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注目のコンサート|2019年9月

♩9/2 バルバラ・ストロッツィ生誕400年記念コンサート

バルバラ・ストロッツィは17世紀にヴェネチアで活躍した女性作曲家で、今年、生誕400年を迎える。聴くものの心を大きく揺さぶるストロッツィの歌の数々を堪能されたい。また、8月29日にはプレ講演会もおこなわれる。併せて足を運ばれることをお勧めする。

9/2@豊洲シビックセンターホール
https://www.discorsimusicali.com/バルバラ・ストロッツィ生誕400年記念コンサート/

 

 

 

 

♩9/5 川島素晴 works vol.3 by 双子座三重奏団

2017年に始まった、作曲家・川島素晴の個展と言えるこのコンサート・シリーズも今年で3回目。今回参加するのは、トランペットの曽我部清典、ピアノ/作曲の中川俊郎、バリトンの松平敬によるユニット「双⼦座三重奏団」。また、演出にしままなぶを迎えて、2000年から今年の新作に至るまでの川島作品をシアター仕立てで上演するという。個々のユニークなコンセプトの作品はもちろんのこと、演奏会全体にどのような演出が施されるかといったところも必見である。川島素晴の創作史に立ち会う絶好の機会となること間違いなし。

9/5@豊洲シビックセンターホール
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=53325

 

 

♩9/5~8 藤原歌劇団 ロッシーニ 歌劇《ランスへの旅》(字幕付)

1825年シャルル10世の戴冠祝賀のために書かれ、パリのイタリア劇場で初演。戴冠式へむかうために各国からの客が集まった金の百合亭が舞台だが、馬車が集められず皆足止めとなる。恋のさやあてなどあっても事件はおきない。14人のソリストがその表現力を競うオペラ・ガラ・コンサートのようなもの。どの場面をとってもベルカントの歌声を堪能できる。
藤原歌劇団の主催だが、東京二期会が共催として入り、双方の団体から歌手を集め、現在日本で求められる最良の布陣で臨む。同じく共催の新国立劇場での上演というのも好ましい。
藤原歌劇団では、2008、2015年とアルベルト・ゼッダの指揮で、魅力的な演奏を聴かせてくれた。彼から薫陶を受けた園田隆一郎が、ロッシーニ指揮者としての実力を発揮してくれるだろう。

9/5~8@新国立劇場オペラパレス
https://www.jof.or.jp/performance/1909_reims/

 

♩9/6,7 日本フィルハーモニー交響楽団 第713回東京定期演奏会

日本フィルハーモニー交響楽団は新シーズン開幕に挑戦的なプログラムを用意してきた。「フランスと日本を巡る『温故知新』」をテーマに、バッカス神つながりのフランス音楽2作品、「日本フィル・シリーズ」(邦人作品の委嘱シリーズ)の第2作目と第42作目が披露される。この第2作目とは、間宮芳生〈ヴァイオリン協奏曲第1番〉であり、ソロを担当するのは新たに日本フィル・コンサートマスターに就任した田野倉雅秋。また第42作目は大島ミチルの新作初演である。フランスと日本、2つの国の2つの温故知新をいかにまとめあげるか、必聴だ。

9/6,7@サントリーホール
https://www.japanphil.or.jp/concert/23652

 

 

♩9/8~15 武生国際音楽祭 

細川俊夫を音楽監督に迎え、毎年9月に開催されている同音楽祭。福井県越前市という小さな地方都市を舞台にしながらも、世界の第一線で活躍する作曲家、演奏家を招き、作曲ワークショップと近現代の音楽を中心としたコンサートで高い評価を受けてきた。コンサートプロデューサーは伊藤恵。ヴェロニカ・エーベルレ(Vn)、シェシュティン・アヴェモ(Sop)、マリオ・カーロリ(Fl)といった海外アーティストに加え、鈴木優人(Cond)や吉野直子(Harp)など国内の演奏家も多数参加し、1週間にわたって様々な企画が予定されている。

9/8~15@越前市文化センターほか
http://takefu-imf.com/mainconcert/

 

