撮っておきの音楽家たち|クリストフ・エッシェンバッハ|林喜代種
クリストフ・エッシェンバッハ(指揮者)
2017年10月26日 サントリーホール
photos & text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)
ドイツの巨匠クリストフ・エッシェンバッハがNHK交響楽団の定期演奏会に指揮者としてはじめて登場。サントリーホールのBプロではモーツァルトの『ピアノ協奏曲第12番』を弾き振りする予定だったが、左手指の不調のため、ブラームスの『交響曲第4番』に変更になった。久し振りのエッシェンバッハのピアノ演奏を期待していたのに残念だった。同時期にマティアス・ゲルネとのシューベルトの『冬の旅』のピアノもキャンセルで、他のピアニストに変更された。本人のコメントによると、「関節炎が小指の変形関節症に進行しつつあり、本来のように左手が動かない」という。もともとピアニストとしてキャリアをスタートしただけにいま現在のピアノ演奏が聴けないのが残念である。
1940年ドイツ、シレジアのブレスラウ(現ポーランドのヴロツワフ)生まれ。1965年クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール(スイス)などに優勝。ピアニストとして世界各地で演奏し高い評価を得る。指揮活動は1970年代前半から本格的に始める。これまでに音楽監督などの要職を歴任したのは、チューリヒ・トーンハレ管、ヒューストン響、ラヴィニア音楽祭、 NDRエルプフィル(旧北ドイツ放送響)、パリ管、フィラデルフィア管などがある。2010年~2017年夏までワシントン・ナショナル交響楽団の音楽監督を務めた。
ピアニストとして1979年ギュンター・ヴァントの指揮で、べートーヴェンの『ピアノ協奏曲第1番』を弾きN響定期に初出演。1987年ブラームスの『ピアノ協奏曲第1番』を弾き、ツィモンパルトが弾いたブラームスの『ピアノ協奏曲第2番』の指揮を行なったが定期公演を指揮するのは初めてだった。
エッシェンバッハは2017年2月に77歳を迎えた。世界のオーケストラ、オペラハウス、音楽祭に多数出演。特にウィーン・フィルとは密接な関係を築いている。今回のN響はウィーン・フィルの元コンサートマスターのライナー・キュッヒルをコンサートマスターに迎えている。また12月の「第九」の公演の指揮もエッシェンバッハが振る。