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注目のコンサート|2020年1月

♩1/5日 リクレアツィオン・ダルカディア2020 フランチェスコ・ドゥランテ 「ナポリ・対位法の魔術師」

ヨーロッパ在住の日本人ピリオド楽器演奏家4人のグループ、リクレアツィオン・ダルカディア(Ricreation d’Arcadia)によるコンサートは毎回魅力的なテーマを掲げたプログラムに特徴がある。今回はヴィオラの朝吹園子をゲストに迎え、ナポリの作曲家ドゥランテを取り上げる。2020年の聴き初めに是非。

1/5@近江楽堂
https://www.officearches.com/concert/0105-rd/

 

♩1/8 トッパンホール ニューイヤーコンサート2020

毎年のニューイヤー、トッパンならではのプログラミングが魅力だが、今年は D ・ゼペック、山根一仁、P・ブルンズの個性派3人をメインにトッパン・ホール・チェンバーオーケストラで協奏曲を並べた。ブルンズも加わってのヴィヴァルディ『四季』(山根solo)は最高のお年玉!聴き逃せない。ゼペック選曲によるグラウンはヴィヴァルディに似るがさらに「いっちゃってる」多感様式作品だそうでこちらも楽しみ。他にハイドン。

1/8@トッパンホール
http://www.toppanhall.com/concert/detail/202001081900.html

 

 

 

♩1/11,12 堺シティオペラ第34回定期公演「アイーダ」

大阪府堺市で30年以上の長い実績をもつ堺シティオペラ。2019年10月にグランドオープンしたフェニーチェ堺でヴェルディの大作「アイーダ」を上演する。平成30年度芸術祭賞大賞を受賞した並河寿美など、関西オペラ界を代表する豪華な歌手陣(ダブル・キャスト)のほか、指揮に牧村邦彦、演出に粟国淳とベテラン勢を起用。2020年の幕開けを華やかに迎えることが出来そうだ。

1/11,12@フェニーチェ堺
http://sakai-city-opera.jp/publics/index/218/

 

 

 

♩1/11~15 日本オペラ協会公演《紅天女》新作初演
    (原作・台本 美内すずえ 作曲 寺嶋民哉)

美内すずえのコミックス「ガラスの仮面」の劇中劇「紅天女」を作者自身の台本、寺嶋民哉の作曲でオペラ化する。出版されている原作の中ではまだ書かれていないこの劇の結末が明らかにされるという。「オペラ」という名前のためか敬遠されがちな新作の公演だが、コミックスの人気を受けて新たな客層の開拓ができるかに注目したい。また、作曲、歌手もミュージカル畑で活躍している人も加わる。オペラの世界に留まらない新たな取り組みの行方も楽しみ。

1/11~15@Bunkamuraオーチャードホール
https://www.jof.or.jp/performance/nrml/2001_kurenai.html

 

 

♩1/11,18 フラックス弦楽四重奏団コンサート1. ≪系譜≫ Family Tree of American Composers

1996年に結成されたアメリカのフラックス弦楽四重奏団はほぼ現代作品演奏を専門とする。その意味でアルディッティSQと似た存在だが、誤解を恐れずに書けばアルディッティよりもさらに切れ味が鋭い。そのフラックスSQ、2015年に続いて4年ぶりに神奈川県民ホールに登場。2回のコンサートのうち、特に一柳慧の弦楽四重奏曲全曲演奏が大注目。

1/11,18@神奈川県民ホール
https://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/detail?id=36322#.XeBJ3egzZPY

 

 

♩1/12 工藤あかね&松平敬 Voice Duo vol.2 あいうえお

現代音楽界最強と言っても過言ではないソプラノとバリトン、工藤あかねと松平敬のデュオが開催される。一番古い作品がベリオの『セクエンツァIII』(1966)、他は1997年のルシエ、2001年の高橋悠治、そして松平の自作初演も加わったここ3年の最新作というプログラム。声だけでなく「物体」も用いての「現代声楽曲」総覧で、既成概念を覆す体験間違いなしである。

1/12@近江楽堂
https://tiget.net/events/72795

 

 

 

♩1/15 読売日本交響楽団第594回定期演奏会

「ペスト流行時の酒宴」という不吉なグバイドゥーリナの日本初演作品名を副題とし、ロシア(ショスタコーヴィチ、グバイドゥーリナ)とアメリカ(アダムズ、フェルドマン)というかつての「東西」の二大国の現代作品を並べた曲目に下野竜也と読響が挑む。娯楽や癒やしや消費物ではない真の「音楽」を感じられる舞台を期待したい。

1/15@サントリーホール
https://yomikyo.or.jp/concert/2018/10/594-1.php

 

 

 

♩1/17 紀尾井ホール室内管弦楽団アンサンブル・コンサート5

紀尾井ホール室内管弦楽団によるアンサンブルコンサート5(紀尾井マーラー・セレクション IIマーラー《大地の歌》~ウィーン・フィルのメンバーを迎えて)はホール室内管弦楽団首席指揮者ライナー・ホーネックがコンマスを務めるウィーン・フィルからチェロ、フルート、ファゴットを迎えてのステージ。《大地の歌》にはメゾソプラノとテノールに若手二人が登場、清新なマーラーを聴かせてくれよう。前半は新春気分を盛り上げるウィンナ・ワルツ。20世紀初頭ウィーンの空気をたっぷり楽しみたい。