 

♩9/10 Opus One Live @ Hakuju Hall Vol.1笹沼樹

コロムビアの新レーベル「Opus One」が開始する次世代演奏家シリーズの第1弾にvc笹沼樹が登場だ。20代、特定コンクール歴にこだわらない新人若手の発掘を目指し、2019年は5回の開催予定とのこと。笹沼はミュンヘン国際コンでカルテット第3位のカルテット・アマービレを支えるチェリストで、その大柄(身体だけでない)な魅力はつとに知られる。ショスタコからラフマニノフまで堪能でき、こちらも若き巧者入江一雄pfとの共演ゆえ、実に楽しみ。

9/10@Hakuju Hall
https://columbia.jp/opusone/

 

 

♩9/14 ウェールズ弦楽四重奏団

大分で着実に進行しているウェールズSQのベートーヴェン:弦楽四重奏曲全曲ツィクルス。この9月の第1回目のコンサートを以て東京の第一生命ホールでも同ツィクルスが待望の始動。何を演奏しても作品に内在する論理を明晰に表出するウェールズゆえ、ベートーヴェンなどはまさにうってつけであろう。全16曲、われわれリスナーも愉しく並走しようではないか。

9/14@第一生命ホール
https://www.triton-arts.net/ja/concert/2019/09/14/2889/

 

 

 

♩9/14,15 東京オペラ・プロデュース 第104回定期
シャブリエ オペラ・ブーフ《エトワール(星占い)》<設立45周年記念>

今年1月に法人として認証を受け、5月から「特定非営利活動法人東京オペラ・プロデュース」として活動を開始した東京オペラ・プロデュース、日本での上演機会にめぐまれない作品を紹介していくという基本路線は変わらない。新たな体制での第1回目の公演は、E.シャブリエの《エトワール》。この演目、2009年に彼らが上演しており10年ぶりに取り上げるもの。そのときと、指揮飯坂純、演出八木清市のコンビは同じである。セリフが重要な役割を持つオペラ・ブーフ、それを日本語とすることでより楽しめるものとなるだろう。歌唱はフランス語。
上演費用や出演歌手など様々な問題を乗り越え45年間続けてきた活動が、法人化でより円滑となることを期待したい。

9/14,15@新国立劇場 中劇場
http://operaproduce.web.fc2.com/#Etoile

 

♩9/14、16 びわ湖ホール声楽アンサンブル第69回定期公演、東京公演 Vol.11

びわ湖ホール声楽アンサンブル69回公演は寺嶋陸也の合唱劇「かなしみはちからに、~宮澤賢治 未来への手紙~」がメイン。指揮寺嶋、演出しままなぶ、cl草刈麻紀、pf斎木ユリ。他に林光「宮沢賢治の詩によるソングアルバム《岩手軽便鉄道の一月》。日本語と誠実に向き合う二人の作曲家の歌の世界をじっくり味わいたい。全国への発信として東京公演も行われる。

9/14@びわ湖ホール小ホール
https://www.biwako-hall.or.jp/performance/2019/06/04/69-2.html
9/16@東京文化会館小ホール
https://www.biwako-hall.or.jp/performance/2018/11/26/-vol11-1.html

 

 

♩9/16 NODUS vol.2 谺する息吹

ラテン語で「結び目」を意味する作曲家グループ「NODUS」の第2回演奏会が開催される。大御所・ホリガーとプーランクの作品に全メンバーの世界初演作品をぶつけてきた所から彼らの本気の度合いが知られよう。まだ見ぬ(聴かぬ)若き才能との出会いを期待したい。

9/16@トーキョーコンサーツ・ラボ
https://tocon-lab.com/event/20190916
NODUS ホームページ
https://nodus2010.tumblr.com/

 

 

♩9/20、21 新日本フィルハーモニー交響楽団#610トパーズ<トリフォニー・シリーズ>

歌曲やピアノ曲・室内楽などで知られるシューベルトの劇音楽が聴ける貴重な機会。のみならず、メンデルスゾーンの交響曲の中でも演奏される機会の少ない「讃歌」。こちらは交響曲といいながら合唱とソリストをもつオラトリオのような編成をもつ。メンデルスゾーンの宗教心を感じたい。

