Back Stage|Hakuju Hallの「Hakuju ギター・フェスタ」

今年で11回目を迎える、真夏の“ギターの祭典”

text by 原浩之(Hiroyuki Hara)

Hakuju Hallは2003年10月、健康機器・健康食品メーカーである株式会社白寿生科学研究所の本社ビル内にオープンした、室内楽専用ホールです。
300席の小さなホールですが、音響設計やデザインにこだわり、またコンサートホール初のリクライニング・シートも導入し、リラックスして素晴らしい演奏を楽しんでいただくことで、企業理念のひとつである「心の健康」の実現を目指しています。
“Hakuju Hallでしかできない企画”を目標に、年間通してさまざまな主催公演を開催していますが、その中で10年以上続いているシリーズが、リクライニング・シートを生かした「スーパー・リクライニング・コンサート」、そして毎年8月に3日間にわたって行われる「Hakuju ギター・フェスタ」です。
今回は今年で11回目を迎える「ギター・フェスタ」誕生のきっかけなどについて、少しお話させていただきたいと思います。

ホール黎明期に、他でやっていないクオリティのコンサートを作ろうということで「代々木の森サロン」というシリーズ公演を開催していました。カウンターテナーの米良美一さん、ジャズピアニストの小曽根真さんなどにご出演いただきましたが、最終回がギタリストの荘村清志さんと福田進一さんのデュオ・コンサートでした。
非常に仲が良いお二人なのに、このコンサートがなんと初共演。なぜ今まで一緒にリサイタルをやっていなかったのか分からないくらい、和気あいあいとした雰囲気の中、そのまま打ち上げに。打ち上げの際に、“ギターにとって最高の音響を備えたHakuju Hallで、ギタリストが集うイベントができないか?”という話が出たのが「ギター・フェスタ」誕生のきっかけとなったのです。

ギター・フェスタ 2015「フィナーレ」1(C)三好英輔

ギター・フェスタ 2015「フィナーレ」(C)三好英輔

荘村清志さんと福田進一さんのお二人をプロデューサーに迎えて「Hakuju ギター・フェスタ」を開催することになりました。毎年テーマを決め、若手ギタリストの抜擢も行う、などのコンセプトを決めた後に、1回目のテーマをどうするか話し合いました。
第1回目を開催する2006年は、日本が誇る世界的な作曲家・武満徹の没後10年にあたる年でした。ギターのオリジナル曲の歴史において武満徹は外せないものであること、荘村清志さんが武満徹の生前にギターのための委嘱作品を依頼し、曲の技術監修をしたという歴史、そして何よりもギター史に輝く功績ある武満徹のメモリアルイヤーであることから、初回のテーマ「武満徹へのオマージュ」が採択されました。
3日間オール武満プログラム、いわゆる現代音楽のみでスタートするということについて、運営側のホールとしては正直なところ、チケット販売上のリスクも懸念したのですが、“ここまでコンセプトや流れがしっかりできている”、“武満徹作品だけのプログラムでチケットが売れれば、2回目以降に勢いがつく”、“どうせなら毎年継続するシリーズにしよう”、という話になり決断しました。これが予想に反して、チケットは3日間とも完売!嬉しいスタートになったわけです。

ギター・フェスタ 2015「フィナーレ」2(C)三好英輔

ギター・フェスタ 2015「フィナーレ」(C)三好英輔

それから毎年、荘村さんと福田さんが交互にプロデュースする形で続いて来ましたが、1回目の決断が継続のきっかけになったのではないか、と思っています。
ギターのための新曲の委嘱、海外からのギタリスト招聘や若手ギタリストの発掘、大阪のフェニックスホール・名古屋の宗次ホールとの提携などを通じて、年に一度のギターイベントに終わらず、ギタリスト同士の交流や、世界的なギター音楽の広がりのきっかけになったりと、今ではいろいろな広がりの礎となるフェスティバルに成長したのではないかと思います。
昨年は10周年を迎え、記念としてプロデューサーのお二人による初のデュオCDも日本コロムビアよりリリースされ、チケットも完売となりました。
このフェスタのおかげで「ギターのハクジュ」と言っていただけるようにもなり、嬉しい限りです。

表4校111回目を迎える今年は「武満徹へのオマージュ2」と題して、再度、武満徹をテーマにしました。出演は荘村清志さん、福田進一さんをはじめ、鈴木大介さんなど生前の武満徹と親交の深いギタリストの皆さんに、世界的フルート奏者の工藤重典さん、ウィーン国立歌劇場でのデビューも決まっているカウンターテナーの藤木大地さん。海外からはグラミー賞にもノミネートされたフランス人ギタリスト、ジェレミー・ジューヴさんが待望の初来日。若手注目株のギタリスト、猪居謙さんも登場します。ギターのための委嘱新作は、同じく武満徹と親しく交流されていたアコーディオニストのcobaさんが担当。ギター作品の作曲は初めてとのことですが、ギター史上屈指の名曲が誕生するかもしれません。
現代音楽から映画音楽まで、広大な武満徹の世界を網羅できる3日間。ギター音楽、武満徹作品はあまり聴いたことがなくて…という方にこそ、ぜひ足を運んでいただき、その楽しさ、素晴らしさを体験していただきたいと願っております。

原浩之(Hakuju Hall 支配人)
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公演情報
第11回 Hakuju ギター・フェスタ 2016
8月19日(金)19:00 第一夜
8月20日(土)16:00 旬のギタリストを聴く 猪居謙リサイタル
8月20日(土)18:30 第二夜
8月21日(日)15:00 フィナーレ
https://www.hakujuhall.jp/syusai/69.html