曲演奏に挑んで得た果実を手にロマンティックなシーンを盛り込んだプログラムを披露する一夜。ラフマニノフ「楽興の時」、シューマン「幻想曲」、ラヴェル「水の戯れ」、ショパン「24の前奏曲」。スケールとダイナミズムだけでない色彩感溢れる世界をどう描き出すか。
11/23@東京芸術劇場コンサートホール
http://www.wakabayashi-akira.com/schedule/2020/06/17/202858576.html
♩11/25 『池辺晋一郎歌曲集』出版記念 池辺晋一郎歌曲コンサート
全音楽譜出版社から『池辺晋一郎歌曲集』が出版されるのを記念し、コンサートが開催される。出演は、小林沙羅(ソプラノ)、谷 篤(バリトン)、河野紘子(ピアノ)、正住真智子(ピアノ)。池辺晋一郎の、異なる時期に制作された歌曲を一挙に聞くまたとない機会となるだろう。幅広いジャンルのレパートリーをこなす二人の歌手の表現にも期待したい。
11/25@トーキョーコンサーツ・ラボ
https://tocon-lab.com/event/20200519
八面六臂の大活躍を続ける會田瑞樹がついにB→Cに登場。とすれば一筋縄ではいかないプログラムなのは必至と言えよう。インドネシアの作曲家・演奏家、ウェリ・ヘンドラッモコや箏の金子展寛らと組んで、バッハ以外はほぼ全て2010年代の作品を並べた。しかもバッハも白藤淳一編、石井眞木作品も1985年作。全てが新しいこのB→C、行かざるを得まい。
11/30@東京オペラシティリサイタルホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=13523
♩11/30,12/6 内田光子 with マーラー・チェンバー・オーケストラ 2020
ピアニスト・内田光子が、マーラー・チェンバー・オーケストラと共に来日。11月30日、12月6日に来日公演が開催される。プログラムは日程ごとに異なるが、どちらもモーツァルトのピアノ協奏曲を中心としたもので、11月30日にはヤナーチェク『青春』、そして12月6日にはヴィトマン『コラール四重奏曲』も披露されるという。熟練の技を堪能したい。
11/30,12/6@サントリーホール
https://www.suntory.co.jp/news/article/sh0325.html