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ボンクリ・フェス2017
“Born Creative” Festival 2017

text by 鈴木順子(Junko Suzuki)

東京芸術劇場ではじまる、世界中の「新しい音」が聴ける1dayフェスティバル!

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アトリウム
第12回子どもたちと芸術家の出あう街2016
「雅楽といけ花のライブパフォーマンス」
(伶楽舎、一葉式いけ花 粕谷尚弘)

東京芸術劇場は、東京都が音楽・演劇・舞踊などの芸術文化振興と国際交流を図ることを目的として1990年10月に開館しました。クラシックコンサート専用の客席数1999席のコンサートホール、演劇・舞踊等舞台芸術に適した客席数834席と立見席90席のプレイハウス、客席数272~324席のシアターイーストと客席数195~270席のシアターウエストの4つのホールを備え、さらに2つのギャラリーと2つのアトリエなどの展示スペース、大小の会議室やリハーサル室、アトリウムやロワー広場など多彩なパブリックスペースを併せもつ複合文化施設です。2009年、日本を代表する演劇人である野田秀樹が初代芸術監督に就任し、「貸館主体の運営」から「創造発信型の運営」へと大きく舵を切りました。2012年には、約1年半をかけた大規模なリニューアル工事を終え、ホールやアトリウム空間のイメージを一新しました。アトリウムの真ん中に浮かぶように設置されていた長いエスカレータを壁際に寄せたことにより、アトリウム空間がより開放的になりました。コンサートホールの改修では、舞台をヒノキ材に変え奥行きを1メートル前に広げ、大理石の壁面に木質のリブを取り付け、天井の反射板を検証し直すなど音響面での工夫もなされ、多くのアーティストたちからその変化を好意的に受け止める声が寄せられています。

昨年は、開館25周年を記念し、6月から12月までに亘り「芸劇フェスティバル」を開催しました。中でも、オーケストラ・シリーズとして登場したベルリン・ドイツ交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、フランクフルト放送交響楽団や、野田秀樹芸術監督が演出したモーツァルトの《フィガロの結婚》、鈴木優人氏をアーティスティック・ディレクターとして迎えた開館25周年記念コンサート《ジョワ・ド・ヴィーヴル―生きる喜び》などは、注目の公演となりました。今年も、シリーズを継続しながら、音楽事業でもより発信力のある公演を提供するよう企画をしています。

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藤倉大 (C) Seiji Okumiya

そして来年、新しくスタートする「“Born Creative” Festival(ボーン・クリエイティヴ・フェスティバル)」、略して、「ボンクリ・フェス」についてご紹介させていただきます。
この企画は、作曲家の藤倉大氏との会話から始まりました。藤倉氏が東京芸術劇場コンサートホールの音を聴いたのは、自らの《Rare Gravity》を山田和樹氏がスイス・ロマンド管弦楽団を率いて演奏をした2014年7月。「細かい音もしっかり聴こえるし、しかも全体も豊かに聴こえる。」と、コンサートホールの音響を気に入ってくださり、では、その音響と劇場のポテンシャルを生かした企画をつくろうということに賛同をしてくださったのです。館内くまなく見ていただき、アトリウムや会議室など複合的な魅力も大きいので全館いろんな場所をつかったフェスティバルがふさわしいのではないか、劇場全体を「赤ちゃんからシニアまで楽しめる解放区」にしよう。次々にアイデアが飛び出してきました。たとえば、リゲティの100台のメトロノームの作品を子どもたちがスタートさせる、子どもたちにリコーダーを横にもたせ本来指で押さえる穴に息を吹き入れて出てくる「風みたいな音」でオーケストラと共演する、おかしな音のする打楽器でいろんな音を出してみる、などなど。それからは、藤倉氏によるプレイリストづくりが始まりました。朝からアトリウムで面白い曲が流れていて、「一曲だけ面白そうだから聴いてみようと芸劇に寄ってみたら夜の公演まで残って聴いちゃった」ということになるといいなあという感覚で考えていただきました。そして、出来上がったのが、以下のプログラムです。昼間のアトリウムコンサートやワークショップもあり、「世界中の新しい音」が集結しています。まさに、藤倉氏の融通無碍な感性で作り上げたプログラムです。
そのコンセプトをあらわすタイトルをどうするか、という中で出てきた言葉が“Born Creative”。「人間は皆、生まれつきクリエイティヴだ」。藤倉氏曰く、数年前からやっている福島県相馬市での作曲教室を通じてわかったことは、すべての人間は子どもの頃、「新しい音楽」「新しい音」、5歳の子どもの言葉を借りると「変な音」が好きだということだそうです。音楽は既存のルールにのっとって優劣を決めるようなものではなく、もっともっと自由でのびのびとあるべきではないか、そんな気持ちを伝えるのが、この企画の願いです。
できるだけ多くの人に「新しい音楽」に触れてもらおうと、夜のスペシャル・コンサートのチケット価格を抑え、チケットがあれば昼間のワークショップも無料で楽しめるし、誰でも楽しめるアトリウムコンサートもあり、朝から夜まで一日中、東京芸術劇場の中で過ごすことができる1dayフェスティバルです。
ゴールデンウィークの一日を、是非、東京芸術劇場でお過ごしください。

