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撮っておきの音楽家たち|アルベルト・ゼッダ|林喜代種   

アルベルト・ゼッダ(指揮者・ロッシーニ研究家)

2016121日 オーチャードホール
photos & text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi

イタリアの指揮者アルベルト・ゼッダの米寿を記念して、藤原歌劇団が特別演奏会を行った。この日の演目はゼッダの得意中の得意とする作曲家のジョアキ―ノ・ロッシーニの作品より、カンタータ「テーティとペレーオの結婚」、「スターバト・マーテル」の2曲を演奏。歌手は藤原歌劇団のエース級の9人と藤原歌劇団合唱部が出演。
前半のカンタータは喜びを、後半の「スターバト・マーテル」は悲しみを、ゼッダは絶妙に振り分けて感動的な演奏を繰り広げた。前半、後半それぞれ約1時間で休憩を挟んだが、88歳のマエストロは立ったまま指揮をした。見事な集中力である。カンタータではときおり笑みをたたえ、「スターバト・マーテル」では厳しい悲しみの表情でタクトを振る。感情に走ることなく、指揮は淡々としている。
1928年1月ミラノに生まれる。ミラノで音楽と文学を学ぶ。1957年イタリア国営放送RAI主催の若手指揮者のための国際コンクールで優勝。イタリア国内外での本格的な活動が始まる。演奏活動と共に常に音楽学への研究に積極的に取り組む。基本的にはバロック音楽と19世紀前半のオペラ、オラトリオ、カンタータの批判校訂編纂に幅広く関わる。ロッシーニを中心とするイタリア・オペラの研究者としても名を知られる。
ぺーザロのロッシーニ財団では創設以来の編集委員会メンバー。現在、ロッシーニ・オペラ・フェスティヴァル(ROF)の芸術監督。ペーザロのロッシーニ・アカデミー学長。
公演の締めくくりとして、出演者全員が登場し折江忠道総監督のあいさつ、金色の帽子と羽織をプレゼント。弟子の薗田隆一郎の指揮で「ハッピー・バースデー」の大合唱。しなやかなマエストロ・ゼッダが印象的だった。

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