撮っておきの音楽家たち|ウラディーミル・ユロフスキー|林喜代種

ウラディーミル・ユロフスキー(指揮者) 

2019年3月26日 サントリーホール
photos & text by  林喜代種( Kiyotane Hayashi) 

ヨーロッパで最も注目度の高い指揮者ウラディーミル・ユロフスキーがベルリン放送交響楽団を率いて来日した。2017年10月にはロンドン・フィルとで初来日。その演奏は日本の聴衆を魅了する。今回の来日ではマーラー編曲によるベートーヴェンの交響曲第7番を大編成のオーケストラで演奏し注目された。「マーラーは自分にとって20世紀の音楽を理解する上で重要な鍵です。」と語っている。
ウラディーミル・ユロフスキーは1972年モスクワ生まれ。映画音楽を数多く残した祖父、オペラ指揮者として高名な父のミハイルという家庭環境で育つ。モスクワ音楽院で学んだ後、ドレスデンとベルリンでも学ぶ。
2017年のシーズンから、マレク・ヤノフスキーの確立した音楽を引き継ぎ発展させるべく、ベルリン放送交響楽団の首席指揮者及び芸術監督に就任する。コンサートのみならずオペラ界でも注目の指揮者である。また2021年のシーズンよりバイエルン国立歌劇場の次期音楽監督就任が発表されている。ベルリン・フィル、ニューヨーク・フィル、フィラデルフィア管、シュタッツカペレ・ドレスデン、ロイヤル・コンセルトヘボウ管などの主要オーケストラに客演。
オペラでは、1995年コヴェント・ガーデン王立歌劇場においてヴェルディの「ナブッコ」を大成功に導く。その後パリ、ブリュッセル、ボローニャなどで成功を収め、メトロポリタン、ミラノ・スカラ座でデビューし、オペラ指揮者としての地位を確立する。
またオーケストラについて、「偉大なオーケストラはどれもオペラの演奏が中心で、その傍らで管弦楽曲の演奏を行なってきた。オーケストラにとって大切なのは室内楽、交響曲、オペラとそれぞれバランスよくやることです。オペラは楽曲だけでなく、歌手との共同作業です。」「作曲家が書いたオペラを学ぶことで、その交響曲への理解が増すという直接効果があると思う。オペラを分析し、登場人物やテキストと調性やメロディー、リズムとの相互関係を見ていくと、交響曲をどう解釈すべきかが自然と見えてきます。」「交響曲とオペラを並行して取り組むことのメリットは相当に大きい。」と語っている。注目すべき指揮者の姿勢が窺がえるようだ。

(2019/5/15)