Pick Up (17/07/15)|オペラ《金閣寺》 日仏共同制作|藤堂 清

オペラ《金閣寺》 日仏共同制作

2017年6月19日 日本外国特派員協会 Media room
text by 藤堂 清 (Kiyoshi Tohdoh)
photos by 林 喜代種 (Kiyotane Hayashi)

<登壇者>
中山欽吾(東京二期会 理事長)
宮本亜門(演出家)
嘉目真木子(ソプラノ/二期会会員)
山口毅(東京二期会 事務局長)

東京二期会がフランス国立ラン歌劇場と共同制作するオペラ《金閣寺》のプロダクションと演出コンセプトについて記者発表が行われた。

オペラ《金閣寺》は、三島由紀夫の小説をオペラ化したもので、黛敏郎がベルリン・ドイツ・オペラの委嘱により作曲し、1976年に同歌劇場で初演された。日本国内では、2015年12月に16年ぶりに神奈川国際芸術フェスティバルの一環として神奈川県民ホールで上演されている。

このオペラを2019年2月東京二期会が、この団体としては初めて上演するのに先駆け、2018年3月~4月にフランス国立ラン歌劇場で公演が行われるが、その舞台を日仏共同で制作するものである。
東京二期会は近年、ライプツィヒ歌劇場、ローマ歌劇場など海外劇場との提携公演、びわ湖ホールなど国内劇場との共同制作をすすめてきている。国際共同制作としてはオ-ストリア・リンツ州立劇場とのモーツァルトの《魔笛》がある。その演出を担当したのが宮本亜門。かれにとって、今回の《金閣寺》が二度目の国際共同制作における演出となる。

宮本は、すでに戯曲《金閣寺》の舞台演出を行っており、それとの相違について二点挙げた。
1.戯曲では「金閣寺」を人間として登場させたが、オペラではそのような人格を持たせることはしない。また、金閣寺の建物を舞台に出すことはない。
2.オペラではコーラスを大切にする。コーラスが主人公ミゾグチの深層心理を抉り出す。ギリシャ悲劇における「コロス」の役割を持っている。
さらに、小説とオペラではミゾグチの障害が異なることに関し、ミゾグチはコンプレックスのかたまりとなっており、その原因が何かという表面的な問題より、追い詰められ生きることが困難な状況にあることが本質と考えていると述べた。

一方、フランス公演への出演者として二名の歌手が招聘されており、彼らは日本公演にも参加が予定されている。国際共同制作で二期会の歌手が出演することは初めてであり、歌手にとっても海外への大きな飛躍の機会となる。二期会としてもこういった交流が増えることは望ましいと考えている。
歌手の一人、嘉目真木子(「女」役で出演予定)は、フランスでオペラにふれるのは初めてであり楽しみである、宮本演出は常に新しい視点を与えてくれるので刺激を受けると述べた。また、このオペラは「闇を感じる」作品であり、女性が虐げられている印象があるという。

今回共同制作に至った経緯には、ラン歌劇場の総監督Eva Kleinitzが日本に関わるテーマを取り上げたいと希望していたこと、宮本の仕事を知っていたことが影響しているということだが、このような前例ができれば、今後さらに踏み込んだ協力体制を作っていくことも期待できるだろう。
成功を心から望む。

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フランス公演の概要
指揮:ポール・ダニエル
管弦楽:ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団
演出:宮本亜門
日程:フランス国立ラン歌劇場・ストラスブール公演 2018年3月21,24,27,29日、4月3日
   フランス国立ラン歌劇場・ミュルーズ公演 2018年4月13,15日
http://www.operanationaldurhin.eu/
http://www.operanationaldurhin.eu/opera-2017-2018–le-pavillon-dor-opera-national-du-rhin.html
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日本公演予定
指揮:マキシム・パスカル
演出:宮本亜門
日程:2019年2月