注目のコンサート|2016年11月
室内楽の新たな可能性を求め、1985年に若手演奏家、作曲家によって結成された室内オーケストラ、アール・レスピラン。結成30周年記念シリーズⅡとして、松原勝也編曲のバッハ、池田哲美・安良岡章夫編曲のベートーヴェンのほか、2つの委嘱・世界初演作品、中川俊郎「室内交響曲第2番」、鈴木輝昭「レスピラシオン」など。室内楽最先端の音を聴きたい。
11/1@浜離宮朝日ホール
http://www.art-respirant.com/concert.html
1977年生まれ、「21世紀のグールド」とも評されるイタリアのピアニスト、バッケッティ。レパートリーはバッハから現代作品まで幅広いが、中でもバッハは重要な位置を占める。
カラヤン、ホルショフスキ、ベリオらの薫陶を受け、ベリオのピアノ独奏曲全曲も録音。
2005年初来日、2012年にはファビオ・ルイージの推薦でパシフィック・ミュージック・フェスティヴァルに出演し、モーツァルトのピアノ協奏曲、室内楽を演奏し好評を博した。
今回はバッハとモーツァルトのプログラム。
11/2@浜離宮朝日ホール
http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2016/11/event579.html
89歳のマエストロ、ヘルベルト・ブロムシュテット率いるドイツの名門オーケストラの来日ツァー。ローカリティ豊かな独自のサウンドが薄まりつつある昨今のオーケストラの中で、どんな音を響かせてくれるか楽しみだ。諏訪内晶子を迎えてのベートーヴェン・プロからシューベルト、ブルックナーとの組み合わせなど、多彩な演目が用意された。
11/1@愛知県芸術劇場コンサートホール
11/2@サントリーホール
ツァー日程詳細は以下
http://www.kajimotomusic.com/jp/concert/k=547/
1994年ミュンヘン国際音楽コンクールで第2位、2001年のロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクール(パリ)で第1位のチェリスト、ヴァシリエヴァが東京文化会館のプラチナ・シリーズに登場。バッハの無伴奏2曲に、コダーイの無伴奏チェロ・ソナタを加えた無伴奏のプログラム。その実力のほどをぜひ聴きたい。
11/2@東京文化会館小ホール
http://www.t-bunka.jp/sponsership/spo_161102.html
濱田芳通が音楽監督を務める古楽アンサンブル・アントネッロが「~河童(宣教師)が語るイソップ寓話!桃山ルネサンスの南蛮音楽~」と題し、スペイン&ポルトガル・ルネサンスの音楽をとりあげる。演奏される機会の少ないこの時期の音楽を聴ける貴重なコンサート。
11/3@ 東京文化会館小ホール
http://www.anthonello.com/
第21回五島記念文化賞を受賞したバリトンの大沼徹が海外研修成果発表のリサイタルを開く。ドイツのマイセンで足かけ4年培った声で、オペラ、ドイツリートを披露。シューベルト、R・シュトラウス、ヴォルフ、ヴェルディ、コルンゴルドなどのプログラムを組む。
11/6@サントリーホール ブルーローズ
http://www.gotoh-mf.or.jp/achievement/0096_21_opera_tohru_ohnuma.php
♩11/7 山田和樹プロデュース 柴田南雄生誕100年・没後20年記念演奏会
ブザンソンで優勝し、ブレイクする以前、合唱で多くのキャリアを積んできた山田ならではの腕が存分に発揮されるであろうオール柴田作品の演奏会。「追分節考」は柴田のシアターピース第1作。「ゆく河の流れは絶えずして」は自分史的な音楽作品で、演奏時間1時間半に及ぶ長大なシアターピース。客席まで巻き込んでの大音響世界が現出する。
11/7@サントリーホール
http://web.japanphil.or.jp/concert/20190
本誌9/15号Pick Upにこの公演に寄せる山田の想いが紹介されている。
東京室内歌劇場小劇場シリーズ第2回は、石島正博の音世界。第1部は歌曲、第2部は越後地方の民話に基づく「みるなの座敷」。「歌を書くことは呼吸することと同じ」という作曲家の最初期の歌曲から、室内オペラまで、石島ワールドに浸る一夜。
11/8@ 渋谷区文化センター大和田・伝承ホール
http://www.chamber-opera.jp/items/view/443/
石島は本誌「五線紙のパンセ」に創刊号から3回の連載を執筆。
http://mercuredesarts.com/2015/10/06/五線紙のパンセ|石島正博/
バレンボイムに見出された注目のアメリカの女流チェリスト、ワイラースタインが<バッハと20世紀 無伴奏の夕べ>。使用楽器はドメニコ・モンターニャで、「初めて音を出したときは自然に涙が出た」と語る。そのチェロで、バッハからアルゼンチンの作曲家ゴリホフまでを奏でる。
