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撮っておきの音楽家たち|荘村清志|林喜代種

荘村清志(クラシックギター奏者)
             
2017年10月13日 紀尾井ホール
photos & text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)

日本を代表するギタリストの荘村清志が70歳の誕生日である10月13日に記念リサイタルを行なった。共演にはカウンターテナーの藤木大地と女優の中嶋朋子が語りで参加した。題して「語るギター」「歌うギター」。プログラム前半は中嶋朋子の語りと荘村清志のギターによるM.カステルヌオーヴォ=テデスコの「プラテーロとわたし」(抜粋12篇)を演奏。後半のプログラムはスペインの作曲家のアルベニス、タルレガ、ルイス=ピポーの作品を荘村のギター・ソロで演奏。続いてカウンターテナーの藤木大地の歌と荘村のギターで、ヘンデル「オンブラ・マイ・フ」、武満徹「死んだ男に残したものは」「小さな空」ほかを演奏。余韻のあるギターと歌で豊かな世界へ。
アンコールではサプライズがあった。荘村がギターを弾き始めると藤木が無視して「Happy Birthday to You 」を歌い始める。打ち合わせにはなかったようで、会場の聴衆も歌い、中嶋の花束贈呈で荘村の古稀を祝った。荘村清志の温かい人柄の滲み出た心地よい充実したコンサートを味わった。
1964年スペインで巨匠ナルシソ・イエペスに学ぶ。4年間のスペイン留学を終え、1969年に日本デビューリサイタルを行なう。スペイン滞在中はギターのみならず、スペインの社会、文化を吸収して存分に音楽世界を体験する。そのことが今の荘村清志の基礎になっているのだろう。
9歳でギターを始める。父の正人とギター界の草分け的存在の小原安正に、16歳でナルシソ・イエペスに師事。また武満徹にギター曲を委嘱する。今も多くのギタリストに弾かれている。
2014年にデビュー45周年記念コンサートを行ない、今回70歳誕生日記念演奏会、そして次の企画はデビュー50周年記念に向けての演奏会である。その間に近年は他のギタリストたち、他楽器の演奏家、海外演奏家などとのコラボレーションも積極的に行なっている。常に日本のギター界をリードする存在の荘村清志への期待は大きい。