Back Stage|名手が奏でる“クラシック音楽”と平日午後の“ヨコハマ”|白川美帆   

名手が奏でる“クラシック音楽”と平日午後の“ヨコハマ” 

text by白川美帆(Miho Shirakawa) 

横浜みなとみらいホールは、1998年開館以来、国内外のアーティストから市民の皆様まで「海の見えるコンサートホール」として親しまれる音楽専用ホールです。ホールのシンボルであるパイプオルガンが設置された大ホールとヨーロッパのサロンを思わせる親密で居心地の良い空間の小ホール。
大ホールは2,020席。大ホールでありながら舞台と客席との一体感が感じられ、繊細な響きもホール全体に伝わります。ガラス張りのホワイエからは、横浜港の海が垣間見え、天気が良い日は明るい光が差し込み、格別な夜景の美しさ、夕日が落ちる夕方もまた素敵。横浜みなとみらいホールならでのホワイエ空間が、世界最高峰の音響を持つホールで音楽に浸る余韻をより上質なものにしてくれます。
440席の小ホールは、室内楽やピアノ、声楽などのリサイタル、弦楽器などの繊細な音色の楽器には最高の音響。親密な空間は、奏者の息遣いまで感じ取ることができ、ほどよい緊張感の中で音楽に身をゆだねることができます。また当ホールは、みなとみらい駅から徒歩3分の恵まれたロケーションに位置しており、近隣には観光施設や商業施設が充実。コンサートの前後に食事、ショッピング、観光までセットで1日楽しむことができます。

当ホールでは開館翌年1999年から平日昼間に開催するランチタイムコンサートを実施しています。現在に至るまで、内容を変化させつつホールの重要なコンサートとして開催しています。そんな経緯をご紹介しつつ、2017年度のラインナップをお伝えします。

開始当初は「昼どきクラシック」という名で、近隣オフィスの昼休みに合わせて12:10から約40分間、気軽な1コイン(500円)で実施していました。今では様々なホールでランチタイムコンサートは開催されていますが、当時はその先駆けとして珍しい公演だったのではないでしょうか。「昼どきクラシック」は毎回満席になる人気シリーズでしたが、より多くのお客様にお越しいただけるよう12:10開演に加えて14:30開演を実施し、1日2公演別プログラムでの公演に変化していきました。

2009年からは「みなとみらいクラシック・クルーズ」という名称に変更し、在京オーケストラメンバーを中心とした室内楽を軸としてスタート(当ホールは、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、読売日本交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、NHK交響楽団といった多くのオーケストラが演奏するホールとなっています)。これまでは大ホールでのみ実施していましたが、他方で「緊張感あふれる演奏」をお客様にもっと感じて欲しいという想いから、より親密な空間となる小ホールでの開催も徐々に取り入れ、コンサートの方向性を模索し続けてきました。

そして、プロデューサーとしてご活躍中の西巻正史氏をお迎えし、2016年にリニューアルしたのが「みなとみらいクラシック・マチネ」です。的確なアドバイスをいただきながら、時として議論も交えながら、“より本格的な最高のクオリティの音楽を届けたい”という想いで、コンサートの方向性、演奏者やプログラムなど、何度も話し合いを重ねました。作り上げていく中で、じっくり音楽に向き合うことができ、日々頭の中の靄が晴れていくような感覚は今でも忘れません。
「みなとみらいクラシック・マチネ」は1日2部形式で別プログラム、各公演は約50分間(第1部12:10~13:00/第2部14:30~15:20)。この設定を活かした個性あふれるプログラムが並び、1日を通して聴くと演奏者のこだわりや音楽の深さがより強く伝わる構成になっています。そしてもう一つの魅力は1部と2部の間が約90分あるという珍しい時間設定。当ホールが位置する“みなとみらい”は、食事やショッピングの他、横浜美術館でのアート観賞、公園で海を眺めながらの散歩など、様々な選択肢があります。このように、演奏の質・内容の充実とともに、1日“みなとみらい”で過ごす観光提案も加えて発信しています。

この当ホールならではの「みなとみらいクラシック・マチネ」シリーズは、2017年7月より第2シーズンが始まります。2017年度の特徴は、歴代の「横浜市招待国際ピアノ演奏会」※のピアニストで構成されていること。才能あふれるピアニストが再度横浜みなとみらいホールに集結します。今年も弦楽器、ピアノ、管楽器、声楽と様々なジャンルが揃い、音楽への情熱を持ち、暖かいながらも真剣な室内楽が展開されるに違いありません。名手が奏でる“クラシック音楽”と平日午後の“ヨコハマ”、この両方を満喫できるのが「みなとみらいクラシック・マチネ」。今年もどうぞお楽しみください。

※「横浜市招待国際ピアノ演奏会」は、世界の国際ピアノコンクール入賞者の中から将来を嘱望される才能を見出し、横浜から広く紹介することを目的として毎年秋に開催し、2017年度に36回を数えます。これまでに世界25ヵ国から延べ180人を超える新進気鋭のピアニスト達が横浜の舞台を彩ってきました。

白川美帆(横浜みなとみらいホール)

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公演情報
みなとみらいクラシック・マチネ ~名手と楽しむヨコハマの午後~
7月4日(火)永野英樹(ピアノ)小ホール
9月20日(水)伊藤亜美(ヴァイオリン)、佐野隆哉(ピアノ)小ホール
11月22日(水)菊地裕介、関本昌平(ピアノ)小ホール
12月19日(火)横坂源(チェロ)、田村響(ピアノ)小ホール
2018年1月31日(水)川井綾子(ピアノ)、古山真里江(オーボエ)、齋藤雄介(クラリネット)、鈴木一成(ファゴット)、豊田実加(ホルン)大ホール
2018年3月7日(水)秦貴美子(ソプラノ)、城宏憲(テノール)、寿明義和(ピアノ)、奥田瑛二(ナビゲーター)大ホール

横浜みなとみらいホールHP
http://www.yaf.or.jp/mmh/recommend/2017/07/post-235.php