注目のコンサート&動画配信|2020年6月~7月
♩6/21,27、28 ながらの座・座2020特別企画今、ここに触れたい音楽がある【タイボウ】耐乏、待望、大望
そもそも、ながらの座・座は、大きな庭に面した和室が会場。密閉しない表現の場として、これまで、実験的なおもしろい試みが繰り広げられてきた。
今回、いつもよりちょっと少ない会場定員。おそらく、それ以外はいつも通り。違うのは、集まる人々の期待の熱量と、風景となるマスクだろう。
演奏会はホールでやるのが当たり前というのは、200年の歴史。ホールじゃなければオンラインだ、ではない、まったく新しい自然の音空間の可能性。機械も、音響設備も介在しない、一度限りの時間。
本気で注目。
6/21,27,28@ながらの座(滋賀県小関町3-10)
https://nagara-zaza.net/2020/000347.php
♩7/4 仲道郁代「ベートーヴェンへの道」第3回“ベートーヴェンと北斎”
【公演中止】
仲道のベートーヴェン・シリーズ、テーマは「ベートーヴェンと偉大な魂との対話」。哲学、美術、宗教、文学など、洋の東西を超えた偉人たちとの対話のうちにベートーヴェンその人と音楽世界を探るプロジェクト。その第3回は彼と同時期に生きた絵師・葛飾北斎。仲文筆家・文化芸術プロデューサーの浦久俊彦とのトークと共に両者の魂に迫る。演奏はソナタ「ワルトシュタイン」「熱情」他。
7/4@ Hakuju Hall
https://www.hakujuhall.jp/syusai/231.html
いずみシンフォニエッタ大阪20周年記念演奏会は「天使と神々の幻想」のタイトルで。創立以来音楽監督を務める西村朗による楽団のための書き下ろし〈12奏者と弦楽のための《ヴィカラーラ》〉(世界初演)に加え、プログラム・アドバイザー川島素晴の〈尺八協奏曲〉(solo藤原道山)と、いかにもこの楽団の記念公演にふさわしいスリリングなプログラム。ベルクの〈ヴァイオリン協奏曲〉室内オーケストラ版には人気の郷古廉が登場。飯森範親の熟練のタクトでお楽しみあれ。
7/4@住友生命いずみホール
http://www.izumihall.jp/schedule/concert.html?cid=2136&y=2020&m=7
♩7/7 佐原詩音作曲個展vol.3 おはなしとおんがく
【公演延期】
伊福部昭は「音楽は音楽以外の何物も表現しない」と言い、湯浅譲二は「音楽を通してコスモロジーへ」と語った。しかして佐原は絵本や詩から科学・哲学・社会科学まで広がる「おはなし」を「おんがく」と共演させるという。そこからどんな芸術的出会いが生まれるのか、とくと拝聴したい。
7/7@杉並公会堂小ホール
https://www.facebook.com/events/866151163842848/
第47回定期演奏会は「作曲家の横顔I―エリック・モンタルベッティ」。板倉康明の指揮でモンタルベッティ(1968-)への委嘱作品日本初演ほかのプログラム。モンタルベッティは1980年代後半IRCAMとコレージュ・ドゥ・フランスでピエール・ブーレーズらの教えを受け、その後ジョージ・ベンジャミン、トリスタン・ミュライユらに師事。多様な独奏曲をレコーディング、初のオーケストラ作品は2015年3月パスカル・ロフェ指揮フランス国立ロワール管弦楽団で初演。1996年から2014年までフランス放送フィルハーモニー管弦楽団の芸術監督というキャリア。その横顔を注視したい。
7/9@東京文化会館小ホール
http://orchestra.musicinfo.co.jp/~ts/perform.html
♩7/11 東京二期会スペシャル・オペラ・ガラ・コンサート~希望よ、来たれ!
