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注目のコンサート|2020年9月

♩9/3~6 東京二期会オペラ劇場 ベートーヴェン生誕250周年記念公演《フィデリオ》

今年はベートーヴェン生誕250年ということで、彼の作品を取り上げる機会が多かったはずだが、新型コロナのパンデミックでほとんどが中止となった。第1波が落ち着きをみせたこともあり、演奏者、観客の安全を守りながらの演奏活動が再開され始めた。
各地でオーケストラがコンサートを開くなど、徐々にではあるが会場に音楽が響き始めている。歌手とピアノ、歌手とオーケストラという組み合わせも、すでに行われている。多くの人が舞台に関わるオペラの上演は、これまでの試み以上に課題が増える。出演者の間の感染防止は演技にも制約を与えることだろう。また、歌唱時の飛沫拡散をどう抑えるかも問題となる。
本来であれば、そのようなこととかかわりなく楽しめればよいのだが、多くの条件を克服し、是非成功させてほしい。なお、指揮者は大植英次に変更となっている。

9/3~6@新国立劇場
http://www.nikikai.net/lineup/fidelio2020/index.html

♩9/4,5 日本フィルハーモニー交響楽団 第723回東京定期演奏会<秋季>
【曲目変更:水野修孝→五十嵐琴未:新作、ラヴェル:バレエ音楽《マ・メール・ロワ》】

幅広いレパートリーをこなす日フィルの正指揮者・山田和樹が今回の定期演奏会で振るのは、ジョージ・ガーシュウィン、ミシェル・ルグラン、そして水野修孝の作品。テーマは、クラシック音楽の系譜におけるジャズ、あるいはクラシックとジャズの邂逅といったところか。何といっても注目は、メインの水野修孝〈交響曲第4番〉。ジャンル横断的な快作(怪作?)に山田がどう挑むか、今から期待が高まる。

9/4,5@サントリーホール
https://www.japanphil.or.jp/concert/24089

♩9/8〜16 こんにゃく座「末摘花」

寺嶋陸也が2006年ニュー・オペラ・プロダクションに書き下ろしたオペラ「末摘花」の再演である。
原作は高校演劇界で数々の作品を残した榊原政常「しんしゃく源氏物語」で、末摘花とその取り巻き侍女たちの物語。出演は女性のみ(ダブルキャスト)、ピアノは寺嶋、演出大石哲史。
華やかな大劇場のオペラや海外引っ越し公演が困難な中、日本の創作オペラの元気印のステージに元気をもらおう。

9/8~13@俳優座劇場
http://www.konnyakuza.com/syusai.html#ttl04

 

 

♩9/9 新日本フィルハーモニー交響楽団室内楽シリーズ XVII ~楽団員プロデューサー編~#135 「北欧音楽へのご招待!」

新日フィルメンバーによる室内楽シリーズ、今回はサミュエル・エリクソン(NJPチェロ奏者)のプロデュースで、北欧音楽を集めた。古日山倫世、佐々木絵理子vl 、脇屋冴子 va、エリクソンvcでシベリウス、ベルワルド、ステンハンマル、ニールセン、グリーグを聴かせる。初秋の午後、北欧の澄んだ空気を伝える音調に耳をすませるのも一興では。

9/9@すみだトリフォニー小ホール
https://www.njp.or.jp/concerts/16860

♩9/10The 箏 KOTO 第1回 箏はじめ

現代箏曲の演奏会シリーズ第1回目。20世紀に入ってもなお、二十絃箏、二十一絃箏、二十二絃箏、二十五絃箏と発展を遂げてきた筝。この演奏会シリーズではそれらの筝のために書かれた現代音楽が系譜的に堪能できる模様。今回演奏される作品は、発表年でいうと、1942から1982年のもの。それぞれ絃の本数の異なる筝と、作風の違いを楽しみたい。

9/10@JTアートホールアフィニス
http://www.tokyo-concerts.co.jp/concerts/20200530/

 

 

 

♩9/11 ムジカ・レゼルヴァータによる テレマン=パリ・カルテット

国枝俊太郎(リコーダー、トラヴェルソ)、髙橋弘治(バロック・チェロ)、岡田龍之介(チェンバロ)、小野萬里(バロック・ヴァイオリン)と名手の集まりであるムジカ・レゼルヴァータが、鶴見de古楽にやってくる。テレマンがパリでの演奏会のために趣向を凝らした「パリ四重奏曲」が彼らの手にかかるとどうなるのか見届けたい。

9/11@鶴見区文化センターサルビアホール3F音楽ホール
http://viagalleria.or.jp/event/9月11日(金)4名アンサンブル=ムジカ・レセルヴ/

 

 

 

♩9/11 PURCELL PROJECT 2020 様々なアンセム ~パーセルの音楽と共に歩む~

2009年に設立、継続的に活動してきているパーセル・プロジェクト、今年は「様々なアンセム ~パーセルの音楽と共に歩む~」というテーマで開催される。コロナ禍を受け、観客数を半分とし、同じ日にマチネとソワレの二回公演という形で行われる。
指揮者も兼ねる青木洋也ほかバロック分野を得意とする出演者が集まり続けられてきたこのプロジェクト、パーセルの多様な世界を知る貴重な機会をあたえてくれる。難しい時期であるからこそ、このような地道な活動が続けられていかなければならない。
もちろん音楽的な楽しみも十分に味わえることだろう。

9/11@日本福音ルーテル東京教会
https://www.officearches.com/concert/2020-09-11/

 