1/17@紀尾井ホール
http://www.kioi-hall.or.jp/20200117k1900.html

 

 

♩1/18 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団第330回定期演奏会

高関健が、彼の師・渡邉曉雄へのオマージュとして、渡邉が初演した柴田南雄、矢代秋雄の現代日本の古典的名作、そして渡邉が生涯愛したシベリウスを振る。指揮法の精緻さにおいては日本指折りの高関だが、その源流にあるのは渡邉の教えと精神であろう。派手ならず、心の襞に触れる演奏を期待したい。

1/18@東京オペラシティコンサートホール
https://www.cityphil.jp/concert/detail.php?id=93&y=2020&m=1

 

 

 

 

♩1/18(京都)、25(神奈川) 室内オペラ『サイレンス』

アカデミー賞やゴールデングローブ賞受賞など、映画音楽界でいま最も注目される作曲家、アレクサンドル・デスプラが室内オペラを手がけた。題材は、ノーベル賞作家川端康成の短編小説『無言(サイレンス)』。2019年2月のルクセンブルクでの世界初演に続き、パリでも初演され高い評価を受けたこのオペラが、ついに本邦初演を迎える。ソルレイの演出に映画撮影監督の永田鉄男による映像が加わり、デスプラ自身の指揮のもと、現代音楽アンサンブル、アンサンブル・ルシリンが音楽を担当。日本を代表する文豪の描いた怪奇の世界が西洋の手を通じてどのように音楽化されるのか、ぜひ注目したい。

1/18@ロームシアター京都
https://rohmtheatrekyoto.jp/lp/silence_kyoto/
1/25@神奈川県立音楽堂
https://www.ongakudo-chamberopera.jp/?p=14

 

♩1/22,23 NHK交響楽団第1932回定期公演 Bプログラム ファビオ・ルイージ指揮

2017年8月に読響デビューを果たした時以来のルイージ来日公演における『英雄の生涯』。シュターツカペレ・ドレスデンとの素晴らしい録音でも証明されている通り、ルイージの十八番たる同曲が度々の共演でもはや馴染みの関係とも言いうるN響でどう鳴り渡るか。オポライスを迎えての『4つの最後の歌』も期待大。

1/22,23@サントリーホール
https://www.nhkso.or.jp/index.php

 

 

 

♩1/23,28,29 東京芸術劇場 海外オーケストラシリーズ フィルハーモニア管弦楽団

エサ=ペッカ・サロネンが、首席指揮者を務めてきたフィルハーモニア管弦楽団との最後の来日となる。サロネン自身のチェロ協奏曲、マーラーの交響曲第9番、ストラヴィンスキーの春の祭典、火の鳥など、彼等らしいプログラムが組まれた。
両者の到達点を心行くまで楽しみたい。

1/23,28,29@東京芸術劇場
https://www.geigeki.jp/performance/concert182/

 

 

 

♩1/25 飯森範親指揮 東京交響楽団第677回定期演奏会

ウド・ツィンマーマンの『白いバラ』に続いての飯森範親&東響によるドイツ現代作品特集とでも言うべき当コンサートは、ラッヘンマンの『マルシェ・ファタール』(2017年6月に水戸芸術館においてピアノ版が「世界初演」されている)、リームの『道、リュシール』、そしてアイネムの『ダントンの死』管弦楽組曲という何とも意欲的なプログラム。最後にR.シュトラウスの『家庭交響曲』が来るのも何らかのコンセプチュアルなものを感じさせる。

1/25@サントリーホール
http://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=UxXGqLHPhK4%3D

 

 

 

♩1/25 ヘンデル:オラトリオ《ヨシュア》

毎年1月の恒例となったヘンデル・フェスティバル・ジャパンの公演、2020年は《ヨシュア》。1747年作曲のオラトリオで、第3幕の合唱曲「見よ、勇者は還る!」は表彰式などで演奏されるおなじみの曲。このオラトリオの前年の作品《ユダス・マカベウス》の再演のおりにヘンデルはこの曲を取り込み演奏するようになった。モーゼの「出エジプト」の後、カナンの地に向け戦うイスラエルの民を描く。エリコの城壁崩落など有名な場面が含まれる。
ソリスト、合唱、オーケストラ、毎年ほぼ同じメンバーが集まり、三澤寿喜の指揮のもと充実した演奏を聴かせる。演奏機会の少ない曲、この機会をのがしてはならない。

1/25@浜離宮朝日ホール
http://handel-f-j.org/

 

♩1/29 カルテット・アマービレ BRAHMS Plus 〈 I 〉

カルテット・アマービレがHakujuHallで室内楽のシリーズを始動させる。柱となる作曲家はブラームス。そこに他の作曲家の作品を適宜加え、さらには曲に応じてゲスト奏者も参加。第1回目の今回は堤剛と磯村和英が登場してのシェーンベルク『浄夜』とブラームスの弦楽六重奏曲第1番、室内楽ファンは聴き逃せない一夜。

1/29@Hakuju Hall
https://www.hakujuhall.jp/syusai/215.html