11/8@王子ホール
http://www.ojihall.jp/concert/lineup/2016/20161108.html
80歳最初の挑戦 4つのピアノ協奏曲〜 心を揺さぶる人生讃歌〜として舘野泉が新たな境地を切り開く。左手のピアニストとして、これからも弾きつづけていくことに迷いはないが、何を弾いて、どんな音楽の道を進んでいくのか、未知の道に向かっている心境、と綴る舘野。池辺晋一郎、ヒンデミット、シュタール、ラヴェルを揃えた。未知の道に同行するのは高関健指揮、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団。
11/10@東京オペラシティ コンサートホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=478
近年、20世紀の歌曲を中心とするリサイタルを続けている内藤明美、今年はアイスラーの「ハリウッドの歌の本」とシェーンベルクの初期歌曲というプログラム。2014年から続くシェーンベルク歌曲の第三夜という位置付け。
11/11@ オペラシティ リサイタルホール
http://www.jvf.gr.jp/main-enso.html#1111
♩11/12 マーク=アンソニー・ターネジ「Hibiki」(世界初演)
サントリーホール30周年記念作曲委嘱としてターネジの新作「Hibiki」が初演される。マイルス・デイヴィスに傾倒、モダンジャズに影響を受けたイギリスの鬼才。ラトル指揮の管弦楽曲「3人の叫ぶ教皇 Three Screaming Popes 」(1989)で国際的に成功を収める。今回の作品は、愛と死をテーマとした7章構成で、東日本大震災を想起させる章のほか、宗左近の詩や、近松門左衛門「曽根崎心中」も取り上げている。
大野和士とのプレトークもある。
11/12 @サントリーホール
http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20161112_M_3.html
ソロに、アンサンブルに、と縦横に活躍する実力派ピアニスト岡田博美が、早世した矢代秋雄没後40年として「ソナタ」を弾く。やはりパリに学んだ三善晃の「アン・ヴェール」とを並べてのリサイタル。他にベートーヴェン、ドビュッシー。
クリスタルな輝きを放つ岡田の響きがどんな世界を抽出するか、期待される。
11/12@東京文化会館小ホール
http://www.camerata.co.jp/concerts_events/detail.php?id=202
♩11/15 ステファン・シュトロイスニック ピアノ・リサイタル
1985年ウィーン生まれのシュトロイスニックは11歳よりソリスト、室内楽奏者として活動を開始。ヨーロッパ中の主要コンサートホールを始め、日本やアメリカでデビューを果たす。 2011年、ウィーン・コンツェルトハウスでリサイタル・デビュー。2013年、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールでメシアンの大作『トゥーランガリラ交響曲』のソリストを務めた。現代音楽にも意欲的で、室内楽ではハインリッヒ・シフ、ライナー・キュッヒル、今井信子らと共演を重ねる。プログラムはシューベルト、シューマン、リストなど。
11/15@ヤマハホール
https://www.yamahaginza.com/hall/event/002239/
横浜音祭り2016の小ホール・オペラシリーズはジャン・コクトー原作、プーランク作曲オペラ「人間の声」。愛する男に見捨てられた女の苦悩を、ソプラノ一人で歌い演じる。日本の誇るプリマドンナ佐藤美枝子、ダブルキャストにフランス・オペラを得意とする若手注目ソプラノ盛田麻央が出演。
11/16@横浜みなとみらい小ホール 昼夜2公演
http://yokooto.jp/program/59-2/
http://www.yaf.or.jp/mmh/recommend/2016/11/post-224.php
♩11/18神奈川フィルハーモニー管弦楽団 みなとみらいシリーズ 第324回
2016年は武満徹と柴田南雄のメモリアルイヤーとして押され気味だが、伊福部昭も没後10年。神奈川フィルが、秋山和慶の指揮でvl加藤知子を迎え伊福部の「ヴァイオリン協奏曲第2番」を取り上げる。この作品の実演は貴重な機会だからぜひ、聴いておきたい。武満の「3つの映画音楽」のほか、チャイコフスキー。
11/18@横浜みなとみらい
http://www.kanaphil.or.jp/Concert/concert_detail.php?id=425
今秋から名門パリ管弦楽団の音楽監督に就任したダニエル・ハーディングがさっそく来日し、各地を回る。洒脱、華やかなパリの響きが染める日本の秋・・・。
