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撮っておきの音楽家たち|ディアナ・ティシチェンコ|林喜代種  

ディアナ・ティシチェンコ(ヴァイオリニスト)
Diana Tishchenko, violin

2019年7月25日 紀尾井ホール
2019/7/25   Kioi Hall
photos & text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)

紀尾井~明日への扉Vol.24に登場したのは昨年2018年のロン=ティボー=クレスパン国際音楽コンクールで優勝したクリミア出身のヴァイオリニスト、ディアナ・ティシチェンコ。資料によると、日本へは今年の5月初旬に行われた東京でのラ・フォル・ジュルネに三ツ橋敬子指揮神奈川フィルとの共演及びファイナル・コンサートに出演。今回は彼女の日本デビュー・リサイタルである。

ディアナ・ティシチェンコは1990年ウクライナ(現クリミア)のシンフェロポリに生まれる。6歳でヴァイオリンを始める。18歳でグスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団に入団する。ほどなく最年少コンサートマスターに選ばれる。名だたる著名指揮者たちと共演する。2018年クロンベルク・アカデミーの「室内楽で世界を結ぶ」プロジェクトのメンバーに抜擢され、ギドン・クレーメル、スティーブン・イッサーリス、クリスティアン・テツラフと共演する。これまでにザルツブルク室内音楽祭、ヴェルビエ音楽祭、メクレンブルク=フォアポンメルン音楽祭に出演している。2013年ミュンヘンARDコンクールのファイナリスト(特別賞受賞)、2018年上海アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクール第3位。今回の日本デビュー・リサイタルのプログラムはラヴェル、エネスク、シマノフスキ、プロコフィエフ。「いずれも20世紀前半のヨーロッパで誕生した作品です。ジャズや民族的な要素、そして印象主義に、第二次世界大戦中に作曲されたプロコフィエフのソナタに込められた魂まで、それぞれの曲のもつ世界観」を聴いてほしいと演奏者は語っていた。ピアニストのジュリアン・カンタンとの信頼感ある演奏で安定した音楽の醍醐味をホール一杯に充ち溢れさせた。

(2019/8/15)