鈴木順子(東京芸術劇場 事業企画課長/コンサートホール・ジェネラルマネージャー)

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コンサートホール

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公演情報

ボンクリ・フェス2017
“Born Creative” Festival 2017
アーティスティック・ディレクター:藤倉大(作曲家)

2017年5月4日(木・祝)
東京芸術劇場 コンサートホール、アトリウム  ほか

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■ワークショップ  スペシャル・コンサートのチケットで無料!
時間:11:00頃より夕方にかけて(予定)
※各ワークショップ定員あり
笹久保伸による『ペルー音楽の部屋』
檜垣智也による『リュック・フェラーリの部屋』
ヤン・バング&ニルス・ペッター・モルヴェルによる『ノルウェーの部屋』
クレア・チェイスによる『ポーリン・オリヴェロスの部屋』ほか

■誰でも楽しめる! 無料アトリウムコンサート
時間:11:00頃より夕方にかけて(予定)
出演:伶楽舎(雅楽アンサンブル)、福川伸陽(ホルン) ほか(予定)

■スペシャル・コンサート
時間:17:30開演
場所:コンサートホール
出演:アンサンブル・ノマド(指揮:佐藤紀雄)、伶楽舎、
クレア・チェイス(フルート)、ヤン・バング(エレクトロニクス)
ニルス・ペッター・モルヴェル(トランペット)、小林沙羅(ソプラノ)、
藤倉大(ピアノ&エレクトロニクス) ほか
チケット料金:S席 3,000円/A席 2,000円
チケット発売日:2017年2月予定

スペシャル・コンサートのプログラム―――
藤倉大が幼少の頃から毎日のように聴いていた坂本龍一の名曲〈thatness and thereness〉を、藤倉が愛情を込めてオーケストレーションしたアンサンブル版の世界初演に加え、坂本の最新作〈3つのトライアングルのための作品〉のライブ世界初演を予定。大友良英の書き下ろし委嘱作品の世界初演、藤倉が人生で初めて聴いた現代音楽作曲家である武満徹の雅楽作品《秋庭歌一具》、デヴィッド・シルヴィアンと藤倉との共同作曲が話題を生んだCDアルバム“died in the wool”からは小林沙羅による独唱でライブ版世界初演。ノルウェーのヤン・バングニルス・ペッター・モルヴェルと藤倉による即興演奏、そしてクレア・チェイスをソリストに迎えての藤倉の〈フルート協奏曲〉など、脳内を刺激するまさに「ボンクリ」音楽が一夜に集結します。
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※ワークショップやイベントの出演者、曲目、内容は変更になる場合があります。
主催:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)