注目のコンサート|2018年8月
トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ2018に再登場のフレイレ、昨年12年ぶりの来日名演も記憶に新しい。ベートーヴェンの「月光」を含むソナタ2曲、ブラームス、ドビュッシー、アルベニスと彩り豊かなプログラム。ブラジルの名匠の音の境地をたっぷり楽しみたい。
8/1@すみだトリフォニー
https://www.triphony.com/concert/detail/2017-12-002116.html
♩8/4、5、9 「ウエスト・サイド物語」シネマティック・フルオーケストラ・コンサート 2018
佐渡裕が恩師バーンスタインに捧げる<「ウエスト・サイド物語」シネマティック・フルオーケストラ・コンサート 2018 >。舞台上の大スクリーンで映画全編を上映、オーケストラの生演奏をシンクロさせるライブ形式である。演奏は東京フィルハーモニー交響楽団。東京・大阪の3日間の公演だ。暑さを吹き飛ばす熱い演奏に耳目ともに燃え上がろう。
8/4,5@東京国際フォーラム ホール A
8/9@フェスティバルホール
https://westsidestory-concert.jp
昨年、マーラー『大地の歌』のシェーンベルク編曲版をメインとするプログラムで船出を飾ったアンサンブル・ヴァガボンズ。コントラバス西澤誠治・ヴィオラ成田寛・ヴァイオリン原田陽によって結成され、編成や時代を問わず様々な室内楽やアンサンブルに取り組む。今回の後半で取り上げるフォーレ『レクイエム』は一般的な第3稿(2管編成を要する)ではなく、室内楽的な編成による第2稿・1893年版による演奏だ。オルガンではなくハーモニウムを使用するというのも音色の違いが興味深いところ。下野竜也の安定感ある指揮、バッハ・コレギウム・ジャパン等で活躍する独唱陣にも期待したい。
8/8@渋谷区文化総合センター大和田4階 さくらホール
http://vagabonds8.wixsite.com/ensemble-vagabonds/ensemble-vagabonds-vol-2
♩8/17〜30 第39回草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティバル
草津の夏を彩るアカデミーとフェスティバルも今回で39回を迎える。今年のテーマは「自然が創造する音楽」。自然の音に耳を傾け、それを写すことから音楽は生まれたのではないか。テーマに沿ってルネサンスからバロック、現代に至るまで、作曲家の自然へのオマージュをたどる。記念の作曲家は生誕200年のグノーと100年のドビュッシー。名手たちの妙技と小鳥のさえずりを高原の冷気に楽しむ2週間である。
8/17~30@草津音楽の森国際コンサートホール他
http://kusa2.jp
今年のサントリーサマーフェスティバル、ザ・プロデューサー・シリーズにはマルチな才能を発揮している野平一郎を迎え、彼の創作活動の源流たるフランス音楽の回顧展(といっても6作中5作は日本初演)(8月27日、9月1日)、そして新作オペラ『亡命』で野平の音楽世界の「今」を聴く(8月22日、23日)。
テーマ作曲家はやはりマルチな才能の持ち主、イェルク・ヴィトマンによるクラリネットあるいは指揮の自作自演を多数揃えたプログラム(8月25日、31日)。
新しい音楽との出会いを期待したい。芥川作曲賞選考演奏会は8月26日。
8/22~9/1@サントリーホール
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/feature/summer2018/
2015年に音楽監督を勇退してなお、札幌交響楽団と深い結びつきを持ち続ける尾高忠明。名手揃いの札響で今回彼が取り上げるのは、最も得意とする英国作品だ。ヴォーン・ウィリアムズ、エルガー、ウォルトンを描き分け、20世紀初頭の英国音楽界の諸相を魅せてくれることだろう。なおエルガーのチェロ協奏曲をヴィオラ版で奏するのは世界的名手・今井信子。深い内容を湛えるこの屈指の名曲が新たに響く瞬間を目撃したい。後半のウォルトン『交響曲第1番』はコンパクトな編成ながら絢爛たる音響が見事な作品。Kitaraに響く尾高×札響の雄渾なサウンドが待ち遠しい。
8/24,25@札幌コンサートホールKitara
http://www.sso.or.jp/concerts/2018/08/2018subscription-611/
室内楽、ソロ、オーケストラといずれのジャンルでも高い評価を得ている実力派上森によるバッハ、ブリテンの無伴奏チェロ組曲全曲演奏会2018。夏の土曜日の午後、3回に分けての超絶マラソンコンサートであれば水分補給片手に参加したい。各回、バッハ2曲とブリテン1曲の組み合わせ。時を超え、時をつなぎ、時を紡ぐチェロの響きに耳を遊ばせ、耳を凝らそう。
8/25@東京文化会館小ホール
J.S.バッハ×B.Britten×上森祥平
日本では、8月といえば原爆投下や敗戦を迎えた月でもあり、音楽会でも戦争や平和を思い起こすプログラムが並ぶことが多い。京都市交響楽団ではその8月の定期として、第2次世界大戦の凄惨な記憶から反戦平和を訴え続けたブリテンによる《戦争レクイエム》を上演する。指揮には常任首席客演指揮者の高関健、ソプラノに木下美穂子、テノールに小原啓楼、バリトンに大西宇宙を迎えての公演。夏の最後の休日を、音楽による祈りで過ごしてみてはどうだろう。
8/26@京都コンサートホール
https://www.kyoto-symphony.jp/concert/detail.php?id=699&y=2018&m=8
横浜市文化プログラム「DanceDanceDance@YOKOHAMA 2018」、横浜美術館「モネ それからの100年」(7月から開催)に寄せ、福間洸太朗、齋藤一也(ピアノ)、﨑谷直人(ヴァイオリン、門脇大樹(チェロ)の若き男4人衆が、ドビュッシー、ラヴェルらの小品をプログラムに据え、さらに振付とダンスを中村恩恵に委嘱し共演する。「水・空気・光」と題された3部構成の斬新企画。ダンスメンバーも首藤康之ら、トップクラスを揃えた。どんな印象派世界が描き出されるか楽しみだ。
8/30@横浜みなとみらい 大ホール
http://www.yaf.or.jp/mmh/recommend/2018/08/post-268.php
♩8/31〜9/2 第13回 Hakuju ギター・フェスタ イタリア2
過ぎ行く夏の終わりを飾るにふさわしい Hakujuのギター・フェスタ。福田進一がソロで加藤昌則の世界初演作品を、荘村清志が小林美恵とイタリア世界を、波多野睦美と歌曲世界を、クピンスキー・デュオとトリオ、カルテットを、と多彩なギターの饗宴が繰り広げられる。旬のギタリストは徳永真一郎。クープランやジュリアーニを披露する。ギターの音色にしみじみ浸かりたい3日間だ。
8/31~9/2@ Hakuju Hall
http://www.hakujuhall.jp/schedule/concert/pdf/concert04_2018-19_01.pdf