9/20,21@すみだトリフォニーホール
https://www.njp.or.jp/concerts/8566

 

 

♩9/20、21 札幌交響楽団第622回定期演奏会

ホリガー生誕80年、各地で関連コンサートが開催される中、2015年初共演以来3度目となる札響。「What composers do to other composers…(作曲家が作曲家に出会うとき・・・何を感じ、何を与えただろう?)」というテーマを彼に投げ、その答えが公演プログラムとなった。自作2曲にバッハ、ベルク(V・エーベルレvl)、彼が最も好きな作曲家シューマン『春』と、まさに「ホリガーの自画像」が描かれる。必見必聴だ。

9/20,21@札幌コンサートホールKitara
https://www.sso.or.jp/concerts/2019/09/622/
関連記事:Back Stage:ホリガーの自画像
http://mercuredesarts.com/2018/11/14/back-stage-holliger_self-portrait-miyashita/

 

♩9/21、22 関西歌劇団第100回定期公演「オリンピーアデ」

関西歌劇団が新たに取り上げるオペラは、ペルゴレージの「オリンピーアデ」。先日、2020年東京五輪でのメダル・デザインが発表されたばかりだが、ここでのオリンピック優勝者の褒美は、なんと王の娘との結婚だ。それを巡って2組のカップルの愛と友情が交錯する物語。同歌劇団は今年創立70周年を迎え、本公演は100回目の記念公演でもある。もちろん、東京五輪に向けて時宜を得た演目でもあり、華やかな祝祭ムードに包まれたものとなりそうだ。

9/21,22@あましんアルカイックホール・オクト
https://www.kansai-opera.co/concerts-annai

 

 

♩9/24 伊藤亮太郎と名手たちによる弦楽アンサンブルの夕べVol.2

N響コンサートマスターの伊藤亮太郎が仲間5人と展開する室内楽ファン必聴のシリーズ、『伊藤亮太郎と名手たちによる弦楽アンサンブルの夕べ』第2弾。特にチャイコフスキーの『フィレンツェの思い出』は傑作ながらなかなか演奏の機会にめぐりあわないだけにこれは聴き逃せまい。

9/24@ヤマハホール
https://www.yamahaginza.com/hall/event/003687/

 

 

 

♩9/26~30 ベルリン古楽アカデミー・オーケストラ × ソフィー・カルトホイザー(ソプラノ)

ドイツを代表する古楽アンサンブル、ベルリン古楽アカデミー・オーケストラが3年ぶりに来日する。今回は、ベルギーのソプラノ、ソフィー・カルトホイザーを独唱にむかえ、ヘンデルのカンタータ《愛の妄想─あの宿命の日から─》HWV99をとりあげる。モーツアルトのオペラやコンサートで国際的に活躍しているカルトホイザーの成熟した歌が楽しみ。
この曲のほかに、J.S.バッハの息子、C.P.E.バッハのオーボエ協奏曲、J.S.バッハのはとこ、ヨハン・ベルンハルト・バッハの管弦楽組曲第1番というプログラム。
全国4箇所で公演予定。

9/26@名古屋電気文化会館 ザ・コンサートホール
http://www.chudenfudosan.co.jp/bunka/denbun/topics/detail/31970
9/28@兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホール
http://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=4311012019&sid=0000000001
9/29@東京 トッパンホール
http://www.toppanhall.com/concert/detail/201909291500.html
9/30@東京 武蔵野市民文化会館小ホール
http://www.musashino-culture.or.jp/eventinfo/2019/05/post-918.html

 

♩9/27日本フィルハーモニー交響楽団第115回さいたま定期演奏会

日本的土俗のエネルギーを追求し続けた伊福部昭の代表曲『日本組曲』、自らの郷土をハンガリーと語ったリストのこれもまたエネルギーに満ちた『死の舞踏』『ハンガリー狂詩曲第2番』の間に井上道義が自作『メモリー・コンクリート』を挟み込んだプログラムを組んだ。演奏会の副題は「記憶」。井上がどのように彼らそして自分の記憶と対決するのか、しかと見届けたい。