プログラムはハーディングの母国イギリスのブリテンから、ベルリオーズ、ブラームス、メンデルスゾーン、マーラーなど。vl独奏はジョシュア・ベル。
11/20@京都コンサートホール
11/24@東京芸術劇場
ツァー詳細は以下
http://www.kajimotomusic.com/jp/concert/k=549/
音楽監督在任22年目を迎えるマイケル・ティルソン・トーマス率いるサンフランシスコ交響楽団の来日公演。大阪公演はユジャ・ワン(ピアノ)をソロにショパン「ピアノ協奏曲第2番」。東京公演はワンとマーク・イノウエ(トランペット)を迎えてのショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲第1番 」。ブライト・シェン「紅楼夢 序曲 」(サンフランシスコ交響楽団委嘱作品/日本初演)も目を惹く。
11/20@フェスティバルホール
11/21@サントリーホール
http://amati-tokyo.com/performance/20110918.html
♩11/23 マリオ・ブルネロ&キャサリン・ストット デュオ・リサイタル
イタリアのチェロの名匠マリオ・ブルネロとイギリスの名手キャサリン・ストットが初共演する。ペルルミュテールやブーランジェに薫陶を受けたストットであれば、ブルネロとのデュオ、刺激的な午後となる予感が。シューベルト「アルペジョーネ・ソナタ」などの名曲のほか、イザイ、ペルトなど。
11/23@紀尾井ホール
http://www.kioi-hall.or.jp/20161123k1400.html
♩11/23〜27 二期会 R.シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」
東京二期会のオペラ劇場の公演、指揮にシモーネ・ヤング、演出にカロリーネ・グルーバーを迎える。ライプチヒ歌劇場との提携公演(2008年プレミエ)、グルーバーの刺激的な舞台、ヤングの円熟の指揮が楽しみ。
11/23~27@ 日生劇場
http://www.nikikai.net/lineup/ariadne2016/index.html
http://www.karoline-gruber.de/site/produktion/index/AriadneaufNaxos
桐朋で学び、同学年だった豊嶋と中野がデビュー30周年に初共演しバロック・デュオを聴かせる。豊嶋は若くして新日本フィルのコンサートマスターに、中野はヨーロッパを中心に活躍、20代で「世界の9人のチェンバリスト」に選ばれている。そんな二人の初顔合わせは、ヴィヴァルディ、バッハ、タルティーニ、ルクレールなど盛りだくさん。秋の夜長をじっくり楽しみたい。
11/25@Hakuju Hall
http://www.hakujuhall.jp/syusai/64.html
♩11/25、27 北とぴあ国際音楽祭2016「ドン・ジョヴァンニ」
ルネサンスから現代までのクラシック音楽のほか、日本や世界の伝統音楽といった多様なジャンルの音楽を楽しむ北とぴあ国際音楽祭。モーツァルト演奏のスペシャリスト寺神戸亮とオリジナル楽器演奏・合唱のレ・ボレアードによるダ・ポンテ三部作の上演が完結する。古楽の精鋭たちが勢ぞろいした「ドン・ジョヴァンニ」、ドン・ジョヴァンニに与那城敬を迎えてのセミ・ステージ形式。
11/25,27@北とぴあ さくらホール
http://www.kitabunka.or.jp/kitaku_info/event/index/detail/event/20160608001
トッパンホールの<室内楽マイスターへの道 3>は、チェロのモーザー。2008年に日本での初リサイタルをトッパンで開いている。1979年ミュンヘン生まれで、ゲリンガスに学ぶ。2002年チャイコフスキー・コンクールで最高位受賞(1位なしの2位)している。室内楽でも五嶋みどり、J・ビスとトリオを組み活躍。
今回はピアノの高橋礼恵とヒンデミット、ディティユー、プロコフィエフなどを聴かせる。
11/29@トッパンホール
http://www.toppanhall.com/concert/detail/201611291900.html
♩11/29 紀尾井シンフォニエッタ東京メンバーによるアンサンブルⅡ
パリ管弦楽団と紀尾井シンフォニエッタ東京の名手たちによる室内楽版、マーラー「交響曲第4番」が要注目。紀尾井シンフォニエッタ東京のコンマスでパリ管弦楽団の副コンマスサートでもある千々岩英一を中心に、両者の名手たちが集う。20世紀初頭のウィーンの会員制サロンコンサートのプログラムを再現とのこと。他にドビュッシー、J・シュトラウス。
11/29@紀尾井ホール
http://www.kioi-hall.or.jp/20161129k1900.html