注目のコンサート|2017年3月
※本欄は本誌の選んだ公演として完売公演でも掲載いたします。
♩3/1、2 スティーヴ・ライヒ80th ANNIVERSARY「テヒリーム」
過去2回の公演が満席となったライヒ、今年は80歳のアニヴァーサリーでの2日間である。ライヒが自作演奏に篤い信頼を寄せるコリン・カリーを中心としたメンバーが結集、ライヒ作品には欠かせないシナジー・ヴォーカルズも参加、鉄壁のメンバーを揃えた。今回は代表作《テヒリーム》の他、2014年にコリン・カリーたちが初演したばかりの《カルテット》や《マレット・カルテット》の他、ライヒ自身とカリーによる《クラッピング・ミュージック》も。
3/1,2@東京オペラシティ コンサートホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/details/reich80tokyo/
塚越慎子はパリ国際マリンバコンクール第1位受賞をはじめ数々の受賞歴を誇るマリンバ奏者。今回は昨年CDも発売した伊福部昭『ラウダ・コンチェルタータ』を含め現代マリンバ音楽の古典とも言うべき布陣で臨む。
3/2@紀尾井ホール
http://amati-tokyo.com/performance/20110911.html
♩3/5 井上郷子ピアノ・リサイタル #26 近藤譲 ピアノ作品集
現代音楽を主要なレパートリーとして現代日本音楽界に確固たる地位を築いている井上郷子、今回はもはや現代の大家の1人であり彼女とも親しい近藤譲の新作も含めた個展である。2つの個性からどのような音楽世界が広がるのか興味は尽きない。
3/5@東京オペラシティ リサイタルホール
http://blog.goo.ne.jp/nbmusic/e/f2a5e3f2679880055226d4066f7a4b74
2017年1月、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団(旧ハンブルク北ドイツ放送交響楽団)はハンブルクのエルプフィルハーモニー・ホールのレジデント・オーケストラとして新しい時代の幕を開けた。今回の指揮は2015年より首席客演指揮に就任した1982年生まれの気鋭の若手クシシュトフ・ウルバンスキ。グリンカ、ドゾルザーク「新世界より」のほか、ソリストに庄司紗矢香を迎えプロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第1番 」を披露する。
3/7@ Bunkamura オーチャードホール
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/kashi/20170307.html
全国公演概要
http://www.t-gc.jp
バリトン歌手・松平敬とチューバ・セルパン奏者・橋本晋哉の異色コンビ、ついに結成10周年を迎える。奇想に次ぐ奇想を展開してきた彼らにインスピレーションを受けた作家・演奏家は数知れず。今回も何か起こるに違いない。
3/10@杉並公会堂小ホール
http://teionduo.net/
彩の国さいたま劇場シリーズ企画「次代へ伝えたい名曲」第9回は竹澤恭子が、信頼を寄せるピアニスト児玉桃と共に登場。プーランクを冒頭に、フランス近代の作曲家でフランクに師事し、24歳で夭折したルクー、2014年ロン・ティボー国際コンクールの課題曲を委嘱され、現在ヨーロッパで注目を浴びているデュビュニョン、さらにバルトークと聴き応えのある作品が並ぶ。児玉とのチャレンジングなプログラムに要注目。
3/11@彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール
http://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/3756
第一生命ホールの<クァルテット・ウィークエンド>シリーズはクァルテット・エクセルシオが<アラウンド・モーツァルトvol.2>としてクラリネットの澤村康恵を迎えモーツァルト、シューベルト、シュタードラーを聴かせる。シュタードラーの「二重奏曲」はクラリネットとヴィオラ版での演奏。どんな響が立ち現れるか、楽しみな春の午後。
3/12@第一生命ホール
http://www.triton-arts.net/ja/concert/2017/03/12/1813/
♩3/13 すみだトリフォニーホール開館20周年記念 すみだ平和祈念コンサート2017《すみだ×ベルリン》
72年前の東京大空襲と6年前の東日本大震災を慰霊する平和祈念コンサート2017にはエリアフ・インバル指揮のベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団が登場し、マーラーの「第5番」(東日本大震災当夜、少ない聴衆の前でハーディングが振った曲である)、ワーグナー「前奏曲とイゾルデと愛の死」を捧げる。
すみだの地への鎮魂とともに、このところ続く各地の被災へと想いを寄せたい。
なお、11日には上岡敏之が新日本フィルとマーラー「第6番」を演奏。
3/11@すみだトリフォニーホール
https://www.triphony.com/concert/detail/2015-12-000246.html
3/13@すみだトリフォニーホール
https://www.triphony.com/concert/detail/2015-12-000247.html
♩3/13 ラ・ヴォーチェ・オルフィカ 第30回定期「モンテヴェルディの肖像」聖なる悦楽と狂気のはざまで<生誕450年記念>
