Menu

撮っておきの音楽家たち|マリア・バーヨ|林喜代種

マリア・バーヨ(ソプラノ)
Maria Bayo

2019年6月17日 すみだトリフォニー小ホール
2019/6/17    SUMIDA TRIPHONY HALL

photos & text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)

ヨーロッパを中心に活躍するスペインの名ソプラノ歌手マリア・バーヨが11年振りに来日し、スペイン歌曲&サルスエラの名曲の夕べ、ヘンデル&モーツァルトの古典歌曲の夕べと2夜に渡りリサイタルを行なった。
マリア・バーヨは1961年5月、スペインのパンプリ―ナ県トゥゲラに生まれる。資料によると、もともとはギタリストになるべく基礎教育を受けるためにサラサーテ音楽院に入学するも、ギター科に空きがなく、合唱団の歌唱の訓練を受けることになる。それがきっかけでソプラノ歌手への道を歩き始める。1985年デトモルト音楽大学に入学し、テレサ・ベルガンサの薫陶を受ける。1988年ベルヴェデーレ国際声楽コンクールに優勝。これを機に国際的キャリアをスタートさせている。その音楽性は華麗な声の響き、表現力、演技力共に群を抜きスペインのソプラノ歌手としてモンセラート・カバリエの後継者としての逸材として、その存在を発揮している。
日本へは2008年新国立劇場のオペラ「ラ・ボエーム」のミミ役で来日をしている。その魅力ある歌声は日本の聴衆を圧倒し今に語り継がれている。同時にリサイタルも行なっている。レパートリーは「ラ・ボエーム」のミミのほかに「セビリアの理髪師」のロジーナ、「コジ・ファン・トゥッテ」のデスピーナ、「フィガロの結婚」のスザンナ、「マノン」のタイトルロールなど、マドリッドのテアトロ・レアル&テアトロ・デラ・サルスエラ、ウィーン国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、ザクセン州立歌劇場、サンフランシスコ・オペラなどに出演している。
マリア・バーヨはスペイン音楽にも取り組んでおり、多くのサルスエラの録音残している。この日の古典音楽の夕べではヘンデルと得意とするモーツァルトのコンサート・アリアやオペラ・アリアを歌う。楽譜を見ての歌唱だったためか透明感ある艶やかな声ののびは楽譜なしのアンコールまでお預けだったように思われた。多くの熱心なファンが終演後にサインを求めていた。

(2019/7/15)