撮っておきの音楽家たち|シルヴィ・ギエム|林喜代種
シルヴィ・ギエム(バレエ・ダンサー)
2015年10月20日 ホテル・オークラ
2015年12月17日 東京文化会館
photos and text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)
バレエ界の至宝、シルヴィ・ギエムが2015年12月31日の公演をもって引退した。
現在50歳。引退ツアーの最後の地に日本を選んだ。初めて海外公演を行ったのも日本だった。京都をはじめ日本各地の文化に触れ深く感ずるものがあった。それは生き方や踊り方の一部として身に付いているという。
10月には演劇・映像部門で2015年度の「世界文化賞」を受賞した。賞金については「いろいろ不幸な出来事が起きており、破壊される地球のため、自然のため、動物のために使いたい。さまざまな環境保護団体に資金を提供したい」と述べている。
引退公演は「ライフ・イン・プログレス」と銘打っている。それについてギエムは「わたしはいつも前を向いて進んできた。知らなかったことを発見し、リスクをとって新しいことに挑戦し、学び続けてきました。だからこそ、ダンサーとして最後の舞台までその姿勢を貫き、私が尊敬する今を生きる振付家との新作に挑戦することにしたのです。ライフ・イン・プログレス―――私は後ろを振り返ることなく、前に進んでいきます。」と語っている。この公演では全6曲中3曲を踊り、うち2曲は新作だった。
またオーチャードホールのジルベスターコンサートではベジャール振付けのラヴェルの「ボレロ」の踊りがカウントダウン曲となり新しい年を迎えた。