濱田芳通が指揮する合唱団、ラ・ヴォーチェ・オルフィカが、やはり彼が中心となる古楽アンサンブル、アントネッロとともに演奏するモンテヴェルディ。「聖母の涙」「4声のミサ曲」といった宗教曲をとりあげる。生誕450年となるモンテヴェルディの革新的な書法や和声が聴けるだろう。
3/13@東京カテドラル聖マリア大聖堂
http://voce.main.jp/Keireki/30thMonteverdi/30thLeaf.htm
来春には86を迎えるエリシュカ。札幌交響楽団との2016年3月の東京デビューは熱狂的な喝采がやまず、エリシュカ一人呼び戻される盛り上がりを見せた。今回は全てドイツ・オーストリア音楽のプログラム。チェコ・スラブ系で評価が高いエリシュカだが、若い頃からブラームス演奏でも評価を受けている。メンデルスゾーン、シューベルト、ブラームスを並べ、札響との深い絆と信頼関係で結ばれた音楽が、今回も新たな熱狂を生むのでは。
3/14@東京芸術劇場 コンサートホール
http://www.sso.or.jp/concerts/2017/03/2017/
「Horizon」の3月公演はサクソフォンの大石将紀。東京藝大からパリ国立高等音楽院に学ぶ。アムステルダム音楽院に短期留学、2008年に帰国後、幅広い活躍を続けている。今回はベリオ、シェルシ、シャリーノ、マンゾーニ、細川俊夫と20世紀を代表する作家たちの作品を並べた。刺激的なリサイタルとなろう。
3/15@近江楽堂
http://okamura-co.com/concerts/387/
♩3/16 愛深き別れ イタリア初期バロック・レチタールカンタンド名曲選
テノールの櫻田亮が、西山まりえのバロック・ハープとともに歌うイタリア初期バロック音楽。プログラムには、カッチーニの「私の美しいアマリッリよ」、ディンディアの「酷きアマリッリ」、モンテヴェルディの「愛深き別れ」といった曲目がならぶ。日本のバロック音楽演奏の中心となっている二人によるコンサート、大いに期待される。
3/16@東京オペラシティ3F近江楽堂
https://www.facebook.com/events/348771795486484/
グローバル化された今日のオーケストラ界で、ローカル色を失わない稀少な楽団がプラハ交響楽団。弦の国チェコの伝統を受け継いだ美しい響きでスメタナ「わが祖国」を聴かせてくれる。指揮はチェコの名匠、ペトル・アルトリヒテル。
耳と魂を洗われるひとときとなろう。
3/16@東京芸術劇場コンサートホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=536
いずみホールがシューベルト晩年の作品を中心に、7つの演奏会で綴ってきた「シューベルト~こころの奥へ」の最終公演。アンドラーシュ・シフが最後のピアノ・ソナタ2曲を弾く。音楽の「こころの奥」を解き明かし、弾き明かす演奏家が稀になっている今日、必聴のコンサートである。このプログラムを演奏するのはいずみホール公演のみ。
3/17@いずみホール
http://www.izumihall.jp/schedule/concert.html?cid=1136&y=2017&m=3
その他の公演
3/21@東京オペラシティ コンサートホール
http://www.kajimotomusic.com/jp/concert/k=561/
3/23@東京オペラシティ コンサートホール
http://www.kajimotomusic.com/jp/concert/k=562/
「秋山音楽監督 ファイナル“マチネ”」。秋山和慶が広響の音楽監督、常任指揮者としての定期演奏会の最後のステージに選んだのはモーツァルト2曲とR・シュトラウスの「英雄の生涯」。自身の生涯を重ね、熱い演奏が繰り広げられるだろう。モーツァルトの「クラリネット協奏曲」は、ウィーン・フィルの首席奏者ダニエル・オッテンザマーを迎えての演奏。次年度は、終身名誉指揮者として広響と新たなステージへと進む。
3/18@広島文化学園HBGホール
http://hirokyo.or.jp/concert/teiki
飯森範親によるイタリアの眩しい午後のひととき。レスピーギの「ローマ三部作」で、思い切りカラフルなサウンドを満喫したい。パイプオルガン、金管バンダなどなど大編成のオーケストラが、眼前に開くローマの景色をたっぷり楽しもう。
3/18@ミューザ川崎シンフォニーホール
http://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=VQTACN%2BVvCQ%3D&month=03
東アジア文化都市2017 京都オープニング事業の一環として、日中韓のコラボレーション作品が京都芸術センターで上演される。第一部 「音×舞」は、東アジアや欧米を中心に作品を発表する作曲家 朴守賢の作品を、第二部「狂言×中国変面」「からくり人形」では、日本の狂言と、中国・四川省に伝わる伝統芸能「川劇」の一技「変面」をあわせた創作作品「からくり人形」を。日中韓の文化・芸術の融合による「おもてなし」の舞台<The 饗宴>、どんなステージになるか期待される。
3/18@京都芸術センター講堂
http://www.kac.or.jp/events/20368/
コントラバス奏者にして演出家・黒木岩寿の演出によるストラヴィンスキーの現代の古典、出演者に能楽師やパントマイムなどを迎え、演奏にはモルゴーア・クァルテットなどで活躍するヴァイオリンの荒井英治をはじめ盤石の陣形で挑む。古今東西が交錯する上演に胸が高鳴る。
3/18@東京文化会館
http://www.t-bunka.jp/sponsership/spo_170318.html
♩3/18、19 神奈川県民ホールオペラシリーズ2017「魔笛」
