Menu

Back Stage|NISSAY OPERA 2020/ニッセイ名作シリーズ2020『セビリアの理髪師』|篠塚崇

NISSAY OPERA 2020/ニッセイ名作シリーズ2020『セビリアの理髪師』
NISSAY OPERA 2020/Nissay Masterpiece Series 2020 “Il Barbiere di Siviglia”
~オペラ公演を通じた日生劇場の芸術文化振興活動~

Nissay Theatre contributes to advance performing arts and culture through opera.

Text by 篠塚崇 (Takashi Shinozuka)

日生劇場客席(撮影:木村博行)

<日生劇場とオペラ>
日生劇場は半世紀以上にわたり様々なジャンルの舞台芸術を提供し、我が国を代表する「劇場」のひとつとして多くのお客様に親しまれています。とりわけオペラは1963年の杮落しでのベルリン・ドイツ・オペラの招聘公演以来、上演を続けてきた重要なジャンルです。
現在は自主制作で2本、藤原歌劇団、東京二期会との共同主催でそれぞれ1本ずつ、「NISSAY OPERA」として年間4本のオペラを上演しています。

<6月のオペラ『セビリアの理髪師』>
2020年は6月にロッシーニ作曲のオペラ『セビリアの理髪師』を上演します。軽やかでスピード感のある音楽とコメディ要素たっぷりの身近な人間ドラマが魅力の作品です。指揮にはびわ湖ホール芸術監督の沼尻竜典氏、演出は日生劇場芸術参与の粟國淳氏が務めます。本作は2016年初演のプロダクションで4年ぶりの再演です。

初演時の公演写真(撮影:三枝 近志)

物語の舞台はスペインのセビリア。医者のバルトロは姪のロジーナの財産目当てに結婚を企んでいます。一方、彼女に一目惚れしたアルマヴィーヴァ伯爵はバルトロ邸に出入りしている理髪師で知人のフィガロの助けを借り、バルトロの目をかいくぐりながら何とかロジーナに想いを伝え、恋を成就させるラブストーリーコメディです。音楽教師のバジリオ、バルトロ邸の女中ベルタ、伯爵の召使フィオレッロといったキャラクター達も物語を面白可笑しく盛り上げてくれます。
「オペラは敷居が高い」という先入観にとらわれがちですが、本作品はオペラファンは勿論、オペラ初心者の方の共感も得られ、心底楽しんで頂けるものです。是非劇場でご堪能下さい。

『セビリアの理髪師』
関連企画

『セビリアの理髪師』公演後の6月後半には藤原歌劇団との共同主催でモーツァルト作曲のオペラ『フィガロの結婚』を上演します。
この2つのオペラはフランスの劇作家ボーマルシェの書いた「フィガロ3部作」と呼ばれる町民劇のうち、一作目と二作目をオペラ化した作品です。日生劇場では上演作品をより楽しんで頂けるようにオペラ関連企画も実施していますが、今回はその関係性を活かして藤原歌劇団と合同で関連企画を実施します。
日生劇場のピロティ(ロビー)で両演目の出演歌手によるコンサート、上演機会の少ない「フィガロ三部作」の三作目「罪ある母」のリーディング公演、2つのオペラの指揮者による音楽レクチャー、演出家によるドラマトゥルギー・レクチャーという4つの企画です。
コンサートとリーディングは有料になりますが、レクチャーはどちらも無料で開催致します。先着順でお申込み頂けますので、お気軽にご参加ください。
(定員になり次第受付終了となります)

<オーディションに拘る日生劇場のオペラ制作スタイル>
自主制作オペラではキャストは所属に拘わらず、若手からベテランまで実力勝負のオーディションで決定しています。審査員は指揮者、演出家、声楽家の先生、当劇場芸術参与から成り、2日間かけてじっくり審査をします。毎回多数の方々にご応募頂いていますので、議論が白熱し、結論が出るのが深夜になる、という事もしばしばあります。
オーディションは準備を含めて手間と時間がかかりますが、良いところが沢山あります。特に新しい人材を起用する機会が得られる事、歌手に出演機会の公平性が担保される事はオーディションならでは。応募者は年々増加傾向にあり、近年では国内のみならず国外からも(外国人含む)応募が来るようになってきました。

名作シリーズパンフレット

<劇場の中核事業・無料招待公演「ニッセイ名作シリーズ」>
日生劇場は、1964年から小学校6年生をミュージカル公演へ無料招待する「ニッセイ名作劇場」を50年間実施しました。1979年からは中高生にオペラを低廉な料金で鑑賞する機会を提供する『青少年のための「日生劇場オペラ教室」』を34年間継続してきました。これらの取組を統合・拡大し、2014年度には「オペラ」「バレエ」「物語付きクラシックコンサート」「人形劇」等幅広いジャンルから成る、幼児から高校生までを対象とした無料招待公演「ニッセイ名作シリーズ」を新たにスタートさせました。これらは日生劇場のみならず、全国の劇場でも実施しており、年間招待者数は40,000名を超えます。
『セビリアの理髪師』では中高生を対象に「ニッセイ名作シリーズ」を展開しており、日生劇場で7公演、11月にはびわ湖ホール、12月には愛知県芸術劇場でそれぞれ1公演ずつ、合計9回の公演を行います。舞台芸術をより深く理解して頂けるように事前に作品を学習できるDVDの提供や学校の希望に応じて出張授業を行うのも本シリーズの特長です。
「ニッセイ名作劇場」から始まり「ニッセイ名作シリーズ」を含めた招待者数は間もなく800万人に到達しようとしています。青少年の「豊かな情操」や「多様な価値観」を育むために、日生劇場はこれからも全国各地で優れた舞台芸術に触れる機会を提供し続けられるよう、今後も最大限の努力を尽くしていきたいと考えております。

篠塚崇(公益財団法人 ニッセイ文化振興財団 企画制作部)

(2020/2/15)

■公演情報

セビリアの理髪師

NISSAY OPERA 2020/ニッセイ名作シリーズ2020 『セビリアの理髪師』
(全2幕 原語[イタリア語]上演・日本語字幕付)
2020年6月13日(土)・14日(日) 14:00開演 13:30開場
https://www.nissaytheatre.or.jp/schedule/siviglia2020/

NISSAY OPERA×藤原歌劇団 オペラ『セビリアの理髪師』『フィガロの結婚』合同関連企画
・ピロティ・コンサート「理髪師は見た!『セビリアの結婚』の真実!?」(受付終了)
2020年3月26日(木)18 : 30開演(18 : 00開場)
・リーディング公演「罪ある母」
2020年3月30日(月)18 : 30開演(18 : 00開場)
https://www.nissaytheatre.or.jp/news/siviglia2020preevent/

<開催予定>(日時・会場未定)
・音楽レクチャー「マエストロ オペラ大解剖」
・ドラマトゥルギー・レクチャー「演出家は何を考えるのか」