注目の公演・イベント|2023年4月
♩4/6,9 東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.14
《ニュルンベルクのマイスタージンガー》(演奏会形式/字幕付)
東京・春・音楽祭の代表的なシリーズでは毎年ワーグナーの舞台作品を上演してきている。今年は《ニュルンベルクのマイスタージンガー》が取り上げられる。ハンス・ザックスにエギルス・シリンス、ベックメッサーにアドリアン・エレート、エファにヨハンニ・フォン・オオストラムと主要な役柄に実力のある海外組を配している。指揮者は今回もマレク・ヤノフスキがあたる。高いレベルの公演が期待できるだろう。
4/6,9@東京文化会館大ホール
https://www.tokyo-harusai.com/program_info/2023_die-meistersinger01/
バロック時代のフランスで演奏されていたルソン・ド・テネブル。フィオッコ、クープラン、シャルパンティエとさまざまな作曲家によるルソン・ド・テネブルをこれまた多彩な演奏家で聴く。
4/7,14時,19時@すみだトリフォニーホール小ホール
https://officefrenchbaroque.wixsite.com/ldt1
人類史上の至宝、マタイ受難曲がBCJによって演奏される、この一文を読むだけで想像の音楽が脳内に広がっていくではないか。世界が、地球が狂っている今、この音楽はどのように響くのか、いざ時代の証言者とならん
4/7,8@東京オペラシティ コンサートホール
https://bachcollegiumjapan.org/concerts/
♩4/8,9 東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ 《平和の日》(日本初演/セミ・ステージ形式上演)
R.シュトラウスのめったに上演されることのないオペラを東京二期会が取り上げる。セミ・ステージ形式ではあるが、日本初演である。指揮の準・メルクルのかっちりとした音楽作り、そして二期会の若手中心のキャストが、この希少な機会を楽しめるものとしてくれるだろう。
4/8,9@Bunkamuraオーチャードホール
http://www.nikikai.net/lineup/friedenstag2023/index.html
1976年にブロードウェイで初演され、賛否を呼んだソンドハイム&ワイドマンのミュージカルを、梅田芸術劇場と英国メニエール・チョコレート・ファクトリー劇場の共同制作で上演。演出はマシュー・ホワイト。なお、今回の公演は1時間45分の短縮版となる。
4/8~16@梅田芸術劇場メインホール
https://www.umegei.com/pacific-overtures/
♩4/11 ノトス・カルテット〜シェーンベルク・エフェクト〜
ノトス・カルテットの演奏は、敢えて言ってしまえば「非クラシック的」な独特のノリを備えている。オーソドックスな演奏を好むファンは敬遠するかも知れぬが、「室内楽は渋くて取っつきにくくて…」なんて方は快哉を叫ぶかも。つまり面白くて退屈する暇がない。2019年の初来日公演で日本のファンに衝撃を与えたそのノトス、2回に及ぶコロナ禍での公演中止を経て待望の再来日では本コンサートと同じタイトルのアルバム『シェーンベルク・エフェクト』にも収録されたブラームス:交響曲第3番のA.タルクマン編曲による室内楽版日本初演、シェーンベルクの弦楽三重奏曲、そしてトリを飾るは2019年の公演でも披露されたブラームスのピアノ四重奏曲第1番。これは聴き逃せまい。
4/11@王子ホール
https://www.ojihall.jp/concert/lineup/2023/20230411.html
2015年の4月に都響の音楽監督就任記念コンサートで取り上げて以来、大野和士にとって同オケでの2度目の演奏となるマーラーの『夜の歌』。この4月における2023-2024年度の開幕コンサートに再度この曲を選んだことからも大野和士にとってこれは「勝負曲」であろうことは想像が付くが、常識的な論理が通用しないような時空の歪んだ怪作たる本曲を大野が持ち前の知的分析力とパッションでどう料理するのか。これは期待しないわけには行くまい。
4/13@サントリーホール
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3650
♩4/13 東京・春・音楽祭 青木尚佳(ヴァイオリン)、ジャノ・リスボア(ヴィオラ)、ウェン=シン・ヤン(チェロ)
ミュンヘン・フィルのコンマスとして活躍する青木尚佳が、ミュンヘンの弦楽仲間とトリオを組んでの室内楽コンサート。ドホナーニ:セレナーデ、コダーイ:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲、モーツァルト:ディヴェルティメント という組み合わせ。ミュンヘンはベルリンとは別の音楽文化の交差路に位置する。この3作はその交差路の豊かさと懐かしさをも伝えてくれるだろう。配信あり。
4/13@東京文化会館小ホール
https://www.tokyo-harusai.com/program_info/naoka_lisboa_yang/
♩4/15 神奈川フィルハーモニー管弦楽団みなとみらいシリーズ定期演奏会第385回
2022年の4月よりその音楽監督の任にある沼尻竜典が神奈川フィルを指揮してのショスタコーヴィチ『レニングラード』。このコンビのショスタコーヴィチと言えばやはり2022年の7月に演奏された交響曲第8番の峻烈な名演が忘れ難い。ことさらに大仰な表現で聴かせるでもなく、それでいて音楽的に全く物足りなさを感じさせない「等身大」誠実極まりない演奏であった。それだけに今回の『レニングラード』も大いに期待できよう。
