Pick Up (19/8/15)|10代のためのプレミアム・コンサート 大野和士×バルセロナ交響楽団|JOE    

10代のためのプレミアム・コンサート 大野和士×バルセロナ交響楽団
Premium Concerts for Teens
Kazushi Ono & Barcelona Symphony Orchestra – the national orchestra of Catalonia (OBC) 

2019年7月28日 サントリーホール
Reported by JOE
Photos by 上野隆文/写真提供:公益財団法人ソニー音楽財団 

今夜のサントリーホール、圧倒的に親子連れが多い。大野和士がバルセロナ交響楽団を率いておくる『10代のためのプレミアム・コンサート』である。
まずは勢いよく、ビゼーの『カルメン』前奏曲で一気にスペインの空気に。華やかさと力強さの見事なハーモニー、さすが本場オケである。ジャジャーン!とオケの実力を印象付けてから、大野は軽やかな口調で次のプログラムへと誘う。
「ラヴェルという作曲家はね、とっても子どもが好きだったんです。どんなコンサートでも、お客さんの中に子どもを見つけると、さっと駆け寄って抱き上げてね…」といった具合に。
そしてひらりと舞台袖のピアノに向かい、徳重智子と『マ・メール・ロワ』を連弾したかと思うと、また指揮台に舞い戻り、同じ曲をオケと奏でる。
なるほど、楽器によってこんなにも響きが変わるのね、と聴き比べているとそこにバレエダンサーも登場し、私たちは耳で楽しんで目で楽しんでと大忙しであった。
これでは子どもたちも、飽きるヒマなどない。

後半はファリャのバレエ音楽『三角帽子』を、東京シティ・バレエ団や新進気鋭のギタリスト・徳永真一郎、バレンシア生まれのメゾソプラノ歌手・マリーナ・ロドリゲス・クシらと共演。なかでも特筆すべきは、聴衆を巻き込んでのリズム&ダンスワークショップである。
『三角帽子』の各曲にはスペイン舞踏音楽ならではの情熱的なリズムがちりばめられている、というわけで1曲目<近所の人々の踊り>では3/4拍子の“タンタタ タンタン タンタン”というセギディーリャのリズムを、徳永のギターに倣って私たちも手拍子したり、足を踏み鳴らしたり。
最初は席に座ったまま控えめに手を叩いていたものの、課題がレベルアップするにしたがって立ち上がり、いつのまにかフラメンコのダンサーになった気分で右に左に体を振りながら“タンタタ タンタン タンタン♪”とやるわけである。
続く<粉屋の踊り><終幕の踊り>にもファルーカ、ホタといった民族舞踊のリズムが盛り込まれていて、東京シティ・バレエ団芸術監督のご指導のもと、我々もスカートの裾をつまんで(男性たちはそのつもりになって)八の字にヒラヒラとはためかせ、腰をくねらせてみたりする。そう、カルメンみたいに!

こうして、皆がひととおり3つのリズムをマスターし終えると、大野は改めて『三角帽子』第2組曲を振った。すると不思議なもので、一度自分の体で体得したリズムが出てくると、体が勝手に反応してムズムズ動きたくなる。心身ともに、揺さぶられるのだ。
「ただ座って演奏を聴くだけではなく、自分もオーケストラの演奏に参加した!という思い出をぜひ持ち帰ってください。」(プログラムのコメントより抜粋)とまさに大野が願ったとおり。
音楽を聴くという、演奏家の行為を受け取るばかりでなく、自らその音楽の一部となって、ともに楽しむというこの高揚感は、子どもにとっても大人にとっても特別な体験となっただろう。
今夜私たちに、さまざまな音楽の響きや、驚き、喜びに出会わせてくれた演奏者、ダンサー、スタッフすべての方に、Special Thanksを贈りたい。

<出演>
大野和士(指揮・ピアノ・おはなし)
バルセロナ交響楽団(管弦楽)
東京シティ・バレエ団(バレエ)
徳重智子(ピアノ)
マリーナ・ロドリゲス・クシ(メゾ・ソプラノ)
徳永真一郎(ギター)

<曲目>
ビゼー:オペラ「カルメン」より前奏曲
ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ(マザー・グース)」
ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」 第2組曲
(振付:安達悦子/共演:東京シティ・バレエ団)

(2019/8/15)

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JOE
東京都立芸術高校音楽科〜法政大学哲学科卒。
東京ニュース通信社勤務、現在フリー。

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◆Performances by:
Kazushi Ono (Cond., Piano, and Talk)
Barcelona Symphony Orchestra – the national orchestra of Catalonia (OBC)
Tokyo City Ballet
Tomoko Tokushige (Piano)
Marina Rodríguez-Cusí (Mezzo soprano)
Shin-ichiro Tokunaga (Guitar)

◆Program:
Bizet: Prelude from opera “Carmen”
Ravel: Ma mère l’Oye Suite (Mother Goose Suite)
Falla: El sombrero de tres picos (The Three-Cornerd Hat) No.2
performed with Tokyo City Ballet / Choreography: Etsuko Adachi