2016年 年間企画賞

Mercure des Artsは執筆陣による選考の結果、2016年の年間企画賞に 《トーマス・ヘル リゲティピアノのためのエチュード全曲公演を選出、ここに発表いたします。
この公演はトッパンホールが企画、現代音楽シーンで活躍著しいトーマス・ヘルによるリゲティのエチュード全曲演奏で、その究極の音楽世界を呈示、満員の聴衆に圧倒的な感銘をもたらしました。その先鋭な企画力を賞するものです。

トーマス・ヘル/リゲティ『ピアノのためのエチュード』全曲公演
201663 トッパンホール

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<選定にあたって>
トーマス・ヘルは2010年「テッセラの秋・第7回音楽祭“新しい耳”第2夜」ですでにリゲティのエチュードの全曲演奏をおこなっているが、その際には原田敬子の新作も弾いた。
本公演はリゲティのみの演奏会で、ともすると「全曲演奏」そのものが目的化されたり、演奏者や企画者の自己満足に終わる危険性がある中、考え抜かれた演奏順序と1つ1つの曲の計算し尽くされた組み立てによって、正味1時間の濃密な時間を生み出した。
同時に、聴き手に「今日、私たちはなぜ演奏会に行くのか」という根源的な問いをも突きつけるような演奏会となった。
そこに、企画者トッパンホールの「現代」に投げかける深く鋭い洞察を読みとり、今回の贈賞が決まった。
なお、トッパンホールの多彩な主催公演に見られる優れた企画の要としての企画制作部長・西巻正史氏の存在をここに特筆しておきたい。

参考レビュー
トーマス・ヘル-リゲティ-ピアノのためのエチュード