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撮っておきの音楽家たち|野坂操壽|林喜代種

野坂操壽(筝曲家)

2016年3月24日 浜離宮朝日ホール
photos & text by 林喜代種(Kiyotane Hayashi)

筝曲家・野坂操壽の二十五弦筝制作25周年記念コンサートが行われた。
伝統的な箏は十三弦である。その伝統を守りながら「箏は独奏楽器」との信念のもと、「一弦一音の箏は4オクターブの音域がありその中から最もよく鳴る音域を選び充実させた二十絃筝、さらに低音域にも踏み込んで改良を重ね、より深い音を目指したのが二十五弦筝である」と言う。
25年前の1991年に新しい楽器「二十五弦筝」が完成した。伊福部昭に作曲を依頼した時に始まる。「もう作曲は無理だが、と3曲のギター曲を渡された。でも二十絃筝だった。音が足りない。二十五弦ならほかの伊福部のピアノのための『日本組曲』も弾ける。それが二十五弦を作るきっかけだったという。

1997年第16回野坂恵子リサイタルで伊福部昭に委嘱した『胡哦』を初演した。今回の記念演奏会でもこの『胡哦』から始まった。
初代野坂操壽から手ほどきを受ける。東京芸大修士課程修了。
1965年第1回リサイタル、日本音楽集団団員(1982まで)。1969年第2回リサイタルで二十弦筝を開発・発表、芸術祭奨励賞受賞。1969〜2006年まで東京芸大非常勤講師。1999年11月伊福部昭『琵琶行』を初演。
2003年紫綬褒章、二代目野坂操壽を襲名。以後日本芸術院賞(2011)など数多くの賞を受賞。現在、桐朋学園芸術短期大学特別招聘教授。古典の継承・研鑽と同時に二十五弦筝のための委嘱初演を続けている。今回のリサイタルも井上鑑、山本純ノ介の作品を委嘱初演した。また最新 CDは『偲琴』(CMCD28252・カメラータ)がある。

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