撮っておきの音楽家たち|コリヤ・ブラッハ―|林喜代種
コリヤ・ブラッハ―(ヴァイオリニスト)
2017年5月8日 トッパンホール
photos & text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)
コリヤ・ブラッハーはバルト系ドイツ人の作曲家ボリス・ブラッハ―を父に持ち、ベルリンで生まれ育つ。今回は無伴奏ヴァイオリン・リサイタル。曲目はJ.S.バッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番」、「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番」、イザイの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番」、そして父ボリス・ブラッハー作曲の「4つのオーナメント」を演奏する。演奏に没頭するブラッハーは孤高のヴァイオリニストといった雰囲気を醸しだし印象的だった。
彼のレパートリーはバッハからベリオまでと幅広く、古典からロマン派までの重要な曲目や現代曲を得意とする。師としてはベルリンで豊田耕児に、ジュリアード音楽院でドロシー・ディレイに、ザルツブルクではシャンドール・ベーグに師事する。またベルリン・フィルの第一コンサートマスターを6年間務めたのち、世界各国で活躍する。
ベルリン・フィル、ミュンヘン・フィル、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管等世界の主要オーケストラと共演。アバド、ペトレンコ、バレンボイム、キタエンコ、ヤンソンス、マティアス・ピンチャー等の著名指揮者と共演している。定期的にメルボルン交響楽団、ミラノ・ジュゼッぺ・ヴェルディ響、台湾フィル、ドレスデン・フィルほか多くのオーケストラと、近年はソリスト兼コンサートマスターとして弾き振り演奏も行なっている。この新たな演奏スタイルは高い評価を得ている。
CD録音も多い。ベルリン・フィルとルツェルン祝祭管弦楽団から親交のあったクラウディオ・アバドと共演した CDはディアパソン・ドール賞など多くの賞を受賞している。2012年ベートーヴェンのクロイツェル・ソナタを室内楽用に編曲した作品の録音も好評。1999年からハンブルク国立音大の教授を務め、現在はハンス・アイスラー音楽大学(ベルリン)で後進の指導に当たっている。