9/27@ソニックシティ
https://www.japanphil.or.jp/concert/23630

 

 

 

♩9/28 アマリリス弦楽四重奏団

アルバン・ベルクSQ、 G.ピヒラーらに師事。2011年パオロ・ボルチアーニ賞国際弦楽四重奏コンクールでファイナリスト賞などの受賞歴。7年ぶりの来日で、2016年赤坂智子vaが加わってのメンバー。現メンバーでの初録音モーツァルト「不協和音」の他ルトスワフスキ、チャイコフスキーとバラエティ豊かなプログラムで聴かせる。赤坂加入後の新たなアンサンブルに期待したい。

9/28@第一生命ホール
https://www.triton-arts.net/ja/concert/2019/09/28/2892/index.php

 

 

♩9/28 ボンクリ・フェス2019

作曲家・藤倉大をアーティスティック・ディレクターに招いた、「新しい音」の祭典が今年も開催。東京芸術劇場の各所で、入場無料のプログラムやワークショップなど、様々なイベントが一日中楽しめる。スペシャル・コンサートの内容もまた、坂本龍一の日本初演、大友良英の世界初演が含まれており、魅力的なものとなっている。「世界中の新しい響き」に浸れる一日、是非芸劇に足を運びたい。

9/28@東京芸術劇場
https://www.borncreativefestival.com/

 

 

♩9/29 アンドレイ・ググニン ピアノ・リサイタル

2016年のシドニー国際ピアノコンクールで1位入賞したロシアのピアニスト、アンドレイ・ググニンのリサイタルはそのプログラムが面白い。19世紀の伝説的ピアニストで作曲家でもあるゴドフスキーに捧げられたピアノ作品ばかりを集める。ラフマニノフやリストのほか、ブルーメンフェルトやフリードマンといったあまり知られていない作曲家の作品も含まれるが、いずれもゴドフスキーとほぼ同時代を生きた名ピアニストであったという点も興味深い。19世紀のピアニズムが21世紀の新世代の奏者によりどのように蘇るのか、ぜひ聴いておきたい。

9/29@宗次ホール
http://www.munetsuguhall.com/calendar2/201909.php

 

 

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10月以降の注目コンサート

♩10/2 ハインツ・ホリガー80歳記念オーケストラ・コンサート
♩10/5 ハインツ・ホリガーと仲間たち

オーボエ奏者・作曲家・指揮者としてどれも揺るぎない名声と実力の持ち主たるハインツ・ホリガーの80歳を記念するコンサートがオーケストラと室内楽の2つ開かれる。バロックと現代音楽、遠いようで近いこの時代・様式の音楽を、指揮・オーボエはもちろんホリガーで聴けるとはなんたる喜びか。今回のための細川俊夫の世界初演作品にも期待大だ。

10/2@東京オペラシティコンサートホール
http://www.hirasaoffice06.com/concerts/view/254
10/5@浜離宮朝日ホール
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2019/10/event1430.html

 

♩ 10/12~ いずみホール「古楽最前線2019」

昨年2月に急逝した音楽学者の礒山雅氏企画・監修のもとに始まったいずみホールの「古楽最前線2018-2020〜躍動するバロック」もいよいよ2年目。昨年はモンテヴェルディのオペラなど、バロック初期の音楽を取り上げいずれも高い評価を受けた。今年は「バッハと同時代に生きた作曲家」に焦点を当て、下記の4つの公演を予定している。古楽界をリードする国内外の奏者が集うだけに、どの公演も見逃せないものとなりそうだ。

10/12 《メサイア》ウィリアム・クリスティ(指揮)、レザール・フロリサン
10/24 ピエール・アンタイ チェンバロ・リサイタル
12/14 いずみホールオペラ2019《ピグマリオン》
2020/3/11 ヴィヴァルディ《四季》
https://www.izumihall.jp/pdf/baroque2019.pdf