注目のコンサート|2018年2月
2016年新設の第1回上海アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクール優勝の木嶋は10代からすでに華やかなキャリアを積んできた。その成長ぶりを示す6年ぶりの自主公演である。プロコフィエフのソナタを最後に置き、平井真美子の世界初演曲「マゼンタ・スタリオン」で新たな地平を開く渾身のプログラム。しっかり聴き届けたい。
2/2@紀尾井ホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=625
1983年ロシア生まれのピアニスト、アンナ・ヴィニツカヤはロシアで学んだのち、ハンブルク音楽大学にて研鑽を積みE.モギレフスキー、パウル・バドゥラ=スコダらのマスタークラスに参加。2007年エリザベート王妃国際コンクール優勝、現在後進の指導にも当たっている。幅広いレパートリーからプロコフィエフ、ドビュッシー、ショパンなど、その華麗なピアニズムに酔いたい。
2/2@サントリーホール
http://www.concert.co.jp/artist/anna_vinnitskaya/
♩2/2、3 新日本フィルハーモニー交響楽団 第583回トパーズ
ドイツとイギリスで学んだ指揮者マルクス・シュテンツが今回挑むのは、同じドイツの交響曲でも18世紀古典派のハイドンと20世紀現代音楽のヘンツェ。均整の極みとも言うべきハイドンと、均整など破壊しつくすかのような荒々しいヘンツェが1つのコンサートでどのような化学変化を起こすのか実に興味深い。
2/2,3@すみだトリフォニーホール
https://www.njp.or.jp/archives/4738
ウィーン国立歌劇場で日本人初のカウンターテナーとしてデビューを果たした藤木大地、華々しい活躍で今や押しも押されぬ存在となったが、東京文化会館の<シャイニング・シリーズvol.2>に登場。「日本のうた」を中心としたプログラムは興味深い。上野の地で開花した西洋音楽ということで1900年の『花』から西村朗、増田真結&清水慶彦、加藤昌則ら、藤木による委嘱作も並べ、間にアメリカの歌も挟む。楽しみだ。
2/4@東京文化会館小ホール
http://www.t-bunka.jp/stage/host_10390.html
マックス・ポンマーは2015年、札幌交響楽団の首席指揮者に就任以来、バロックから現代音楽まで幅広いレパートリーを精力的に取り上げてきた。3年間の任期の最後に迎える東京公演で選んだのは「田園」と「運命」という王道プログラム。2月9日には82歳となる巨匠による札響サウンドで清新なベートーヴェン2大傑作が聴けよう。
2/6@サントリーホール
http://www.sso.or.jp/concerts/2018/02/-2018/
♩2/10 いずみシンフォニエッタ大阪第40回定期演奏会〈新・音楽の未来への旅シリーズ〉
現代音楽作品を中心にしたユニークな上演内容で知られるいずみシンフォニエッタ大阪が、40回目の定期公演を迎える。節目となる今公演では、音楽監督を務める西村朗のオーボエ協奏曲の新作初演に加え、プログラム・アドヴァイザー川島素晴がレスピーギの《交響詩「ローマの噴水」》を室内管弦楽用に編曲した《ローマのいずみ》、さらに同団がこれまでに上演した現代作品の中からカーゲルの《フィナーレ》を取り上げ再演するなど、記念公演を飾るにふさわしい豪華な演目が並ぶ。2000年に結成された同団の活動を改めて振り返る上でも見逃せないものとなるだろう。指揮:飯森範親、オーボエ:トーマス・インデアミューレ。
2/10@いずみホール
http://www.izumihall.jp/schedule/concert.html?cid=1504
2009年第9回ロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクールで日本人初優勝を飾った宮田大。桐朋音大からジュネーブ音楽院で学びソロに室内楽に大活躍の実力派である。今回は
ジュリアン・ジェルネのピアノでサン・サーンス、フォーレなどポピュラー曲のほかフランク、ブリテンのソナタを披露する。午後のひととき、宮田の奏でるストラディ“シャモニー”の音楽をゆっくり楽しみたい。
2/10@所沢市民文化センター ミューズ アークホール
http://www.muse-tokorozawa.or.jp/event/detail/20180210/
作曲家、指揮者、ピアニストの3つの顔を持つフィンランドの巨匠オリ・ムストネンのピアノ・リサイタル。定評あるプロコフィエフのほか、シューマン、ベートーヴェンを並べる。京都市交響楽団との公演はベートーヴェンのピアノ協奏曲の弾き振りや、自作「弦楽オーケストラのためのトリプティーク」も。こちらも聞き逃せないコンサートだ。
2/10@すみだトリフォニーホール
http://www.pacific-concert.co.jp/concert/view/765/
2/16@京都コンサートホール
https://www.kyoto-symphony.jp/concert/detail.php?id=629&y=2018&m=2
英国のバロック・ヴァイオリンの名匠サイモン・スタンディジ、チェンバロのフランチェスコ・コルティと邦人演奏家によるコンサート。パーセル、ヘンデルなどイギリス音楽だけでなく、ヴァレンティーニの作品が聴けるのも楽しみ。
2/12@所沢市民文化センター ミューズ キューブホール
https://www.facebook.com/events/1938856673106033/