4/15@横浜みなとみらいホール
https://www.kanaphil.or.jp/concert/2489/
♩4/15 東京交響楽団 第709回定期演奏会、川崎定期演奏会 第50回
ポーランド生まれのクシシュトフ・ウルバンスキ指揮での東響定期は、ヘルダーリンの詩によるコネッソン:Heiterkeit(合唱とオーケストラのためのカンタータ)にシマノフスキ:スターバト・マーテルというプログラム。ポーランド語の歌詞による貴重な上演で、シモーナ・シャトゥロヴァsop、ルヒルト・ロンベルガーms、与那城敬brを迎える。
聞きものだ。他にプロコフィエフ:バレエ組曲「ロメオとジュリエット」より。
4/15@サントリーホール
https://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=E%2B0ND0CdarE%3D&month=04
4/16@ミューザ川崎シンフォニーホール
https://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=NgWQU7Mf%2B2Q%3D&month=04
「花、生きもの、大量生産」という刺激的なタイトル。お馴染みバリトン松平敬、チューバ橋本晋哉のデュオでの委嘱新作3作を含む邦人7作。新作は山根明季子「大量生産」、川崎真由子「低い音の生きもの」、まとばゆう「色とりどりの花」。他に山本和智、鈴木治行、川上統が並ぶ。低音ばかりでなく、2人の役者ぶりが存分に発揮されるステージになること間違いなし。
4/19@杉並公会堂小ホール
https://teket.jp/5983/20446
♩4/20 Vox Poetica CD「Dowland」発売記念コンサート
注目のデュオ、Vox PoeticaのセカンドCDはダウランド。これは聴かねばなるまい。
4/20日@ムジカーザ
https://dowland.info/index.php/2023_04_20/
♩4/21 ラ・フォンテヴェルデ 第33回定期演奏会『スパニッシュハープと奏でる古のスペインvol.2』
2002年に鈴木美登里を中心に結成された声楽アンサンブルのラ・フォンテヴェルデは16世紀~17世紀イタリアのマドリガーレをレパートリーの中心に据えて活動。それぞれのメンバーはソリストとしても活動しており、その演奏水準の高さは折り紙付き。この4月の定期演奏会は2021年の12月に開催されて好評を博した『スパニッシュハープと〜』の第2弾である。愉しいコンサートとなること請け合いである。
4/21日14:30/19:00(昼夜2回公演)@としま区民センター6F 小ホール
http://lafonteverde.com/blogs/blog_entries/view/55/f2f33acd68b8c440a1d5e438e90d03a3?frame_id=140
♩4/21、22 コリン・カリー・グループ ライヒ『18人の音楽家のための音楽』
2017年のライヒ作品『テヒリーム』来日公演の感動がまるで昨日のようだが、またコリン・カリー・グループがシナジー・ヴォーカルズとともにオペラシティに登場する。メインはライヒの『18人の音楽家のための音楽』。現代音楽という枠を越えたこの傑作が達人たちの演奏でどのように鼓膜に届くか、ドキドキが止まらない。
4/21,22@東京オペラシティ コンサートホール
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=15706
♩4/21、22 NHK交響楽団 第1981回定期公演Cプログラム
パーヴォ・ヤルヴィが振るフランスの「新古典主義」の系譜。プログラムは、晩年のルーセルの「弦楽のためのシンフォニエッタ」、プーランク「シンフォニエッタ」、イベール「室内管弦楽のためのディヴェルティスマン」。形式への意志、自然への憧憬に感じ入りたい。
4/21,22@NHKホール
https://www.nhkso.or.jp/concert/202304C.html?pdate=20230421
https://www.nhkso.or.jp/concert/202304C.html?pdate=20230422
改装なった文京シビックホールでの多才・実力派ピアニスト3名、中野翔太・金子三勇士・山中惇史が勢揃いでソロ、デュオ、トリオを聴かせる。ショパン、ガーシュウィン、リスト、ミヨー、バーンスタイン、ラヴェルと並べ、様々な編成でのスリリングなステージを展開。山中編曲「ウェストサイド・ストーリー」、中野編曲:ボレロなど、気鋭の奏者間での化学反応がいかにも楽しみ。
4/23@文京シビックホール
https://www.b-academy.jp/hall/play_list/060892.html
♩4/29 transit Vol.16 マリー=アンジュ・グッチ(ピアノ)
若い才能、未知のアーティストを紹介する王子ホールtransitシリーズの16回はアルバニア出身のピアニスト、マリー=アンジュ・グッチが登場。13歳でパリ国立高等音楽院に飛び級入学、ニコラ・アンゲリッシュに師事。オルガン、チェロも弾き、ウィーン国立音楽大学の指揮科でも学ぶという広範ジャンル越え。ラ・フォル・ジュルネ TOKYOで2018,19に来日、期待の新星だ。シューマン:クライスレリアーナ、スクリャービン:ピアノ・ソナタ第5番、ラヴェル:「鏡」より、ラフマニノフ:ショパンの主題による変奏曲と、恐れを知らぬ早熟の魅力を目撃したい。
4/29@王子ホール
https://www.ojihall.jp/concert/lineup/2023/20230429.html