オーケストラ・アンサンブル金沢 東京公演|佐伯ふみ 

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岩城宏之メモリアルコンサート 東京公演

2016911 すみだトリフォニーホール
Reviewed by 佐伯ふみ(Fumi Saeki
Photos by 林喜代種(Kiyotane Hayashi

<演奏>
指揮:山田和樹
ソプラノ:吉原圭子
バリトン:与那城敬
東京混声合唱団(合唱指揮:根本卓也)
オーケストラ・アンサンブル金沢

<曲目>
リゲティ:ルクス・エテルナ(無伴奏合唱)
ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調Op.36
フォーレ:レクイエム ニ短調Op.48

オーケストラ・アンサンブル金沢の音楽監督・岩城宏之氏の没後10年を記念する演奏会。本拠の石川県立音楽堂(9/10)との2日公演で、筆者は2日目の東京公演を聴いた。

指揮の山田和樹は、東京混声合唱団の音楽監督も務めていた岩城からの指名でオーケストラ・アンサンブル金沢を初めて指揮してから、今年で10年目にあたるという。現在はこのオケの「ミュージック・パートナー」という立場である。
本コンサートにあたって、「歴史を重ねて、良き伝統を作っていくためには、出来上がっているものを壊す勇気も必要。そんな勇気を自分が持てるかどうか常に自問自答しています。このメモリアルコンサートがまた新たな創造となるように、頑張りたいと思います」というコメントをしている。

演奏は全体に、細部まできっちりと、メモリアルにふさわしい練り上げをおこない、手堅くまとめた、という印象。
開幕は無伴奏合唱の『ルクス・エテルナ』。東混の緻密なアンサンブルで、リゲティの斬新な音響構成を見事に実現している。難しい音程を苦もなく合わせ、複数のパートが得も言われぬ美しさで溶け合い、移ろっていく。

ベートーヴェンの『第2シンフォニー』、フォーレの『レクイエム』、どちらも手堅いまとめで安心して楽しめる演奏。
フォーレでは、バリトンの与那城敬、ソプラノの吉原圭子ともに端正な美声に聴き惚れた。オルガンの室住素子が曲の屋台骨をしっかりと支えている。
ただ全体に、もう一歩、聴き手の心に踏み込んで強く訴えかけてくる何かがほしい、という気はした。
東混もフォーレでは逆に精密すぎて、ふわりとした余韻が欲しくなる。
オケには躍動感、華やかさが。ウェルメイドではあるのだか、筆者の好みとしては、危うさも伴うような「はみだした」ところがほしい。これからのコラボレーションに期待している。

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