演出に勅使川原三郎、指揮には若きマエストロ川瀬賢太郎を迎えての「魔笛」。歌唱力・演技力ともに優れた実力派歌手陣を揃え、勅使川作品のソリストとして国際的に活躍する佐東利穂子と東京バレエ団の精鋭ダンサーたちがステージを飾る。日本語ナレーション付きで、初めての「魔笛」でも楽しめる工夫が。オペラとダンスが融合するテシガワラ・ワールドを堪能したい。
3/18,19@神奈川県民ホール
http://www.kanagawa-kenminhall.com/mateki/
♩3/19 東京・春・音楽祭 Voice n’ Violin アンドレアス・シャーガー(テノール) & リディア・バイチ(ヴァイオリン)
テノールのアンドレアス・シャーガーとヴァイオリンのリディア・バイチを迎え、Voice n’ Violinというタイトルで行われるコンサート。指揮者のマティアス・フレッツベルガーの編曲で、この二人の共演も期待できそう。どのような舞台になるか興味を惹かれる。
3/19@東京文化会館小ホール
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_4026.html
創立50周年を迎えた名古屋フィルハーモニー交響楽団の記念東京特別公演。
2016年4月より名フィルの音楽監督となった小泉和裕指揮によるブルックナー「交響曲第8番ハ短調 [ノヴァーク版/第2稿]」というプログラム。東海地方を代表するオーケストラの実力を聴かせてくれよう。
3/20@東京オペラシティ コンサートホール
http://www.nagoya-phil.or.jp/2015/1216164634.html
♩3/21 エリアフ・インバル&ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団
インバルとベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団によるマーラー。3/13のすみだトリフォニーでは「第5番」を振るが、こちらは「巨人」。一方、初顔合わせの五嶋龍をソリストに迎えてのメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調」は本邦初披露。円熟のマーラーと新鮮なメンデルスゾーンが堪能できよう。
3/21@東京芸術劇場
http://www.geigeki.jp/performance/concert102/
♩3/21 B→C バッハからコンテンポラリーへ190 中村恵理 ソプラノ<悩める女性の群像>
190回目となる東京オペラシティ主催の人気シリーズB→C、バイエルン国立歌劇場の専属ソリストとして活躍している中村恵理が登場、テーマは「悩める女性の群像」。クララ・シューマン、ファニー・メンデルスゾーン、ソフィア・グバイドゥーリナ、リリ・ブーランジェという4人の女性作曲家の作品、「さまざまな角度から女性の生き様や憂いが浮かび上がってくるような」作品が選ばれている。この後25日に行われる兵庫での公演も含め、チケットは完売とのことだが、注目されるコンサートである。
3/21@東京オペラシティリサイタルホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=7385
シェイクスピア作「テンペスト」「ハムレット」「ロミオとジュリエット」を題材としたチャイコフスキー、トマ、プロコフィエフという通好みの作品・作曲家を揃えた本公演、プロコフィエフは大野和士セレクションということだがその意気込みや如何に。
3/26@東京オペラシティ コンサートホール
http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/detail.php?id=2973&year=2017&month=3#date
♩3/28 東京・春・音楽祭 ミュージアム・コンサート「シャセリオー展」記念コンサート Vol.2 駒井ゆり子(ソプラノ) & 富岡明子(メゾソプラノ)
国立西洋美術館で2月から5月に開催されるテオドール・シャセリオーの回顧展にあわせ、彼が交流をもった詩人・文人の作品をもとにしたフランス歌曲、当時パリで人気を集めたロッシーニ等のイタリア・オペラのアリアを二人の若手歌手が歌う。
3/28@国立西洋美術館・講堂
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_4064.html
紀尾井ホールの新シリーズQuartet Plus(クァルテットプラス)は、弦楽四重奏と話題のゲスト・アーティストが共演、互いに触発し合い深化してゆくシーンを聴く企画。第1弾はウェールズ弦楽四重奏団&クラリネットの金子平。2008年のミュンヘンARD国際音楽コンクールでそれぞれ第3位に入賞、以来意気投合。
今回は演奏機会が少ないモーツァルト未完の「クラリネット五重奏曲」(バイヤー補筆版)のほか、ベートーヴェン、ブラームスを披露。期待が高まる。
3/29@紀尾井ホール
http://www.kioi-hall.or.jp/20170329k1900.html
Point de Vue(ポワン・ドゥ・ヴュ)は、作曲家の鈴木輝昭・森山智宏プロデュースによる現代音楽コンサート。2007年より定期公演を行い、気鋭の演奏家との協同によって、同時代の作曲家の新作発表を重ねている。また、招待作品として、毎回三善晃の作品を取り上げてきたが、今回は、鈴木輝昭の合唱作品「遠野幻燈」が出雲市立第一中学校合唱部によって演奏される。委嘱初演作は5作品。
3/30@浜離宮朝日コンサートホール
http://musique.s2.weblife.me