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Pick Up (20/9/15)|東京二期会「2021/2022シーズンラインアップ」記者発表会|藤堂 清

東京二期会「2021/2022シーズンラインアップ」記者発表会
Tokyo Nikikai Opera Foundation, 2021-2022 season 

Text by 藤堂 清 (Kiyoshi Tohdoh)
Photos by 林 喜代種 (Kiyotane Hayashi)

(出席者)
公益財団法人東京二期会 理事長 清水雅彦
            常務理事 兼 事務局長 山口毅
二期会会員(ソプラノ) 嘉目真木子
     (バリトン) 今井俊輔

9月2日新国立劇場大劇場のホワイエで行われた東京二期会の2021/2022シーズンのラインアップ発表会、コロナの感染拡大防止のため延期された公演を含む予定のほか、新たな取り組みへの考え方が示された。
発表された演目、公演日、指揮者、演出家はこちらを参照のこと。

2022年が二期会創立70年となるのを記念するシリーズを、2021年2月の《タンホイザー》より開始し、前後合わせ3か年にわたり行う。そのなかで、オリジナルの新制作、海外歌劇場との共同制作を計画しており、現時点で発表されているこれに該当する公演は以下のとおり。

2021年

  • 2月《タンホイザー》フランス国立ラン歌劇場との提携公演
  • 7月《ファルスタッフ》テアトル・レアル、ベルギー王立モネ劇場、フランス国立ボルドー歌劇場との共同制作
  • 8月《ルル》オリジナル新制作(2020年7月からの振替)

2022年

  • 2月《影のない女》ボン歌劇場との共同制作
  • 7月《パルジファル》フランス国立ラン歌劇場との共同制作

名声の高い演出家がどのような舞台を作り出してくれるかと期待される。そしてその演出が海外の歌劇場との共同制作、提携公演という点で、日本の、二期会で一回限り使われるものではなく広く世界に拡げていこう、海外へ発信していこうという意欲は楽しみ。
たとえば、《影のない女》はペーター・コンヴィチュニーの新演出、日本で世界初演を行い、それをボン歌劇場に持っていく予定となっている(正直なところ、もっと若い人で冒険できないのかという思いはあるが)。

指揮者として招聘する顔ぶれは若手の有望株が入っており、多いに期待される。以下にあげておこう。

  • 2021年1月《サムソンとデリラ》ジェレミー・ローレル
  • 2021年8月《ルル》マキシム・パスカル
  • 2021年9月《魔笛》リオネル・ブランギエ
  • 2021年11月《こうもり》川瀬賢太郎
  • 2022年4月《エドガール》アンドレア・バッティストーニ

もう一つの海外展開の試みは、東京二期会のオペラ公演の映像の海外配信。経済産業省が推進している、文化コンテンツの海外展開の促進及び創出のための助成金J-LODを活用して行う。
7月11日に東京文化会館で開催された「東京二期会スペシャル・オペラ・ガラ・コンサート」の模様はすでに無料配信を始めている。今後のオペラ公演、2020年9月《フィデリオ》、2020年11月《メリー・ウィドウ》、2021年1月《サムソンとデリラ》の配信が予定されている。
映像化にあたっては、ドキュメンタリーとしての意味を持たせることを考慮、英語字幕を付ける、多くのカメラでの収録、など日本発のオペラのクオリティを伝えられるものとするという。
当面は東京二期会のYouTubeチャネルを利用して無料で配信予定。

コロナ禍で予定されていた公演の実施は大きな影響は受けたが、東京二期会のオペラ公演は中止はせず、時期を変更して行うことになっている。
演奏家の来日が可能となる時期はまだ見通せない。指揮者や演出家の招聘がスムーズに行えるかどうか不安なところはあるだろう。演出はリモートの映像でやりとりができる可能性があるが、指揮者に関しては遠隔地から指導するといったことはそう簡単ではあるまい。なんらかの対応策を準備することは必須と考える。

予定どおりに進まない場合も、あたたかい気持ちで見守っていきたい。

(2020/9/15)