♩2/16、17、18 細川俊夫 オペラ「松風」(日本初演)
新国立劇場 開場20周年記念、2017/2018シーズンオペラ「松風」/ 細川俊夫の新制作・日本初演。世界各地の絶賛を背に細川俊夫のオペラが新国立劇場に初上陸。今回は能「松風」をドイツ語でオペラ化したもの。サシャ・ヴァルツによるダンスや塩田千春の美術など見所も多い。オペラ・ファンならずともその幽玄な世界は必見だ。
2/16,17,18@新国立劇場
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/performance/9_009639.html
ミューザ川崎のホールアドバイザー松居直美企画の「オルガンの未来へⅣ」は、松居のオルガン、西川竜太指揮で多彩な合唱団とともにグレゴリオ聖歌からバッハ、高田三郎『復活の続唱』、権代敦彦『最後のアレルヤ』(世界初演、2017年度ミューザ川崎シンフォニーホール委嘱作品)など、この企画ならではの選曲。古典から現代までオルガンと声の織りなす響きを堪能したい。
2/17@ミューザ川崎シンフォニーホール
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/calendar/detail.php?id=2114&y=2018&m=2
ヴァイオリンの神秘な世界の魅力を徹底解剖しようとHakuju Hallの新シリーズ(全6回)が開始される。第1回は「ダ・ヴィンチの迷宮」~小林美恵 無伴奏の極みを弾く〜。小林美恵が文化芸術プロデューサーの浦久俊彦をパートナーに歴史・アート・社会など多彩な角度からアプローチしてみせる。15、16世紀 ヴァイオリン創成期のリチェルカ―レほか興味深い選曲に期待が高まる。
2/17@ Hakuju Hall
http://www.hakujuhall.jp/syusai/129.html
フルート奏者上野星矢が発起人となり2016年12月に始動した東京バロックプレイヤーズ。バロック音楽演奏の精鋭たちを集め、熱い演奏を聴かせる。曲目はモーツァルト、J.H.ダングルベール、J.モレル、J.M.ルクレール、A.ヴィヴァルディなど。今後が期待される新鋭集団である。
2/20@紀尾井ホール
http://www.kioi-hall.or.jp/20180220k1900.html
N響と水魚の交わりを見せているパーヴォ・ヤルヴィ、今回は武満徹のヴァイオリン協奏曲2曲を諏訪内晶子のソロと共に、そしてワーグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」の管弦楽版を演奏する。現代音楽に苦手意識を持っている人でも間違いなく美しいと感じるであろう後期武満の澄みきった傑作、ワーグナーは長すぎてなかなか聴くことができないと思っている人に彼の偉大さを知らしめる管弦楽版、どちらも大いに期待できよう。
2/21,22@サントリーホール
http://www.nhkso.or.jp/concert/concert_detail.php?id=707
♩2/21,22,24,25 東京二期会オペラ劇場《ローエングリン》
指揮:準・メルクル、演出:深作健太による公演、2015年にこの二人の指揮・演出により上演され好評を得た《ダナエの愛》と同じコンビでワーグナーにいどむ。50代後半に入り、ドイツ音楽で円熟した境地を聴かせるメルクルの指揮、今を生きる人々の問題意識に強く働きかける深作の演出、聴き手に多くのことを気付かせてくれるだろう。
2/21,22,24,25@東京文化会館大ホール
http://www.nikikai.net/lineup/lohengrin2018/index.html
♩2/23 日本の作曲家2018第1夜 JFCニューカマーズ
日本作曲家協議会の新入会員を紹介するJFCニューカマーズ、今回はトランペット:曽我部清典、ピアノ:中川俊郎、バリトン:松平敬の3人による、今をときめく現代音楽ユニット「双子座三重奏団」が出演する。1990年台生まれの新進作曲家達の作品など、どのような新しい響きが待っているのか楽しみだ。
2/23@東京オペラシティリサイタルホール
https://www.jfcomposers.net/演奏会/日本の作曲家第1夜/
♩2/25 バンドネオン新時代~タンゴからコンテンポラリーまで~
<Just Composed 2018 in Yokohama Yokohama〜現代作曲家シリーズ〜>、今回はバンドネオンの三浦一馬を迎えてタンゴから現代作品まで幅広くとりあげる。ピアノの中野翔太とサクソフォンの上野耕平という豪華な共演陣とともに、タンゴだけではないバンドネオンの魅力に迫る。ピアソラ、武満、ペルトの他、薮田翔一の新作(Just Composed 2018 委嘱作品・初演)と沢田穣治の2002年委嘱作。
2/25@みなとみらい小ホール
http://www.yaf.or.jp/mmh/recommend/2018/02/just-composed-2018-in-yokohama.php
昨年12月に読売日本交響楽団の定期公演で、マーラーの交響曲第3番のソリストとして充実した歌唱を聴かせた藤村実穂子、紀尾井ホールで5回目となる歌曲リサイタルを行う。ピアノは名手、ヴォルフラム・リーガー。シューベルト、ワーグナー、ブラームス、マーラーの比較的聴く機会の多い曲目によるプログラム、彼女の今を知るには最適のもの。
2/28@紀尾井ホール
http://www.kioi-hall.or.jp/20180228k1900.html
(2018/1/15)