林美智子&大萩康司|藤堂清

hayashiConcert Review

艶やかな瞬間(とき)~日本の心・スペインの情熱
林美智子&大萩康司 デュオ・リサイタル

2015年11月18日 東京オペラシティ コンサートホール
Reviewed by 藤堂 清 (Kiyoshi Tohdoh)
Photos by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)

<演奏>
林美智子(メゾ・ソプラノ)
大萩康司(ギター)

<曲目>
ビゼー:カルメンより“ハバネラ”
ドリーブ:カディスの娘たち
タレガ:アルハンブラの思い出☆
武満徹:「すべては薄明の中で」より第1楽章☆
武満徹:小さな空 / 小さな部屋で / ◯と△の歌 / うたうだけ / 翼
———————-(休憩)——————-
三善晃:エピターズ☆
ブローウェル:11月のある日☆
加藤昌則(編曲):想い出の秋の道(4曲メドレー)
この道(山田耕筰)~里の秋(海沼實)~小さい秋(中田喜直)~赤とんぼ(山田耕筰)
加藤昌則:旅のこころ / 木馬(新作初演)
——————–(アンコール)—————-
武満徹/渡辺香津美(編):めぐり逢い

☆ギター・ソロ:大萩 康司

平日の午後、「クラシックのコンサート」というかた苦しいイメージからはなれて、よく聞く曲、耳になじみやすい曲をとりあげ、楽しみ、リラックスしてもらおうというコンサート。
林は、持ち役である『カルメン』から始め、武満の歌曲、『想い出の秋の道』と名付けたメドレー、そして加藤昌則がこの日のために作曲した『木馬』でしめくくった。彼女の歌は細かな表情をつけたりせず、音の流れに素直に歌詞を載せていくといった印象だが、新国立劇場のオペラ研修生(花の一期生!)のころから感じられた「存在感」は健在で、歌を聴いたという満足感をおぼえた。
もちろん歌手だけが中心というのではなく、ギターの大萩もソロの曲では技巧の冴えをみせる。サブタイトルにあるように、スペインと日本ということでは、スペインの系列のタレガ、ブローウェルの曲で、粒ぞろいの美しい音、トレモロを聴かせてくれた。

曲ごとに演奏者二人による解説もあったり、加藤昌則を舞台に招き、ギター編曲にまつわる裏話を聞いたりと、雰囲気を盛り上げ、笑いもさそっていた。

このような「柔らかな」コンサート、これまで音楽を聴くことをむずかしく考え、敬遠しがちだった人をクラシック音楽に誘うという面もあるだろう。平日のマチネーという時間も、シルバー世代へのアピールとなりそうだ。 一方で、若い世代を引き込んでいく方策も必要で、特に声楽の分野は「言語の壁」もあり、難しい点はあるが、別のアプローチも考えていってほしい。

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