注目のコンサート|2016年8月
ソヴィエト30年代に書かれたロシア・アヴァンギャルドの問題作、ポポーフの「交響曲第1番」の日本初演が話題。ショスタコーヴィチと同時期に活躍したポポーフはその前衛性を<階級の敵>と批判され、ショスタコーヴィチと同じ道を辿る(ちなみにこの曲の初演の翌年、やはり初演予定が中止となったショスタコーヴィチ「第4番」が京響の8月定期に登場する。8/19参照)。
振るのは飯森範親、必聴だろう。他にラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、ピアノはオルガ・シェプス。
8/4@サントリーホール
http://tokyosymphony.jp/pc/concerts/list?p_concertSeasonId=2vzMErnhaVY%3D&month=08
65歳以上の人々による合唱団、プラチナ★シンガーズの第一回演奏会、フォーレ『レクイエム』と佐藤眞『土の歌』を演奏する。指揮・指導は自身カウンターテナーとして活動している青木洋也。今後増えていく老年層の草の根的な音楽活動につながる可能性に注目。
8/6@東京芸術劇場
http://platinumsingers.jimdo.com/第一回演奏会のお知らせ/
♩8/9 東混創立60周年記念連続定期演奏会No.1<林光メモリアル 東混・八月のまつり37>
毎年恒例の<八月のまつり>も37回を数える。林光作品は「原爆小景」の他に、宮沢賢治生誕120年として宮沢賢治の詩による混声合唱曲集から4作。
他に新実徳英の「祈りの虹」。
8/9@第一生命ホール
http://toukon1956.com/concerts/cn_160809.html
びわ湖オペラで毎年共演している沼尻竜典が5年ぶりに登場する。ショスタコーヴィチ「第4番」は初演を目前に作曲者自身がそれを中止、その後25年間封印された<悲運の交響曲>。沼尻と京響がどんな扉を開くのか、興味深い。
「ピアノ協奏曲」は沼尻の恩師三善晃の代表作。新星、石井楓子との共演で新たな魅力を。
8/19@京都コンサートホール
http://www.kyoto-symphony.jp/concert/detail.php?id=508&y=2016&m=8
♩8/19〜21 第11回Hakuju ギター・フェスタ2016<武満徹へのオマージュ2>
2006年から毎夏開かれているギター・フェスタ。今年は没後20年を迎えた武満徹を、第1回に続き再度、特集する。武満のギター作品誕生のきっかけとなった荘村清志のほか、鈴木大介、福田進一らが集う。カウンターテナー藤木大地の歌も楽しみだ。
「旬のギタリストを聴く」には、猪居謙が登場。アコーディオンのcobaの新作も世界初演される。
8/19~21@ハクジュホール
http://www.hakujuhall.jp/schedule/index.php
♩8/22〜30 サントリー芸術財団 サマーフェスティバル2016
<耳からウロコの夏になる>サマーフェスティバル2016。プロデューサーに板倉康明<耳の愉しみ>と佐藤紀雄<単独者たちの王国>の二人を迎え、それぞれにオリジナリティ溢れるプログラムを展開。
サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ No.39のテーマ作曲家はフィンランド出身のカイヤ・サーリアホ。また、ホール30周年記念として武満徹「ジェモー」が再演される。
芥川作曲賞選考演奏会には気鋭の新進作曲家の3作を初演、公開選考会で1作が選出される。
8/22~30@サントリーホール
http://www.suntory.co.jp/sfa/music/summer/2016/
♩8/23 東京室内管弦楽団 平和祈念コンサート2016〜平和を祈り、未来へ語り継ぐ〜
かの新垣隆の交響曲「連祷〜Litany」東京初演、がやはり気になる。客演指揮で自作の棒も振る。広島と福島がモチーフで、大きな悲しみや絶望から、小さな、しかし確かな希望へという祈念が込められている作品、とのこと。新垣の真の才能を見極めることができようか。
他にスタジオジプリ「火垂るの墓」「風立ちぬ」。こちらを振るのは志村健一。
8/23@東京芸術劇場
http://tco.or.jp/20160620000112/
♩8/24 日本フィル&サントリーホール とっておきアフタヌーン Vol.5 〜歌舞伎×オーケストラ
歌舞伎とオーケストラの出会いを演出するステージ。山田和樹の指揮で尾上右近が舞う。
振り付けは尾上菊之丞。「ラ・ヴァルス」「ローマの松」で、さて、どんな世界を繰り広げるか。他にベルリオーズ、マスカーニなどオーケストラのみを4曲という趣向。
8/24@サントリーホール
http://www.japanphil.or.jp/concert/detail_371.html#infoBox01
♩8/17〜30 第37回草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル
西村朗の音楽監督のもと、草津の今年のテーマは「イタリアから、イタリアへ」。文化の先進国であったイタリアとその周辺を多彩なプログラムで描く。草津常連の面々が上質な音楽を楽しませてくれよう。
中では<矢代秋雄没後40年>として矢代2作、<サティ生誕150年と武満徹>が目を惹く。能舞台仕立てのサティ「メドゥーサの罠」も興味深い。
8/17~30@草津音楽の森国際コンサートホールほか
http://kusa2.jp