「多くのオペラファン、クラシック音楽ファンの皆様に、いち早くオペラ歌手の歌声をお届けしなければならない――そのような使命感から、本演奏会の開催を決定いたしました。」という主催者の言葉、聴衆の立場でも待ち望んでいたもの。
政府、東京都ならびに関係諸機関により策定された新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインに基づき、演奏者と観客の安全をはかって開催するとのこと。販売座席は限定される。
沖澤のどか指揮する東京交響楽団に伴われて、二期会の歌手たちが久々の舞台に実力を発揮してくれるだろう。人の歌声の美しい響き、楽器の作り出すハーモニーを楽しみたい。
7/11@東京文化会館大ホール
http://www.nikikai.net/concert/20200711.html
♩7/22 『KCH的クラシック音楽のススメ』第2回「The Rev Saxophone Quartet」
【現在チケット取扱中止中】
昨年より京都コンサートホールが新しく始めた企画「KCH的クラシック音楽のススメ」の第2弾。クラシックの名曲をトークとともに聴くことができるのが魅力だが、ホストとなる奏者が人気、実力ともに注目の若手となる面々だけに見逃せない。今回は、人気サックス奏者、上野耕平率いるThe Rev Saxphone Quartetが会場をリードする。コロナも暑さも吹き飛ばすがごとく、会場も大いに盛り上がるに違いない。
7/22@京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ
https://www.kyotoconcerthall.org/calendar/?y=2020&m=7#key20557
♩7/26 川口成彦 フォルテピアノ・リサイタル
【チケット販売一時休止中】
2018年9月「第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール」で第2位入賞の若きフォルテピアノ川口成彦が三鷹・風のホールに登場。NHK-BSドキュメンタリー番組での様子が帰国に新しい。注目ショパン「24の前奏曲」ほか、バラード、ワルツ、ポロネーズなどポピュラー名曲が並ぶオール・ショパン。使用楽器はプレイエル1843年製。ショパンの愛した楽器での演奏を堪能したい。
7/26@三鷹市芸術文化センター
https://mitaka-sportsandculture.or.jp/geibun/wind/event/20200726/
若き才能を紹介するアフタヌーン・コンサート・シリーズVol.4は今年16歳を迎える弦2人。金子三勇士pfがリスト「ラ・カンパネラ」の他MCで彼らをサポート。羽ばたくヤングは北村陽vcと奥井紫麻。北村はバッハ「無伴奏組曲」とブラームスの「ソナタ第2番 」(大伏啓太pf )、奥井はショパン「ノクターン」「ソナタ第3番」。音楽大好きワクワク感が溢れ出る演奏を期待したい。
7/27@東京オペラシティ コンサートホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=816
♩7/28 Opus One(オーパス・ワン):Live@Hakuju Hall vol.5 鈴木玲奈
【公演中止】(6/30発表)
日本コロンビアとハクジュホールが手を組み、若手アーティストに録音とライブの機会を与え、彼らの成長を助けることを目指したシリーズOpus One(オーパス・ワン)、その第5回となる鈴木玲奈のリサイタル。もともとは4月に予定されていたものだが、コロナウイルスの感染拡大防止のためのイベント中止要請により7月に延期されていたもの。緊急事態宣言の発出、終了を経て、新たなコンサート活動の形を示すものとなる。少人数の演奏家、小規模な会場、聴衆の数の制限など、初めのうちは試行と検証を繰り返すことになるだろう。
若手ソプラノの鈴木玲奈の歌うR.シュトラウスの歌曲、オペレッタのアリアなど、久しぶりの生の音を楽しみたい。
7/28@Hakuju Hall
https://columbia.jp/artist-info/suzukireina/live/67751.html
<動画配信>
♩おうちでオーケストラ「都響ラジオ」配信中!