♩9/11、12 紀尾井ホール室内管弦楽団第123回定期演奏会

紀尾井ホール室内管弦楽団定演は400 席限定で。2016 年 6 月以来 4 年ぶりとなる指揮なしの演奏会で、コンマスは玉井菜採。グリーグ『ホルベアの時代から』、マーラー『交響曲第 10 番』よりアダージョ、ゴリホフ『ラスト・ラウンド』より第 1 楽章 、ブラームス『弦楽五重奏曲第 2 番』(弦楽オケ版)というプログラム。久々ゆったりと極上室内オケの響を味わえる一夜となろう。

9/11,12@紀尾井ホール
https://kioihall.jp/20200911k1900.html

 

 

♩9/11~13 武生国際音楽祭

現代音楽を中心に内外から一流奏者を迎えて毎年9月に行われている武生国際音楽祭も、今年はコロナによって規模を縮小して開催することになった。一方で、動画配信という新たな試みも行われる。音楽監督、細川俊夫の作品のほか、ベートーヴェン・イヤーの今年は彼の室内楽曲を中心にしたプログラミング。コンサートプロデューサー伊藤恵とともに、山根一仁、北村朋幹など若手トップクラスの奏者たちによる共演はぜひ注目したい。

9/11~13@越前市文化センター
http://takefu-imf.com/mainconcert/

 

 

♩9/15 アンサンブル・ノマド第69回定期演奏会 ともに生きる vol.1:~うたう過去、うたう土~

アンサンブル・ノマドが、寄り添いあうことすらも不可能な現実世界の中で「ともに生きる」ために贈るのは波多野睦美の「声」である。彼女の歌とノマドの演奏によって、過ぎ去りし時、人が生まれ帰るべき土を全身で感じ取りたい。

9/15@東京オペラシティリサイタルホール
https://www.ensemble-nomad.com/コンサート/定期演奏会/第69回定期演奏会/

 

 

 

 

♩9/17、19 藤田真央ピアノ・リサイタル

2017年クララ・ハスキル国際コン優勝、2019年チャイコフスキー・コン第2位で注目を集めた新鋭、今シーズンのテーマは『幻想 Fantasy』。ベートーヴェンの「幻想曲風ソナタ」からチャイコフスキー2曲で超絶技巧に遊び、ショパンとシューベルトの「幻想」へとつなげる。詩情豊かなピアニズムで、彼独自の幻想世界に誘ってくれることだろう。
なお、17日と19日の公演で異なる曲目が演奏される。

9/17,19@東京オペラシティコンサートホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/p840/

 

 

 

♩9/19、20 座・座古庭園大人ライブVOL. 50「庭と音楽」

登録有形文化財指定の家屋と古庭園を舞台に、既成の枠組みを超えた様々な音楽会を展開してきた滋賀県大津市のながらの座・座。好評を博した「庭と音楽」シリーズの第2弾では、「風の息、呼吸する音」と題して尺八(藤原道山)とクラリネット(吉田誠)が登場。自然と一体化した歴史的空間で、東西の音の共演を堪能したい。

9/19,20@ながらの座・座
https://nagara-zaza.net/2020/000348.php

♩9/23 エリザベス朝の人々が愛した音楽

同じメンバーによる「メディチ家が愛した音楽」に続く待望の第2弾。今回はパーカッショニストの濱元をくわえてさらにパワーアップ。有名な「グリーンスリーブス」のほかにも愛すべき音楽が聴けるはず。

9/23(水)@近江楽堂
https://ichiroluth.exblog.jp/29067388/

 

 

 

 

♩9/25 池辺晋一郎大全集プロジェクトvol.5 ~教育楽器による現代作品~

2018年から続くこの池辺晋一郎大全集プロジェクト、第5回は教育楽器、すなわち、リコーダー、ハーモニカ、タンブリンなど、我々が子供のころ身近にあった楽器による作品展である。飄々とした池辺の人柄に親しいこの企画、きっと思いがけない出会いが待っているであろう。

9/25@トウキョウコンサーツ・ラボ
https://tocon-lab.com/event/20200925

 

 

 

 

♩9/26 チェルカトーレ弦楽四重奏団

めぐろパーシモンホール主催・共催の<未来の音 vol.31>に登場するのは、新進チェルカトーレSQ(探求者の意)。2017年東京音大、東京藝大、東京藝大附高の4人により結成。2019年、第8回秋吉台音楽コンクール弦楽四重奏部門第3位、第15回ルーマニア国際音楽コンクール アンサンブル部門第2位(最高位)など。サントリー室内楽アカデミーなどで研鑽を積む。清新なシューベルト「四重奏断章」他、シューマン、メンデルスゾーンに期待したい。

9/26@めぐろパーシモンホール 大ホール
https://www.persimmon.or.jp/performance/sponsored/20200321143400.html

 

(動画配信)

♩9/19 三輪眞弘祭 清められた夜

日本の現代音楽界をリードする作曲家三輪眞弘が、コロナ禍にある音楽界の現状を「音楽の終わりの終わり」と称し、「音楽による音楽のためのお通夜」を企画。開演時間は23時で終演は26時。とはいえ、無観客による開催でライブ配信されるあたり、まさに時宜に適った発想だ。音楽に未来はあるのか、その問いに音を通じて本気で向き合う機会となりそうだ。なお、本公演は第20回佐治敬三賞推薦コンサートに選出されている。

9月19日23時開演@サラマンカホール(ライブ配信)
https://salamanca.gifu-fureai.jp/5262/

*下記のプレイベントもあり
プロローグ「音楽の終わりの終わり」はここから始まる。
8月28日(金)19:00〜20:30
サラマンカホールよりライブ配信(視聴無料)