https://www.tmso.or.jp/j/news/8896/
配信期間(初回配信)4/28~10/27
4/28以降毎週火曜日に配信動画追加中。
50年前の森正や渡邉暁雄から、近年のアラン・ギルバートや大野和士まで、都響の歴史的録音を聴くことによって都響55年間を俯瞰するまたとない機会。これを聴き逃したら歴史的損失となろう。
♩大阪フィルハーモニー交響楽団
https://curtaincall.media/osakaphil.html
配信期間(初回:5/29~6/4、以降1週間ごとに新動画が配信)
日本を代表する指揮者、朝比奈隆が自ら創設した大阪フィルハーモニー交響楽団を振った演奏動画が、クラシック専門ストリーミングサービス「カーテンコール」にて、5月29日より4週にわたって配信されている。映像は、1990年から2001年にかけて撮影されたものから厳選。来年没後20年を迎える名指揮者の最晩年の様子を、高画質、高音声の映像で見ることができる貴重な機会と言えそうだ。
第1回
・シューベルト/交響曲 第7番 ロ短調 D.759「未完成」(1999.7.11収録)
・チャイコフスキー/交響曲 第5番 ホ短調 作品64(1990.11.5収録)
第2回
・ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲(1997.10.26)
・ベートーヴェン/交響曲 第3番 変ホ長調「英雄」(2000.7.8収録)
第3回
・ブルックナー/交響曲 第4番 「ロマンティック」変ホ長調(1999.4.26収録)
第4回
・ブルックナー/交響曲 第8番 「ロマンティック」ハ短調(2001.7.7収録)
♩東京春祭オンデマンド
https://www.tokyo-harusai.com/ondemand_list/
配信期間6/5~9/4
東京の春の風物詩、東京・春・音楽祭。新型コロナウイルスにより今年は開催が叶わなかったが、なんと無観客ライブ・ストリーミング配信公演、無観客でのスタジオ収録公演を含む13公演が無料配信される。画面の向こうに春が帰ってくるのを是非とも感じたい。
♩川崎市&東京交響楽団 Live from MUZA!~マッチングギフトコンサート~
配信日6/23:https://live2.nicovideo.jp/watch/lv326200619
6/27:https://live2.nicovideo.jp/watch/lv326200717
7/3:https://live2.nicovideo.jp/watch/lv326200777
今年3月に延べ20万人以上の視聴者に鑑賞された『【観客のいない音楽会】東京交響楽団 Live from MUZA!』の盛況を受け、東響がニコニコ生放送での生配信を開催する。合わせて東響の公演配信をコンテンツとするニコニコチャンネル「ニコニコ東京交響楽団」も開設するという。この新たな試みに注目していきたい。
♩サントリーホール CMG オンライン <チェンバーミュージック・ガーデン有料ライブ配信>
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/feature/chamber2020/online/
配信期間(6/13,14,19,20,21)
チケット発売は6/5から
http://w.pia.jp/a/suntoryhall06pls/
サントリーホールが贈る室内楽の祭典「チェンバーミュージック・ガーデン2020」が有料ライブ配信でオンライン開催される。堤剛によるベートヴェンのチェロ・ソナタに始まり、エラール製のピリオドピアノ、若手による「おすすめの逸品」「ディスカバリーナイト」そして最後はやはりベートーヴェンで締めるという豪華なプログラムに期待し、応援したい。
♩調布国際音楽祭
https://at.chofumusicfestival.com/
配信期間:6/14~6/21
コロナで中止に追い込まれる演奏会や音楽祭が多い中、鈴木優人がエグゼクティブ・プロデューサーを務める調布国際音楽祭がなんとオンラインでの開催を目指してクラウドファンディングを実施、見事実現にこぎつけることになった。6月14日から21日までの1週間にわたり、毎日3公演を予定。しかも奏者は世界各地から出演。今年生誕250年を迎えるベートーヴェンの作品を中心にしたラインナップで、最大の注目は、最終日に行われるベートーヴェンの第九の第四楽章。100名近い音楽家(オリジナル楽器)がオンラインで合奏するというもので、世界初の試みという(指揮は鈴木雅明)。普段は現地に行けない者も視聴できるだけに、この機会にぜひ見ておきたい。
♩カフェ・モンタージュ Envelope String Quartet Beethoven 2020
https://www.cafe-montage.com/wordpress/2020/05/21/envelopesociety/
配信期間:6月中に配信開始予定
どこかなつかしくて、まったくあたらしい、会員制の演奏会の誕生。
それも、ベートーヴェン・イヤーにちなんだ、弦楽四重奏を1曲ずつ配した17回連続企画。
会場は「カフェ」。三密ではなく親密な空間。
従来と違うのは、オンライン配信されるということ。
すがすがしいのは、会員による会費で運営されること。
プログラムの曲目は、この上なく憎い組み合わせ。
わくわくする。